館蔵品

谷起島遺跡土層断面やぎしまいせきどそうだんめん

谷起島遺跡土層断面

谷起島遺跡出土の土器
縄文時代晩期 弥生時代
甕 高杯 深鉢 蓋
高杯 深鉢

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 一関市・谷起島遺跡
 縄文~弥生時代


 谷起島遺跡は一関市萩荘字谷起島南方に所在しています。久保川沿いに発達した自然堤防や後背湿地河岸段丘上に営まれた縄文時代晩期から弥生時代の遺跡です。
 この土層断面は後背湿地に廃棄された生活の痕跡を示す貴重な情報を含んだはぎ取り断面です。この後背湿地は、当時の生活のあらゆるものが捨られた可能性のある場所です。土器や石器などの他に小動物の骨片、骨粉なども出土しています。また土器の出土状況から、埋葬に関わる意図的な土器の設置とみられるものもあります。
 この土層断面は、最下層の縄文時代晩期の層と、その上に弥生時代の層が継続して堆積しているのが特徴です。縄文晩期の層からは変形工字文を基調とした文様を横位で3~4単位で施された甕(かめ)、壺(つぼ)、鉢(はち)、台付鉢等と、土偶(どぐう)、石鏃(せきぞく)、磨石、石皿等が出土します。さらに、その上層では、縄文晩期の文様を踏襲しながらも簡略化された同様な種類の土器以外に蓋型土器が出土します。蓋型土器は、弥生時代の文化的な影響の端緒と考えられ、まさにそれまでの食生活パターンに、蓋(ふた)を利用する新たな料理法などが加わったのかもしれません。
 土器の特徴が縄文時代から弥生時代に変化していく過程が観察でき、当時の生活に思いを馳せることができる良好な遺跡です。

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