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絹布
縦36cm 横86cm
製作時期 第2次世界大戦時
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白い布に赤い糸でトラの姿と「武運長久」(ぶうんちょうきゅう)の字が縫い取られています。
戦争に行く兵士が弾丸に当たらないように、そして無事に帰ってきて欲しいとの願いを込めて、千人が一針ずつ刺して完成させたので「千人針」と呼ばれました。
出征兵士は千人針を腹巻のように身につけたり、帽子に縫いつけたりしましたが、戦場ではシラミが付いてしまうことも多かったため、直接体に触れないように持ち歩いた人もいたと言います。
千人針の縫い取りデザインには、結び目を規則正しく並べたもの、日の丸、「必勝」などの文字もありました。また、死線(四銭)を超えるようにと五銭玉が、苦戦(九銭)を超えるようにと十銭玉が縫い付けられた例もあります。トラは「千里行って千里帰る」と、勢いのいいたとえにされるので、この千人針のようにトラ柄の縫い取りも数多く作られました。
千人針が全国で盛んに作られるようになったのは、明治時代末とも、昭和12年の日中戦争開始頃からとも言われます。太平洋戦争終盤頃には、千人針の完成を出征に間に合わせるために、ひとりで縫い上げたこともあったそうです。写真の千人針は刺す場所がプリントされ、結び目も作られていませんので、急いで大量に作らねばならない時期のものだったとうかがい知れます。
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