意識 愛と情熱

「強いチームはどのようにしてできるのか」
この夏、岩手を勝ち抜き、東北、全国の舞台で活躍した
4チームの主将と監督に聞いた。

昨秋「市立」になった藤沢中。
「町立」として挑んだ最後の夏は、県大会優勝、東北大会ベスト8だった。
昨夏、3人の3年生から後輩たちに託された夢は「全中出場」。
その夢を見事に実現したのである。

しかし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。
新人大会は一関地区予選でよもやの敗退。
それをバネに練習を重ね、一回りも二回りも成長した。
伝統の守り勝つソフトに、破壊力ある攻撃が加わったことで一段と強さは増した。
そしてこの夏、最後まであきらめない不屈の精神と全身全霊のプレーで岩手と東北を制し、全国16強入りした。

筋書きのない7イニングのドラマの結末は誰にもわからない。
確かなことは「勝てば自信になり、負ければ勉強になる」こと。
それを繰り返して人は成長する。

「一流の選手である前に、一流の人間であれ」

10年以上も自分や家庭を後回しにして、選手の指導と育成に力を注ぎ、7年連続東北大会出場の偉業を成し遂げた千葉恭一、菊地利也両コーチが言い続けてきた言葉だ。

今回取り上げた関小ヤンキーズ、東山レッドウィングス、藤沢、川崎両中学校の4チームに共通していたことは、一流の舞台(試合)は、一流の役者(選手)と一流の舞台監督(指導者)、そして一流の裏方(父母)によってつくられていること。
どんな逆境をも乗り越え、勝ち続けるチカラの源は愛と情熱。
強さの秘けつは「人づくり」にある。

関小ヤンキーズ Ichinoseki 

関小ヤンキーズ

あきらめない強い気持ち

藤原愛里主将
藤原愛里主将
全国の強豪を目の前にして「勝てるだろうか」と不安になりました。
でも「気持ちだけは絶対に負けない」と心に決めて試合に臨みました。
強い気持ちで挑んだからこそベスト16まで勝ち進むことができたんだと思います。
後輩たちには、どんな時もあきらめないで戦う強いチームになってほしいです。

心・技・体を高める練習

藤原昌弘監督
藤原昌弘監督
守りからリズムをつくり、つなぐ攻撃でチャンスを生かすのがチームの特徴です。
全国では目標のベスト8に届きませんでしたが、初出場で16強入りした選手たちは、本当によく頑張りました。
選手の多くは昨年から試合に出場しています。
豊富な経験が技術だけでなく精神面の成長につながりました。
強いチームの条件は「体力」「技術」「精神力」、つまり「心・技・体」です。
宮崎初戦の延岡マリーンズ戦で2-5から試合をひっくり返したのは、強い体、基本に忠実なプレー、あきらめない気持ちをがあったからです。
これからも、「心・技・体」を高める練習を重ね、来年こそ全国ベスト8の目標を達成したいです。

東山レッドウィングス Higashiyama

東山レッドウィングス

チームワークが命

神崎乃愛主将
神崎乃愛主将
合同チームになって、初めは互いに遠慮がちだった仲間とも、今はすっかり仲良くなりました。
みんなで頑張り、みんなで勝ち取った全国大会。
レッドウィングスの強さはチームワークです。
宮崎では初戦で負けてしまいましたが、後輩たちにはこの悔しさを来年につなげてほしいです。
今度こそ県で優勝し、全国で勝ってほしいです。

楽しく笑顔でプレー

鈴木靖監督
鈴木靖監督
「楽しく笑顔でプレー」がモットーです。
選手には、エラーをしても楽しんでプレーするよう教えてきました。
失敗を恐れない伸び伸びプレーが全国につながったと思っています。
県大会は強豪ぞろいで、全ての試合が大変でした。
それでも勝ち抜くことができたのは、どんな状況でも笑顔を絶やさずプレーできたからです。
大好きなソフトボールを長く続けてほしいのは、選手だけでなく父母の願いでもあります。
もちろん厳しい練習抜きに強くはなれません。
まず選手のやる気を引き出し、次に潜在能力を開花させ、そしてソフトボールを続ける子供を育てる―それが私たち指導者の使命。
そのために笑顔は欠かせないのです。

藤沢中 Fujisawa

藤沢中

感謝の気持ちを忘れない

昆野藍加
昆野藍加主将
たくさんの人に支えられ、県、東北で優勝し、全国大会に出場することができました。
「全ての人への感謝の気持ちを忘れずに、全員が愛を持ってプレーする」が私たちの信条です。
一人一人が周りを気遣い、声を掛け合いながら、最後まであきらめない気持ちで守り、打ち、走りました。
後輩たちには絶対日本一になってほしいです。

高い目標と強い意識で

畠山祐光監督
畠山祐光監督
技術的なことは千葉恭一、菊地利也両コーチにお願いし、自分は主にメンタル面のケアに力を入れています。
最後まで「あきらめない」精神力は最大の武器です。
チームの状況は毎年変わります。
全国制覇するほど戦力が充実した年もあれば、部員不足で地区予選出場さえ危ぶまれた年もあります。
どんな状況の中でも、高い目標を掲げ、強い意識で努力を重ね、前に進んでいくことが大事です。
藤沢中は、強いチームというよりも負けないチームづくりに力を入れています。
それが結果として、7年連続10度目の東北大会出場や5度目の全国大会出場につながったんだと思います。

川崎中 Kawasaki

川崎中

集中力こそ勝利のカギ

瀧澤香花主将
瀧澤香花主将
ピンチになってもあきらめない粘り強さが持ち味です。
どんな状況でも心を一つにして、最後まで戦いました。
後輩たちには、少ないチャンスを絶対に逃さない「集中力」を鍛えてほしいです。
もっと強くなれるはずです。
チームはみんな仲良しですが、先輩・後輩のけじめある練習と生活を実践して、目標を達成してほしいです。

日常生活から人をつくる

村上卓也監督
村上卓也監督
4月に監督に就任しました。
選手個々の能力は大変高く、即戦力の1年生もいて強いチームだと感じました。
激戦区一関の代表として県を突破し、東北大会に出場できたことは、3年生だけでなく、9人の1、2年生も自信になったようです。
課題は、現有能力をフルに発揮できること。
試合で100%を出すために、守備も攻撃も一から鍛え直します。
指導者としてすべきことは、選手が互いに刺激し合える環境づくりと一人一人が強い意識で打ち込めるチームづくりです。
個性を伸ばしながらチーム力を高めていければ理想的です。
まずは、練習だけでなく日常生活をきちんとできる人間を育てます。

広報いちのせき「I-style」9月1日号