せんまやひなまつり3

【前進】裏から表へ

表方から裏方まで、全てを担う女性たち。
紡いだ「和」は、人から人へと連鎖して地域の「輪」を育み、新しいムーブメントを起こしています。

酒のくら交流施設の飾り付けをする実行委員のみなさん。明るく元気な声が響き、笑顔が広がる。

立ち上がった女たち

これまで地域の中で女性は、どちらかと言えば表舞台に出る機会は少なく、裏方を担う縁の下の力持ちでした。

ところが、少子高齢化が進み、核家族が増えた今、地域のつながりは希薄になっています。
他人の子をしかったり、よその家の高齢者を世話したりすることもめっきり減っています。

そんな中、「ひなまつりを通して、商店街に活気を取り戻したい」と立ち上がった女性たち。
蔵サポーターの会と一関商工会議所女性会千厩支部などが実行委員会を組織、せんまや逸品の会などが後援し、まつりを運営しています。

商店街のにぎわい創出に、人と人とのつながりは欠かせません。
昆野委員長は「人あってのひなまつり、人あっての商店街。一過性のイベントで終わらせないことが大事」と継続することの大切さを強調します。

まつりに込められた強い思いが、女性たちを一つに結束させています。

同じ目標に向かう

蔵サポーターの会は酒のくら交流施設の飾り付けと各種イベントを、商工会議所女性会と逸品の会はスタンプラリーや店頭の飾り付けをなど、それぞれが主体的に役割を担っています。
千厩まちづくり株式会社や千厩町観光協会の協力を得ながら、機能的に行動し、大きな力を生み出しています。

その姿に地元の飲食店も賛同。
期間中、ひなまつりを体感できるオリジナルメニューで県内外から訪れる人をもてなしています。

一関商工会議所女性会千厩支部長の佐藤郁子さん（64）＝千厩字東小田＝は「多くの店が協力していただけるのはうれしいですね。街中が同じ目標に向かうことが商店街や地域の活性化に結びつくと思っています」と前を見ます。

おもてなしの心で

せんまやひなまつり成功の秘けつは、世代をつなぐ縦軸と地域を動かす横軸を、ひなまつりというイベントでリンクさせた、その仕組みにあります。

これによって普段なかなか交流できなかった「大人同士」「子供同士」「大人と子供」「市内と市外」などの複数のつながりがよみがえったり、新しいコミュニティーが生まれたりしているのです。

人を気遣い、思いやる女性たちの人情あふれる温かいおもてなしは、最上の時間を創り出し、訪れる人に自然体の安らぎを与えています。
女性たちが紡いできた「和」は人から人へと連鎖して、地域の「輪」を育み、風習を文化に、歴史を観光に変えてしまう新たなムーブメントを巻き起こしています。

千厩の古くて新しい取り組みに、各方面から期待が寄せられています。佐藤郁子さん

ひなまつり実行委員の一人一関商工会議所女性会千厩支部長
佐藤郁子さん　さとういくこ　64　千厩字東小田

商店街の活性化に向け、まずは、それぞれの店が特徴を出して少しでも繁盛することが大事だと思っています。
地盤がしっかりしてこそ、地域のために働くことができるからです。
訪れた人には、おもてなしの心で接しています。
皆さんに気持ちよく帰ってもらうことが「また来たい」と思ってもらうきっかけになるからです。
同じ目標に向かって共に努力することが、互いの「絆」や「信頼」につながると思っています。