岩手県最古の算額不動尊算額(金ヶ崎町)

不動尊算額。県の指定文化財

算額は、自分で作った数学の問題を絵馬に仕立てて神社仏閣に奉納したものです。
難しい問題を作れるようになったことへの感謝の気持ちとさらなる学力向上を祈願して奉納したものと考えられます。
市内には58面の算額が残っていますが、これは市町村単位では全国一の数を誇ります。
この算額は、金ケ崎町の不動尊に元文6(1741)年に奉納された岩手県最古のもので、県の指定文化財となっています。
全国でも7番目に古い算額です。
同町には、仙台藩の要害が置かれ、寛永21(1644)年から伊達氏の一族である大町氏が治め、周辺は城下町として整備されました。
要害と武家屋敷一帯は、国の重要伝統的建造物群保存地区とされ、現在も江戸時代のたたずまいを残しています。
算額が保管されていた鈴森家も、この地区にあります。
鈴森家は大町氏の家臣で、浄信院という修験(山伏)の家でもありました。
算額を奉納した岩崎秋房も大町氏の家臣です。
算額は、縦68センチメートル、横220センチメートルと大型で、図形に関する問題3題と、算木という道具を用いた天元術による計算方法の説明があります。
また、岩崎秋房が、和算の免許状を受けた記念に算額を奉納したと書いています。
一関地方で和算が盛んになる以前の算額です。
古いために劣化が進み、保存上展示する機会が少ない資料ですので、この機会にぜひご覧ください。

1問目の現代的な解法(「庶民の算額展」図録2005年より)

 1

問題

いま大きな正方形に5個の図形(円、中正方形、小正方形、正三角形、直角三角形)が切り抜かれている。
残った面積Sとa4の和はS+a4=65580.185であり、a+b+c+2r+d+k=51であり、さらに2r-b=1、b-c=1、c-d=1、d-k=1、e-d=2なる条件のとき、cを求めよ。

答え

c=7
ただしπ=3.16、4分のルート3=0.433とする。

解説

条件からb=c+1、d=c-1、k=c-2、e=c+1をS=a2-b2-c2-πr2-4分のルート3k2-2分の1edと、a=50-4cをS2+a4=65580.185に代入する。
cに関する4次方程式(三乗方)を解けばよいとしている。
a=16、b=8、c=7、d=6、k=5、2r=9、e=8、S=44.185となる。

一関市博物館案内

GW(ゴールデンウィーク)展
岩手県最古の算額

■会期…4月29日(金)(祝)~5月15日(日)
【関連行事】展示解説会
■開催日時…5月1日(日)10時~10時30分、13時30分~14時の2回

テーマ展1
中世荘園からの招待状‐図解 骨寺村‐

■会期…5月28日(土)~7月10日(日)
【関連行事】骨寺村荘園遺跡ツアー
■開催日…6月5日(日)13時~16時※参加無料

体験学習
体験・刀の見方入門編

■開催日…5月5日(木)(祝)【午前の部】10時30分~11時30分【午後の部】13時30分~14時30分※参加無料

古文書講座
「御郡方御用留」を読む(全7回)

■初回…5月15日(日)13時~15時■参加料…300円

美術についてのおしゃべりの会
テーマ「日本画」

■開催日…5月21日(土)13時30分~15時30分※参加無料

和算講座初心者コース 
楽しむ和算(全7回)

■初回…6月11日(土)13時30分~15時■参加料…300円

吾妻鏡から平泉を読み解く(全7回)

■初回…5月22日(日)13時30分~15時30分■参加料…300円

※詳しくは、広報4月15日号折り込みの博物館年間行事案内をご覧ください。

 

問い合わせ先

一関市博物館 TEL 0191-29-3180

ホームページhttp://www.museum.city.ichinoseki.iwate.jp
 

  (広報いちのせき 平成23年5月1日号)