挑戦 

好きな言葉は「積小為大」
小さな積み重ねが大きな夢を実現する

萩荘黒澤バレーボールスポーツ少年団監督
渡部美香 Watabe Mika
渡部美香

Profile

1974年一関市生まれ。
中学、高校でバレーボールを経験。
仕事と主婦業の傍ら萩荘黒澤バレーボールスポーツ少年団の監督を務め、週3回の練習で指導に情熱を燃やす。
末っ子の翔(つばさ)くん(小2)もスポ少に所属し、バレーボーラー。
家族は夫、中1、小6、小2の3人の子供。37歳。

バレーボールの素晴らしさ伝えたい

萩荘黒澤バレーボールスポーツ少年団の監督を務める渡部美香さん(37)はママさん監督だ。

地元の中学校の練習に誘われ、「中学校を強くするために小学校で基礎をしっかりと」と小学校のスポーツ少年団を立ち上げたのが6年前。
始めた当初は「大会がいつあるのかもわからず、練習相手を探すのにも苦労しました」と当時の苦労を振り返る。
また、指導の経験はなく「すべてが手探り状態でした」と語る。
しかし、「小学校でやれば中学校も必ず強くなると信じてやってきました」と語り、「指導方法を教えてくれる先生にも出会い、感謝しています」と転機が訪れ、徐々に結果も出てきたという。

設立当初の目的の小中学校の連携も心掛け、中学校の部員と小学生がバーベキューをして交流するなど、中学校に行ってもすぐに部になじむような雰囲気づくりとつながりを切らさない活動も行っている。

子供たちには、「バレーボールというスポーツの素晴らしさを伝えたい」と語る。
「バレーボールは敵味方に分かれて行うスポーツ。チームが一つにならないと勝てないスポーツ。誰かのミスをカバーする持ちつ持たれつのスポーツだと思います」とバレーボールの魅力を熱く話す顔はママさんの優しい顔ではなく、指導者のりりしい顔。
地区予選も厳しい戦いが予想され、さらに県大会では盛岡、気仙地域のチームの台頭と「どこまでやれるか分かりませんが、まずは県大会出場、そして上位進出」と目標に向かう。

休日には各チームを招いて練習会を開催。互いに切磋琢磨している。
休日には各チームを招いて練習会を開催。互いに切磋琢磨している。

試合の合間に指示を出す渡部さん。的確に指示を出すことを心掛ける。
試合の合間に指示を出す渡部さん。的確に指示を出すことを心掛ける。

興田小バレー部親の会 八重樫健一さん

八重樫健一さん

男子が県新人大会で3位

興田小のバレー部は、学校統合をきっかけに始まりました。
7年目になります。
3人のわが子もみんなバレーをしています。
始めた当初は、萩荘黒澤チームさんと同じように大会や練習試合も組めず、本当に苦労しましたね。
ただ、感動も多かったです。
それは、子供たちの頑張る姿や試合でいいプレーをする姿。
スポ少の魅力ですね。

2月の県新人大会で男子チームが3位に入賞しました。
当部始まって以来の快挙でした。
本当にうれしかったですね。
今は、6月の全日本大会県予選でその成績を越えようと子供たちも親も、そして監督をはじめとする指導者も一生懸命頑張っています。

萩荘黒澤さんとは、部を立ち上げた時期も同じで互いに苦労してここまでやってきました。
感謝しています。
6月の県大会では、お互い頑張りましょう。

復活

母校のために生涯現役、日々勉強
基本なくして応用なし

大原中学校男子バレーボール部コーチ
中澤純 Nakazawa Jun
中澤純

Profile

1967年大東町生まれ。地元高校を卒業後、市内の企業に就職。
クラブチームに所属し、全国大会にも出場。
現在もクラブチームと県内の40歳以上で構成するシニアチームに所属し、現役選手として活躍する。
会社と家族の理解に感謝しながら母校の復活を願い指導する。
妻、子2人、両親の6人家族。44歳。

チームワークがバレーボールの原点だ

1980年県新人戦、81年県中総体、81年県新人戦と3大会連続で県大会を制した歴史のある大原中男子バレー部。

指導しているのは、同中卒業生で、その当時エースアタッカーとして3大会連続優勝の原動力となった中澤純さん(44)だ。
「7時前からの朝練習、昼時間の外コートでの練習、放課後は暗くなるまでの練習。
一日中バレー漬けだった」と振り返る。

それまで指導していた人から誘われ、母校のコーチとなって10年が過ぎた。
携わってからの最高成績は県大会2回戦。
古豪復活までの道のりはまだ途中だ。
「バレーはカバーのスポーツ。チームワークが一番大事になる」と分析している。
「個人プレーが多くては勝てない」とも。

県内では小学生からバレーをはじめている中学生も多い。
「中学からバレーを始めるので、追い付くのに時間がかかることも」と話すが、基本をしっかり身につければ「必ず追いつける」と信念を持っている。
技術指導など「指導者も日々勉強しなければ」と研修会への参加なども心掛けている。
そして指導したことが試合で発揮できた時は自分自身のことのように喜びを感じるとも語る。

自身が中学の時はこんなに練習して何になるのか疑問を持ったことも。
しかし、県で優勝し「このためにつらい練習をしたんだ」と、練習のすべてが結果につながることを実感したといい、練習の積み重ねの大切さを説く。

指導の喜びを感じながら

挫折しそうになったこともあるというが、卒業生が進学、就職決定の報告に訪れることも。
「やってきてよかったと思える出来事」と話す。

「自分が生まれ育った地の子供たち、そして母校を強くしたい」と思いを語り、「6月の大会では、できる限り上位を目指す」と話す顔には、強い決意と子供たちへの愛情があふれていた。

5月12日に行われた県春季大会。課題もあったが、収穫もある試合だった。(ブロック側が大原中)
5月12日に行われた県春季大会。課題もあったが、収穫もある試合だった。(ブロック側が大原中)


4年後の岩手国体に向けて市バレーボール協会では、独自に国体選手育成プロジェクトを立ち上げ、事業を展開している。
10年は小学生へのソフトバレー導入に向けた指導者講習会、11年には中学生指導者講習会、今年は、中高指導者のコミュニケーション技術の開発などの講習会を開催し、各年代で底辺拡大や指導者の育成に努めている。
また、中学校の選抜大会を開催し、県大会での活躍が光るなど効果が表れている。

選手のみんなに大切なのは、結果もさることながら、それ以上にこれまでどう取り組んできたかの経過だ。

インタビューに答えてくれたある指導者の好きな言葉は「人生は未完成」。
「一つの目標に向かって努力する。それがかなうと次の目標が見えてくる。そしてまた、それを達成するために努力する。だから人生に完成はない」という意味だそうだ。

6月に、スポーツをしているみんなのドラマがクライマックスを迎える。
その結末がどうであれ、次のドラマが、また始まっていく。
「人生は未完成」。

頑張れ一関勢!

大会直前応援企画「それぞれのドラマ、クライマックスへ」(完)

広報いちのせき「I-style」6月1日号