まちの将来を担う若者は地域の宝。
今年は1387人が新たに成人の仲間入りをしました。
各分野で輝いている新成人を紹介します。

菊池太一さん

続けられるのは舞台に立つのが楽しいから

菊池太一さん

約5キログラムもある鹿踊の「頭」を軽々と持ち上げる菊池太一さん(20)=大東町=。大東町摺沢の小沼鹿踊り保存会で「中立」と呼ばれるリーダー役の踊り手を務めています。大東高時代はバレーボール部でセンタープレーヤーとして活躍する傍ら、同校鹿踊部にも所属。平成18年の県高校総合文化祭郷土芸能発表会で優秀賞1席に入賞した際も「中立」として踊りの中心を担いました。
地元企業に就職した太一さんに「一緒にやらないか」と声を掛けたのが、同保存会の三浦豊会長(60)。太一さんの入会を機に同部OBで地元に残った若者たちが入会し、現在では17人の会員のうち9人が10代、20代に。「上の世代への刺激になり、活気が出てきました。太一君には若い人たちのリーダーとして、伝統を引き継いでほしい」と大きな期待を寄せています。
高校の部活動で鹿踊を始めた太一さんの入部のきっかけは、先輩の演舞が「かっこよかった」から。鹿の角のついた頭と装束、長さ約2メートルものササラ、太鼓と全部で約20キログラムを身に着け、独特のテンポで太鼓をたたきながら踊るのは楽ではありません。そんな中続けられたのは「舞台が楽しい」からでした。
華やかなライトを浴びる大きな舞台と、すぐ近くに観客がいる祭りの演技では、違う楽しさがあるといいます。中でも忘れられないのは、前述の県高総文祭の舞台。「知らない人から『すごかったです』『涙が出ました』と話しかけられ驚いた」。自分たちの演技が人の心を動かす喜びを感じた瞬間でした。
演技に取り組む姿勢が以前とは変わってきたという太一さん。「高校時代はかっこよさや見栄えが優先だった」のが、現在は一つ一つの動作、歌詞の意味を考えて踊るようになりました。
今の目標は「知らない踊りを覚えること」。現在9曲のレパートリーに加え、あと2曲を三浦会長らから学んでいきます。
次の舞台、「一関市・大東大原水かけ祭り」を目前に、練習に熱が入ります。

山口健太郎さん

今は知識を蓄える時 将来は環境問題に取り組む仕事に

山口健太郎さん

一関工業高等専門学校機械工学科5年の山口健太郎さん(20)=釣山=は、目の前のこと何にでも懸命に取り組む性格です。水泳部では主将を務め、停滞していた活動を男子のシンクロ「ウオーターボーイズ」に取り組むことで活発化。4年生後半から1年間は学生会長の大役を果たしました。
3月の卒業を控えた健太郎さんが今頑張っているのは卒業研究。「自励振動ヒートパイプの性能実験」をテーマに、地熱を活用した効率のよい融雪システムについて実験を重ね、追い込みに入った最近では時に学校に泊まり込みで取り組むこともあるほどです。
小さいころからプラモデル作りが大好きだった健太郎さん。実験しながら勉強もできると、迷わず同校への進学を決めました。学んできた中で、地球環境問題に強い危機意識を持つようになり、自分ができることは―と考えるように。「今の目標は、環境エネルギー設備や都市環境整備に関係する仕事に就くこと」と将来を見定めています。
卒業後は同校の専攻科に進学し、あと2年学ぶことに。「もっと勉強して、専門的な知識を蓄えてから社会に出たい」。将来の自分の姿を描きながら、3月上旬に行われる卒業研究発表会に向けて、実験装置に向かう日々が続きます。

三浦友恵さん

お客さんの魅力を引き出すトータルな「美」を提案したい

三浦友恵さん

1月上旬、東北ヘアーモード学院=旭町=美容科の実習室は、2月上旬の国家試験を控え緊張感に包まれていました。「5分前」「1分前」の教師の声と、マネキンの髪をくしけずる音だけが室内に響き渡ります。
学生の一人、三浦友恵さん(20)=大東町=が美容師を目指したきっかけは、高校時代、浴衣を着たこと。それまで触れる機会のなかった和装を新鮮に感じ、着付けなどトータルで美にかかわる仕事に興味を持ちました。
エステ、メイク、ネイル、カラーコーディネートなど、美に関する領域がどんどん広がる中、最新の流行に常に目を向けること、基本的な接客態度をしっかりすること、その両方がお客さんとの信頼関係を築く上で重要というのが、美容師の仕事です。
友恵さんが目指す美容師像は、「お客さんから指名してもらえる」美容師。「指名してもらうためには、お客さんの希望のヘアスタイルを形にすること。そうすることで信頼関係を築き、その人をより魅力的に見せられるよう提案していければ」と語ります。
東京都内の美容室に就職が内定している友恵さんですが、技術を学び、将来は地元に戻ることが希望です。興味のある分野はブライダル。着付け、ヘア、メイク―まだまだ学びの日々が続きます。

(広報いちのせき平成21年2月1日号)