館蔵品

紺糸威胴丸具足こんいとおどしどうまるぐそく

紺糸威胴丸具足
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 胴高 38.0cm
 江戸時代中期(18世紀半ば)頃


 平安時代や鎌倉時代に使われた、兜・胴・袖が中心の甲冑(かっちゅう)は大鎧(おおよろい)といいますが、室町時代末期以降、籠手(こて)・臑当(すねあて)・面頬(めんほお)など小具足(こぐそく)と呼ばれる各部品が皆そろった当世具足(とうせいぐそく)という甲冑が隆盛になりました。
 この甲冑は、一関藩3代藩主・田村村顕(たむらむらあき)が用いたものです。紺色の染め糸で鎧(よろい)をつづり合わせ、胴は分割しないで一つづきとなって右脇腹で結び合わせる胴丸(どうまる)という形式の鎧です。
 兜(かぶと)は鍛鉄製で小さな突起が62列にあしらわれていますが、これを「六十二間小星兜」(ろくじゅうにけんこぼしかぶと)といい、さらに上に黒漆をかけています。兜の前立(まえたて)は日輪(にちりん=太陽)です。
 兜、喉輪(のどわ)、袖、草摺(くさずり)の各部には九曜紋(くようもん)の鍍金(ときん=金メッキ)の金物が、兜鉢(かぶとばち)の縁には竹雀紋(たけにすずめもん)が鋲打(びょううち)されています。九曜や竹雀は本藩・伊達家の家紋として有名ですが、田村家の家紋としても使われました。
 面頬・籠手・佩楯(はいだて)臑当・甲懸(こうがけ)の小具足完備で材も意匠も吟味され、大名具足としての出来と風格をそなえた優品です。
 これは、一関藩出身の明治の外交官・高平小五郎(たかひらこごろう)が田村家より拝領し宝蔵していたものです。

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