館蔵品

一関町役場(旧一関市庁舎)模型いちのせきまちやくば(きゅういちのせきしちょうしゃ)

一関町役場(旧一関市庁舎)
常設展示室「一関のあゆみ」に展示している模型です。
画像をクリックすると拡大表示します。

 この建物は、昭和7年(1932)に完成した、一関町役場(模型)です。今の一関郵便局(大手町)が建っている場所にありました。
 設計は、一関生まれの工学博士・阿部美樹志(あべみきし・1883~1965)。阿部はわが国の鉄筋コンクリート工学者・建築設計者の草分けです。
 地下1階、地上2階の町役場は、この地域の鉄筋コンクリート建築としては極めて初期のものでした。今と違って高い建物が少ない時代でしたから、遠くからも目立ったことでしょう。玄関にはステンドグラス、外壁にはタイルやモザイクなどの装飾が施されていました。建物の内部にも壁面装飾や、凝った照明器具が用いられていました。また水洗式トイレも備えられていました。昭和12年に一関町役場が発行した『郷土読本』には、畳敷きの協議室があったことや、会議室で映画会を催したこと、工費が3万円だったことなどが記されています。当時は最新の設備と造形の美しさが関心を呼び、「モダンな庁舎」を見ようと多くの参観者訪れたといいます。
 太平洋戦争や戦後の大水害にも持ちこたえ、市制施行後も市庁舎として使われ続けました。そして、現在の市役所の完成に伴い、昭和55年(1980)に閉じられその4年後に解体されました。

このエントリーをはてなブックマークに追加