平成24 年度の一般会計の総額は、704億9,403万円。
平成17年の合併以降、初の700億円台の予算。
予算のあらましをお知らせします。

予算の概要

本市の財政状況は、地域経済の回復の遅れなどにより、市税収入の伸びは期待できず、依然として厳しい状況にあり、歳入の多くを地方交付税(※1)が占めています。
そのため、景気の動向や国の施策に大きく影響を受ける構造になっています。

市の会計と予算総額

市の予算は、基本的な事務や事業を行う一般会計、国民健康保険や下水道事業のように加入者や利用者が負担する特定の収入で経費を賄う13の特別会計、水道事業会計や病院事業会計のように経費を水道料金や診療報酬などで賄う3つの公営企業会計に区分されます。

一般会計の予算額は、704億9403万円で、前年度当初予算額と比べて52億2933万円(8.0%)の増加となりました。
予算額が増加したのは、災害に強いまちづくりの推進、磐井川堤防改修に伴う公共施設の移転事業などによるものです。

特別会計は、下水道事業特別会計が、補修工事費などの増により、2億5402万円(7.8%)増加し、国民健康保険特別会計が、一般被保険者療養給付費の減などにより2億4922万円(1.8%)減少しました。

一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせた全会計の予算総額は990億5834万円で、62億7193万円(6.8%)増加しました。

一般会計歳入の内訳

歳入のうち自主財源(※2)である市税収入は、厳しい経済情勢から、23年度と比べて3億3411万円(2.9%)減少する見込みです。

依存財源(※3)は、地方交付税が19億7059万円(7.8%)増加する見込みです。

しかし、市税や地方交付税などの歳入だけでは財源が不足することから、7億8506万円の基金を取り崩し、財源を確保しました。
また、市の借入金である市債は、消防施設整備事業債の増額などにより、前年度と比べ43億2232万円の増加となりました。

<グラフ1>一般会計歳入
<グラフ1>一般会計歳入

一般会計歳出の内訳

歳出を目的別(※4)に見ると、民生費が167億4472万円で最も大きな割合を占め、次いで教育費101億6617万円、公債費94億7784万円と続きます。

性質別(※5)に見ると、総合計画基本計画事業などの実施に充てる投資的経費(※6)は、総額156億7389万円で、23年度より44億7057万円増加しています。
これは、防災行政情報システム整備事業費が1億4679万円、一関図書館整備事業費が7億5197万円増加したことなどによるものです。

義務的経費(※7)は、23年度と比べて4億2542万円(1.4%)減少して306億3387万円となっています。
これは、公債費が1億1245万円増加したものの、人件費が職員数の削減などで3億6358万円減少したことなどによるものです。

<グラフ1>一般会計歳出(目的別)
<グラフ1>一般会計歳出(目的別)

市債と基金の残高

市の借入金である市債の24年度末の残高見込みは、公共事業のために借入れたものが、一般会計で673億7252万円、特別会計と公営企業会計を含んだ全会計の合計は1215億2219万円になる見込みです。
一般会計分は消防施設整備事業債や道路橋梁(きょうりょう)整備事業債などにより、特別会計分では簡易水道事業の整備などによりそれぞれ増加しています。
これらを市民1人当たりにすると、一般会計は約53万円、全会計では約95万円となります。

また、市の貯金ともいえる基金の主なものの24年度末の残高見込みは、財政調整基金が39億9117万円、市債管理基金が47億6041万円となる見込みです。
この2つの基金の合計を市民一人当りにすると、約7万円となります。

本年度も、市民の皆さんからお預かりした大切な税金を効果的、効率的に活用するとともに、財政運営の健全化に努めます。
※前年度比は一関市と藤沢町の平成23年度当初予算を合算した額(相互の出入りを減額調整後)と比較した実質的な増減です。

<表>24年度予算の規模

会計名 予算額 23年度比
(増減率)
一般会計 704億9,403万円 8.0%
特別会計 国民健康保険 133億4,126万円 △1.8%
後期高齢者医療 11億2,422万円 1.0%
介護サービス事業 4,471万円 △1.2%
土地取得事業 339万円 △1.6%
金沢財産区 1,001万円 △0.0%
都市施設等管理 1億5,707万円 △14.3%
工業団地整備事業 1,380 万円 △76.3%
市営バス事業 1億6,204万円 8.9%
簡易水道事業 30億4,028万円 2.7%
下水道事業 34億9,426万円 7.8%
農業集落排水事業 3億9,886万円 3.6%
浄化槽事業 1億8,073万円 6.4%
物品調達 3,235万円 △0.6%
水道事業会計 40億4,940万円 30.3%
工業用水道事業会計 2,535万円 △ 29.6%
病院事業会計 24億8,658万円 1.9%
合計 990億5,834万円 6.8%

用語の解説

※1 地方交付税…全国市町村の行政サービスが一定水準になるように、国から配分されるお金
※2 自主財源…市税や使用料など市が自主的に収入することができる財源
※3 依存財源…地方交付税、国・県支出金など国や県から交付される財源や市債など
※4 目的別経費…経費を行政的性質を基準として分類したもの
※5 性質別経費…経費を経済的性質を基準として分類したもの
※6 投資的経費…道路、学校の建設など、社会資本の整備や災害復旧に要する経費
※7 義務的経費…人件費(職員の給与、議員報酬など)、扶助費(社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、障がい者などを援助する経費)、公債費(市の借金(市債)などの償還金)を合計したもので、その支出が義務づけられ、任意に削減できない経費

2度にわたる大きな災害の教訓を生かして災害に強いまちづくりを進め、新たな仲間として加わった藤沢町はもとより、沿岸被災地や当市に避難されている方々とともに力を結集して困難に立ち向かい、震災からの復興と中東北の拠点都市形成に取り組む予算です。

広報いちのせき「I-Style」 平成24年4月15日号