館蔵品

後三年合戦絵詞(模本)ごさんねんかっせんえことば



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 高倉在孝模写
 紙本著色
 上巻縦48.0cm 横188.3cm 中巻縦48.0cm 横172.7cm
 下巻縦48.0cm 横198.5cm
 嘉永4年(1851)模写


 後三年合戦(ごさんねんかっせん)は、永保3年(1083)から寛治元年(1087)にかけて起こった陸奥の戦乱です。安倍氏が滅亡した前九年合戦(ぜんくねんかっせん)によって奥羽の大豪族となった清原氏でしたが、二十余年を経過して内紛が始まりました。さらに新しく陸奥(むつ)の国守として赴任した源義家(みなもとのよしいえ)が、この内紛に介入したことから戦火が拡大していきました。やがて、清原氏が滅んで戦いが終わり、朝廷から私闘とされた義家も都へ去って、最終的に勝利者となったのは、安倍氏の血を引き清原氏のもとで成長した藤原清衡(ふじわらのきよひら)ただ一人でした。彼はその後、平泉黄金文化を華開かせていくことになります。
 この合戦を最初に描かせたのは後白河法皇(ごしらかわほうおう)で、承安元年(1171)のことといわれます。しかし、残念ながらこの絵巻は現存していません。今に残る最も古いものは東京国立博物館に収蔵されている『後三年合戦絵詞』で貞和3年(1347)に描かれました。当初は、6巻で構成されていましたが、今は後半の3巻のみが伝わっています。
 ここに紹介する絵詞は嘉永4年(1851)にこれを模写したもので、原本をほぼ忠実に描き、彩色豊かに表現された筆致は、原本が描かれた当初の姿を彷彿とさせます。

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