藤沢中学校
畠山祐光監督・昆野藍加主将・部員17人

「市立」最初の夏に東北で「金」
2本の優勝旗を一関へ

1ナイン
●取材協力 福島県猪苗代町 大坂圭、栃木県那須塩原市 鎌田栄治

7年連続の東北大会。
毎年、V 候補の一つに数えられながら、「あと一歩」で逃してきた全国切符。
5年ぶりの全中出場と11年ぶりの東北制覇に、石川町クリスタルパークは興奮で揺れた。

「平成24年度東北中学校体育大会」(第39回東北中学校女子ソフトボール大会)は8月3日から5日まで、福島県石川町で開かれた。
中学女子ソフトボール東北一を決めるグランドファイナル。
前評判通りの強さで頂点に君臨したのは本市の藤沢中。
「誰もが納得」の優勝だった。

最激戦区といわれる一関地区予選、県中学校体育大会を圧倒的な破壊力で勝ち上がった藤沢は4日の1回戦で蔵王第一(山形第2)と対戦。
序盤こそリズムに乗れず先制を許すが、2回に適時打で追いつくと、3回には失策と犠打で1点を加え、5―2で勝ち、初戦を突破した。

2回戦は郡山第六(福島第1)を序盤から圧倒。
9―0(5回コールド)で退け、5日の準決勝へ進んだ。

準決勝は御野場(秋田第1)と対戦。
エース菅原菜月の好投と集中打で3―0と快勝、この時点で5年ぶり5度目の全中出場を決めた。

山形第二(山形第1)との決勝は、序盤から白熱した好ゲーム。
3回、適失で先制を許した藤沢は4回、伊藤瞳の犠飛で追いつくと、5回には後藤茜の三塁打などで2点を加え、突き放した。
守っては、蔵王第一戦2回から登板した4連投のエース菅原が25回を投げ抜く豪腕を披露。
気迫の投球で再三のピンチをしのぎ、バックも堅守で盛り立てた。
藤沢は3-1で頂上決戦を制し、全国制覇した01年以来、11年ぶり2度目の優勝を飾った。

昆野藍加主将は「最後まであきらめない強い気持ちで勝ち取った優勝。本当にうれしい」とにっこり。
畠山祐光監督は「全中出場の一念で戦った。守り抜いた選手を褒めたい」と白い歯を見せた。

11年ぶりの日本一はならず
女王翠町に敗れ16強

全国9ブロックの代表24チームが出場した「全国中学校体育大会」は8月18日から栃木県那須塩原市の「にしなすの運動公園」で開かれた。

11年ぶりの日本一を目指す藤沢は初戦で箕郷(群馬・関東第2)と対戦。
2回裏、佐藤菜美の左翼越え二塁打で先制した藤沢は続く3回にも暴投や犠飛で3点を奪い4-0とリード。
守ってはエース菅原が序盤から三振の山を築く好投で快調に飛ばした。

しかし中盤、走者を出しながらも追加点を奪えない藤沢に対し、再三のピンチを堅守で防ぐ箕郷に流れが傾いていく。
6回二死から長短打で1点を奪われると7回にも守りが乱れて1点を返された。
試合は4-2で勝利したが、攻守に課題が残った。
「強い藤中」は影を潜めた。

2回戦は、前年優勝の翠町(広島・中国第1)と激突。
初回藤沢は、失策や四球などミスからピンチを招き、スクイズと適時打で2点を先制される。
3回には足を使った攻撃と2本の長打などで一挙4点を奪われた。

一方、打線は大会屈指のサウスポー翠町・田内愛絵里のキレのある速球に沈黙。
散発3安打に抑えられ、0-7(5回コールド)で敗れた。

試合後、畠山監督は「相手投手が素晴らしく、最後まで自分たちのプレーができなかった」と語り、「来年こそ上を」とリベンジを誓った。

昆野主将は「この仲間と、この大舞台で試合ができたことを誇りに思います。監督やコーチはもちろん、支えてくれた全ての皆さんに感謝します。後輩たちには、必ず日本一になってほしい」と全中制覇の夢を託した。

DATE

エース菅原菜月は東北ナンバーワン投手。
鉄壁の守りと機動力を生かした破壊力抜群の攻撃が特徴。
01年全中優勝など数々の栄光を重ねてきた東北を代表する名門。
【戦績】
<県大会>1回戦○ 17 - 0 遠野、2回戦○ 4 -0 西南、準決勝○ 9 - 0 東和、決勝○ 11- 0 川崎
<東北大会>1回戦○ 5 - 2 蔵王一、2回戦○ 9 - 0 郡山六、準決勝○ 3 - 0 御野場、決勝○ 3 -1山形二
<全国>1回戦○ 4 ー2 箕郷、2回戦● 0 -7 翠町

2ガッツポーズ 3表彰式 4佐藤刃菜美 5熊谷優衣 
6後藤茜 7ベンチ 8滑り込み 
9変化球1016強入り11ハイタッチ
1_東北大会優勝を決め、グラウンドで喜び合うナイン
2_優勝の瞬間、ガッツポーズする父母やチームの関係者。11年ぶりの全中出場に沸いた
3_表彰式で深紅の大優勝旗を受け取る藤沢中。県、東北と2本の優勝旗を一関に持ち帰った
4_全中箕郷戦で先制の二塁打を放つ中堅手佐藤刃菜美。守っては堅守で菜月を盛り立てた
5_守り勝つソフトが信条。フェンス際の邪飛を好捕する三塁手熊谷優衣。打っては高打率でチャンスメークした
6_東北大会決勝山形第二戦で逆転の三塁打を放つ右翼手後藤茜。得点圏打率の高さが光った
7_ベンチも心は一つ。自分を信じ、仲間を信じる
8_全中箕郷戦で頭から一塁へ滑り込む二塁手昆野藍加。主将の気迫がチームの士気を高める
9_キレのある速球と多彩な変化球を武器に好投した豪腕菅原菜月。東北大会優勝、全中出場の原動力となった
10_県、東北を制し、全国16 強入りした藤中ナイン
11_ハイタッチする選手と父母ら

広報いちのせき「I-style」9月1日号