ハタチのケツイ

大人を実感できるのは、どんな時でしょうか。
選挙で投票する、お酒を飲む、たばこを吸う、ギャンブルをする。
このような行為が、大人だけに許されるのは「正しい判断ができる、自分の行動に責任を持てる」からです。
多くの権利を得ることは、自己責任が増すことでもあるのです。

二十歳の門出は、大人の仲間入りをした自分(今)を見つめ直し、これからの生き方(未来)を考える日でもあります。

今年の新成人は全国で約120万人。最も多かった第1次ベビーブーム世代の半分以下です。本市も同様で人口の1%を割っています。

少子高齢化が進み、次代を担う若者への期待は高まっていますが、右肩上がりの経済成長が望めない中で、社会保障費などの負担は重くのしかかります。
成人者の中には、不安を抱えている人も少なくないでしょう。

大切なことは、氾濫する情報の中で真実を見極める「眼力」と自ら目標を立て、道を切り開く「行動力」ではないでしょうか。

決意新たに踏み出した一歩を後押しする地域や社会があってこそ夢は実現します。デジタル世代の成長発展には、アナログ世代の後押しが不可欠なのです。

雨にも負けず、風にも負けず
千葉晶(しょう)さん 藤沢町

千葉晶さん

雨にも負けず。風にも負けず。雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な機械を作り、欲はあり、時々怒り、いつも好奇心を持っている。
東に分からない問題があれば先生や友に質問し、西に「何もしてないのに壊れた」と言う母あれば「何もしてないから壊れたんだよ」と言い、南から台風が来れば「田んぼの様子見てくる」と言い、北に技術関係の講演会があれば行って「これは面白い」「あれはつまらん」とわめき、みんなに機械屋と呼ばれ、褒められもせず苦にもされず、そういうものにわたしはなりたい。

 

 

 

 

家族が喜ぶ顔を見たいから走る
芦麻生(まき)さん 神奈川県横浜市(大東町出身)

日本体育大学で学ぶ私は、日々、目標の体育教員に近付いていることを実感しています。私が、夢中になっているものは陸上競技です。

私は、走るために盛岡女子高に進みました。その世界は想像以上に厳しく、走ることが怖い時もありました。
そのたび、実家を離れてまで陸上に挑戦する意味を考え、自分に負けないように頑張りました。
壁を乗り越えるたびに強くなりました。

地元には、応援してくれる人たちがいます。そんな皆さんの期待に応えることが私の目標です。
20歳になった今も、一番心配してくれて、一番応援してくれる家族に、一番喜んでもらえるよう、これからも走り続けます。

 

 

夢は「世界征服」
千葉達也さん 滝沢

千葉達也さん

私の夢は「世界征服」である。

多くの人は時が経てば親になり、子供ができる。
両親が愛しあって、私たちが生まれたように、私たちもパートナーを見つけ、自分が選んだ相手を愛し続ける。
「一人を愛し、一人から愛される」。これを世界中の人ができたら、全ての人が幸せな世の中になると思う。

友達、家族、恩師。20年も生きれば、自分を支えてくれた人はたくさんいる。
たくさんの人を大切にし続けるのはとても難しい。だから、まずは、一人を愛し続けることを目標にしてほしい。
それも、簡単ではないだろう。しかし、もし全ての人がそれを達成できれば、きっと、世界中が幸せになれると思う。

今日、発表できたことは、私の「世界征服」の第一歩だ。

 

人の役に立つ看護師になりたい
熊谷璃紗(りさ)さん 埼玉県毛呂山町(藤沢町出身)

熊谷璃紗さん

私の将来の夢は、看護師になることです。

看護師を目指したきっかけは、東日本大震災で被災地の病院の看護師が、必死で患者さんを守る姿をテレビで見たこと。そして、母の影響です。

看護師になったら、患者さんとその家族が笑顔になれるような看護をして、一人でも多くの人の役に立ちたいです。

離れていても私の体調を気遣い、夢を応援してくれる家族は、私にとって大きな支えであり、励みです。

応援してくれる家族のためにも、夢に向かって一生懸命頑張ります。

 

 

※成人式当日に朗読した4 人の作文を、それぞれ一部抜粋しています。芦さんは欠席のため実行委員が代読しました。

ハタチのコレカラ

50年後の日本は、高齢者1人を現役世代がほぼ1人で支える「肩車」型社会が到来するといわれています。
デジタル世代がアナログ世代を支える時代が訪れるのです。

地域振興に若い力は不可欠です。

しかし、パソコンや携帯電話によるコミュニケーションが定着している若い世代を、自治会活動や消防団活動に参加させることは容易なことではありません。
若い世代を受け入れる関わり方や入ってきやすい環境を構築することが急務です。

取材を通して、「地元に貢献したい」「古里に恩返しをしたい」という新成人がたくさんいることを感じました。世代が違っても、生まれ育った古里への思いは変わりません。
これまで地域をけん引してきたアナログ世代と、これから地域の未来を担うデジタル世代が、互いの良さを認め合い、受け入れ合い、うまく交差した時、そこに大きな力が生み出されるはずです。

たとえ古里を離れていても、パソコンや携帯電話があれば、地域を元気にしたり、幸せをつくったりすることができる今、時代の荒波を乗り越え、豊かな古里を築いていくのは若い力にほかなりません。
ハタチのコレカラには、古里のコレカラを動かす力と責任が宿っています。

同じ古里で生まれ育ち、同じ時間を過ごしてきた仲間はかけがえのない財産
小松惇貴さん 一関市成人式企画実行委員会委員長

小松惇貴さん現在、市内の飲食店で調理師をしています。いつも変わらない「店の味」を作るのは大変です。
味はもちろん、見栄えにもこだわった料理の提供を心掛けています。

実行委員会に入ったきっかけは、萩荘中学校の校長先生からの1本の電話です。
初めは乗り気ではありませんでしたが、多くの人が進学や就職で地元を離れている中で、市内で働く「自分がやらなければ…」という使命感が芽生えました。

成人式のテーマ「Evolution2014 ~新たな旅立ち 夢とともに~」は実行委員全員で話し合って決めました。
成人するにあたり、Evolution(進化、発展)していかなければならない。成人式は人生の大きな節目。
あらためて、夢や希望を考えるきっかけにしてほしいと考えました。

僕の「発展」は、両親や家族はもちろん、友人にも感謝をすること。
同じ古里で生まれ育ち、たくさんの時間を共有した友人は、かけがえのない財産です。

これから先、僕たちはそれぞれの道を歩みます。その道の上で、たくさんの人と出会うでしょう。
しかし、同じ古里で育ち、机を並べ、勉強してきた友人とは、より多くの共通点や似たような価値観があるはずです。

一関を離れても、古里の友人を大切にしてほしい。
成人式が友情をさらに深める機会になればうれしいです。

 

記念行事を企画、運営した成人式企画実行委員会

展示された「夢」のモザイクアート

生涯一度の晴れ舞台を「新たな旅立ちの決意になる成人式」にするため、各地域から26人が集まり、昨夏から準備を進めてきました。
成人式当日、会場入り口に展示された「夢」のモザイクアートは、メッセージカードを張り合わせて作られたもの。
カード一枚一枚に新成人全員の氏名、夢や決意がつづられ、今年のテーマの象徴になっていました。

 

 


 

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年2月15日号