再び襲った震度6弱の余震で、外壁が大きく崩落した萩荘公民館

 

死者・行方不明者が2万7000人を超え、
約15万人の人たちが
厳しい避難生活を余儀なくされる
未曾有の大災害となった東日本大震災。
4月7日深夜に発生した
マグニチュード7・1の余震は、
市内で本震と同じ震度6弱を観測。
落ち着きつつあった市民生活は
再びの停電、断水でおびやかされ、
復興への足を止めるような
甚大な被害を当市にもたらしました。

 


東日本大震災から、今日でちょうど1か月を迎えました。
まず、この間の不便な環境の中で市民の皆様が状況をよくご理解いただいて冷静に行動していただきましたことに感謝申し上げます。

時間の経過とともに、沿岸の被害の大きさと、その無残さに本当に身のすくむ思いであり、津波に飲み込まれた惨状をみるとき、こころが痛んでなりません。
また、福島第一原発の事故も、私たち日本人の生活についても少なからずの影響を与えるものと思います。

市民の皆様には、余震が収まりつつあった矢先の4月7日に震度6弱の地震が襲いかかり、再び恐怖を覚えた方も多かったのではないでしょうか。

さて、一関市は、相次いだ二度の地震により、家屋をはじめ、農業、工業、商業、そして、多くの社会資本においても多大な被害を被っていることが、調査が進むにつれて判明してきております。

しかし私たちは、いつまでもこの悲しみを憂いてはいられません。
市としましては、市民の皆様と一体となり、一日も早く以前の生活にもどれるように取り組んでいかなければなりません。
そのため、市としてできる限りの支援をしてまいりますので、市民の皆様においても希望をもって復興に努力をしていきましょう。

また、私たちの一関に隣接する陸前高田市と気仙沼市が大津波により多くの尊い命が奪われ、住み慣れた町も全て押し流されました。
市としましては、古くから交流の歴史があり、最も近隣の町の復興を支援していかなければならないと考え、平泉町、藤沢町と連携してできる限りの後方支援を行ってまいりました。

市民の皆様が、自らが被害者でありながらも数多くの救援や惜しみない協力をされている姿を見るとき、市長として皆様に心から感謝申し上げる次第であります。 
ちょうど1か月経過の日に、「がんばろう一関」、「がんばろう気仙」を合言葉に、この地域の完全復興を目指して前進していくことをみんなで誓いあいましょう。

平成23年4月11日(東日本大震災から1カ月の日)
一関市長勝部修


 再びの断水に、自主防災組織などの協力を得ての給水活動余震により大きく傾いた電柱(赤荻地区)停電のため信号も消えた交差点(東山町長坂地区)倒壊した沢配水池

震度6弱再び住宅への被害など甚大

3月11日に発生した巨大地震から1カ月を迎えようとしていた4月7日午後11時32分ごろ、宮城県沖を震源とするマグニチュード7・1、震度6弱の余震が当市を襲いました。
3月11日の本震に匹敵する大きな余震により、震災からの復旧と沿岸被災地への後方支援にかじを切り始めた当市にまたしても甚大な被害をもたらしました。

人的被害

落下物による負傷や割れたガラスによる切り傷など13人が軽傷を負いました。

ライフライン

電気は、送電が停止されたことから地震発生と同時に全域で停電となり、4月9日に全域で復旧しました。
水道は、一関地域を中心に各地域で断水。
約2万2600世帯が影響を受けました。この余震により沢配水池が倒壊し、200トン余りの水が流出する被害も。
給水車を配置し最大で28カ所に給水所を設けながら、復旧に努めました。
簡易水道を含めた全世帯の復旧は13日となりました。
道路は、3月11日の本震の影響と合わせ、市道37か所、県道4箇所、国道2カ所が全面通行止めとなりました。
公共交通機関は、鉄道が影響を受けました。
東北新幹線は、一ノ関~新青森間が4月7日に再開したばかりでしたが、再度運行を見合わせました。
24日に一ノ関~盛岡間が運行を開始する予定です。
東北本線も一ノ関~水沢間で運転を見合わせていましたが、15日から運転を再開しています。
また、大船渡線も18日から運行を再開しました。

住宅などの被害

今回の余震で最も被害が大きかったのが、住宅への被害。
全壊、大規模半壊などの被害が多く報告されています。
特に一関地域の赤荻地区などで被害が集中。
市では二次災害防止のための建築物応急危険度判定を行い、危険と判定された世帯に対し、雇用促進住宅など居住場所の確保に努めています。

被害額約77億円

4月12日現在の当市の被害額は、約77億円となり、3月29日現在の被害額約53億円から24億円の増加となりました(下表のとおり)。
住家などの被害は、この時点で全壊9棟、半壊6棟ですが、調査件数は7日の余震以降激増しており、被害棟数と被害額はさらに増加する見込みです。

  • 主な被害内訳(4月12日現在)

分野 調査率 被害額 主な内容
住家など 13.7% 住家全壊9棟、半壊6棟など
農地・農業用施設・林業 63.2% 12億2574万円 農地448カ所、ため池・水路など317カ所、農業施設86カ所
農作物・畜産関係 85% 8855万円 豚300頭、鶏約57万羽、生乳631トン
土木施設 80% 14億1496万円 河川28カ所、道路1040カ所、橋梁1カ所
学校・社会教育 80% 9億3143万円 学校教育施設67カ所、社会教育施設36カ所、体育施設38カ所
社会福祉 67.5% 8563万円 老人福祉施設など16カ所、保育園など17カ所
都市施設 93.6% 8億6963万円 上水道141カ所、簡易水道46カ所、下水道254カ所
商工・観光関係 67.6% 28億996万円 商業203事業所、工業186事業所
その他 84.9% 3億4763万円 公営住宅、消防施設ほか

県知事へ要望も

余震に伴う住家の甚大な被害に関して4月15日、達増知事が赤荻地区を視察した際、勝部市長は「予想以上の被害。被災された人たちの支援をお願いしたい」として住宅に被害を受けた世帯に支給される「被災者生活再建支援金」について▼家屋を解体する費用のかさ上げ、支援範囲を半壊にも拡大すること▼支援金の対象を私道の亀裂や崩壊、宅地敷地の亀裂や陥没、塀の倒壊や損傷、法面の崩壊などにまで拡大すること▼応急仮設住宅として民間賃貸住宅を対象とすることなどを要望。
達増知事は、「一関市と協力してしっかり対応していきたい」と述べました。

余震により外壁が大きく崩落した中里公民館多数の住宅被害が報告されました巨大な落石が道路の半分をふさいだ県道薄衣舞川線住宅被害が多数報告された赤荻地区を達増知事も視察。市では、復旧・復興のため県の支援を要請しました

地震による住家・非住家の被害調査(全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊の判定)について

市では、東日本大震災による住家・非住家の被害をとりまとめています。
住家・非住家が被害を受けている場合は最寄りの窓口に届け出てください(すでにり災証明発行のため被害認定調査を行ったものおよび応急危険度判定を行ったものを除く)。

届け出内容

△所在地△所有者名(法人を含む)△種類(例:住宅、車庫、土蔵など)△被害の状況(例:瓦の落下、壁が剥がれた、基礎のひび割れなど)△届出人の住所・氏名・連絡先
※届出用紙は本庁税務課または各支所市民課窓口に準備しています。

被害認定調査

所有者などの申し出により調査を行います。
被害が広範囲に及んでいるため、調査には時間がかかる見込みです。
被害調査前に修繕などを行う場合は、被害内容を確認できるよう、被害状況を撮影した写真と工事の見積書や明細書などを保管しておいてください。

届け出・問い合わせ先

本庁税務課電話21-8257または各支所市民課税務係

被災者生活再建支援金制度

対象となる世帯

(1)住宅全壊(※1)した世帯(2)住宅が大規模半壊(※2)した世帯(3)住宅半壊(※3)し、住宅をやむを得ず解体した世帯(4)敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯

※1住家全壊…住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもの。具体的には、住家の損壊、焼失もしくは流失した部分の床面積がその住家の延べ床面積の70%以上に達した程度のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表わし、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のもの。
※2大規模半壊…住家が半壊し、構造耐力上主要な部分の補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難なもの。具体的には、損壊部分がその住家の延べ床面積の50%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表わし、その住家の損害割合が40%以上50%未満のもの。
※3住家半壊…住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもの。具体的には、損壊部分がその住家の延べ床面積の20%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表わし、その住家の損害割合が20%以上50%未満のもの。

支援金の支給額

住宅の被害程度に応じて支給する支援金(A基礎支援金)と住宅の再建方法に応じて支給する支援金(B加算支援金)があります。

(単位:万円)

区分 A基礎支援金 B加算支援金 計(A+B)
(住宅の被害程度) (住宅の再建方法)
複数世帯
(世帯の構成員が複数)
全壊世帯 100 建設・購入200 300
補修100 200
賃借50 150
大規模半壊世帯           50 建設・購入200     250
補修100  150
賃借50 100
単身世帯
(世帯の構成員が単数)
全壊世帯 75 建設・購入150 225
補修75   150
賃借37.5 112.5
大規模半壊世帯 37.5 建設・購入150 187.5
補修75 112.5
賃借37.5 75

申請期限

【A基礎支援金】24年4月10日
【B加算支援金】26年4月10日

提出書類

【A基礎支援金】(1)被災者生活再建支援金支給申請書(2)被害程度のわかるり災証明書(本庁税務課または各支所市民課で発行)(3)住民票の写しまたは外国人登録原票記載事項証明書(世帯員全員のもの)(4)振込口座の通帳の写し(金融機関名、口座番号、世帯主名義「振り仮名」が印字された部分)※(住宅が半壊し、やむを得ず解体した場合は(1)~(4)に加えて(5)滅失登記簿謄本。
敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した場合は(1)~(5)に加えて(6)敷地被害を証明する書類【B加算支援金】(7)住宅の建設・購入・補修または賃借が確認できる契約書などの写し

申請先・問い合わせ先

本庁児童福祉課総務係または各支所保健福祉課

(広報いちのせき 平成23年5月1日号)