蔵元レストラン「世嬉の一」の
佐藤晄僖さんは「一関もち食推進会議」の会長。
もち食文化の継承・普及と
もちの里一関の今後の展望について聞いた。

佐藤晄僖会長
一関もち食推進会議 佐藤晄僖会長
世嬉の一酒造株式会社 代表取締役会長

一関地方は「日本一のもち文化圏」といわれています。
市内には、もちに関係する団体が多数あり、それぞれがもちをPRしようとさまざまな活動を展開しています。

各団体間の連絡調整やこうした「もち食文化」を深く理解して、広く普及させようと2010年8月、「一関もち食推進会議」を発足しました。
主な活動は「学校給食へのもち食の提供」「冷凍もちの推進」「粉末もちの開発」「もち米の増産」─などで、関係団体と連携しながらさまざまな取り組みを行っています。

一関を訪れた観光客が立ち寄れる場所を増やしたい─

これが、世嬉の一のメニューに、もち料理を加わえた理由です。
当初は「はっと」(すいとん)を郷土料理として提供していました。
ところが、お客さんの反応はいまひとつ。
そこで、もち米消費量の拡大も考え、郷土料理のもちに着目したのです。
看板メニューは「もち本膳」。
もちサミットに出品した「牛辛スープ餅」も評判は上々です。

一関のもちは、先人の知恵や結いの精神が詰まった地域の誇りです。
京懐石料理や江戸前寿司と並び「ユネスコ無形文化遺産」の候補に挙がるなど、世界中から注目されています。

大事なことは、もちが空腹を満たす、栄養を摂取する食で終わらないこと。
「もち食文化」と呼ばれるのは、家庭の絆を強めたり、地域の融和を深めたり、人と人とをつなぎ、良好な人間関係を築いてきたからなのです。
それは、教育やしつけの場でもあったのです。

一関のもち食文化を普及していくためには、バリエーションを増やしていくことが重要だと思っています。

変化の激しい時代の中、食への嗜好(しこう)や食を取り巻く環境は目まぐるしく変わっています。
まずは、個々の飲食店が、その変化に対応しなければなりません。
それが商店街全体へと広がっていけば、消費の拡大につながると思っています。

そんな中、「もち食文化を通したおもてなし」に賛同した店舗の集まりが「一関・平泉もち街道」です。
現在、約30店舗が加入して、伝統的なもち料理からスイーツなどの創作料理まで、さまざまなバリエーションの商品を提供しています。

理想は、「宇都宮の餃子」や「横手の焼きそば」のように、街中に専門店が並ぶもち街道。
もちを目当てに多くの人が集まれば、街全体がにぎわいます。商店街だけでなく、地域経済の活性化にもつながります。

一関で生産されたもち米の90%以上は、新潟県などに流通されています。
目指すのは、地元で製品化することです。
つまり、第6次産業の確立です。
第一次産業のもち米を生産だけで終わらせず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光にまで結びつくような取り組みです。
平たく言えば、もちという地域資源を生かしたサービス。
そこまで踏み込めれば、もちの里一関の知名度は一気に向上するはずです。

一関のもち食文化は、特定の人が携わってきたわけではありません。
多くの人がそれぞれの立場で継承したり、PRしたり、それぞれの役割を果たしてきたから今があるのです。
そのスタンスはこれからも変わりません。
みんなの知恵と力を結集して、普及拡大を目指します。

蔵元レストラン「世嬉の一」の「もち本膳」蔵元レストラン「世嬉の一」の「もち本膳」 

¥2,100(税込)
祝儀、不祝儀などメニューに違いはあるが、あんこもち、雑煮、しょうがもち、大根おろし、たくあんなどが並ぶ。
食べ方に独特の作法があり、大根おろしを一口食べてあんこもちから食べ始める。
締めは雑煮だ。
たくあんを1枚残しておくことがポイントだという。
最後に配られる「膳の湯」をおわんに注ぎ、たくあんできれいにするからだ。

世嬉の一酒造株式会社

世嬉の一酒造株式会社〒021-0885
一関市田村町5-42
TEL:0191-21-1144
http://www.sekinoichi.co.jp/

蔵を利用した施設は、レストランせきのいち、石蔵クラストン 、いわて蔵ビール工場、酒の直売所、酒の民俗文化博物館などからなる
 

一関・平泉もち街道 市内の主な加盟店とオリジナルメニュー
問い合わせ先 一関・平泉もち街道の会TEL:0191-34-5040 

大福屋 大町6-31 TEL:0191-23-3566
手作り大福

大福屋
¥130~
小倉やずんだなど、素材にこだわり、保存料を一切使わない大福です。
大福屋
創業101年。
3代目鈴木重男さんが委託農家が栽培したもち米をこねて作る大福はコシが違います。
季節限定(2~5月)の草餅も人気。
おいしさへのこだわりから、その日の気温によっては作らないことも。
保存料を使わない、昔からの味をご賞味ください。

居酒屋 和夜我家 新大町154 TEL:0191-21-8120
モチ入りお好み焼

¥680(税込み)
自慢の創作料理と一緒にお楽しみください。

松栄堂総本店 地主町3-36 TEL:0191-23-5008
ずんだもち(冷凍和菓子)

5個入り¥600~
一関地方のもち米「こがねもち」にずんだをたっぷりからめた人気の冷凍和菓子です。

酒肴庵 喜の川 上大槻街2-7秀和ビル1F TEL:0191-26-5578
揚げだしみぞれもち

揚げだしみぞれもち
¥400円
日本酒にもよくあいます。
うまい東北の地酒(約50種)のお供にどうぞ。 

居食屋 作 大町3-8シティビル1F TEL:0191-21-4800
納豆きつね餅

¥550(税込み)
いなりに納豆もちを入れて焼いた一品。
日本そばも食べられます。 

農家レストラン 夢みる老止(おとめ)の館 花泉町油島字上柏木39 TEL:0191-82-2722 
山菜膳と餅膳

¥2,100(税込み)
築200年の古民家で、花泉のもちを食べながらゆっくりお過ごしください。 

ひがしやま観光ホテル 東山町長坂字町436 TEL:0191-47-2211 
げいび御膳

げいび御膳 
¥1,500(税込み)
げいび渓名物「アユの塩焼き」、「もち三種」と「ハット汁」のセットです。

げいびレストハウス 東山町長坂字町376 TEL:0191-47-3355
もち三種

もち三種
¥350(税込み)
あんこ、くるみ、きなこの三種のもちを気軽に楽しめます。

かんぽの宿一関 厳美町字宝竜147-5 TEL:0191-29-2131
二色もち

1泊2食付き¥9,000~
朝食バイキングに2種類のもち料理が出ます。

いつくし園 厳美町字南滝の上15 TEL:0191-29-2101
ずんだもち「平泉黄金王国プランの一品」

1泊2食付き¥10,650
名勝厳美渓と季節の花に囲まれて、ずんだもちをお楽しみください。

道の駅厳美渓 厳美町字沖野々220-1 TEL:0191-29-2000
力もちラーメン

力もちラーメン
¥500(税込み)
磯辺もちとしょうゆスープが絶妙のボリューム満点の一品。
もちがとろけます。

隣接する産直から新鮮な食材を仕入れ、地産地消料理を提供しています。
一関産こがねもちを100%使用したもちは、粘りとコシの強さが特徴。
「南部一郎カボチャ」や「トマト」など季節限定のもちも。
つきたてが一番。
柔らかいうちにお召し上がりください。

矢びつ温泉 瑞泉閣 厳美町字下り松65-2 TEL:0191-39-2031
しょうがもち

1泊2食付き¥8,550~(2人以上)
開業時から夕食にしょうがもちを出しています。

Tea Room「風」 厳美町字下谷地152-11 TEL:0191-39-2072
もちミルクティー

ミルクティーの中にもちが入っています。
きなこや黒ミツのトッピングも可。

古曲田家(こまがたや) 厳美町字駒形159-3 TEL:0191-39-2930
もち膳

¥1,500
ねぎえびおかかもちがオススメです。

祭畤温泉 かみくら 厳美町字祭畤32 TEL:0191-39-2877
おしるこ・あんもち、香の物付

¥500(税込み)
自家製漬け物とおしるこでゆっくりとおくつろぎください。

三彩館ふじせい 上大槻街3-53 TEL:0191-23-4536 http://www.fujisei.co.jp
ひとくちもち膳(雑煮付)

ひとくちもち膳(雑煮付)
¥1,575(税込み)
一関ならではのもち料理を一口サイズで9種類。
雑煮は具だくさん。
三彩館ふじせい
築90年の旅館を改築して和食処を開業したのは、くしくも「もちりんピック」が始まった91年。
一関ならではのおもてなし料理として「もち」を提供することにしました。
雑煮と合わせ9種類のもち料理を味わえる「ひとくちもち膳」はお店の看板メニュー。
「たくさんの種類を楽しんでほしいから」と一口サイズにして美しい有田焼の器に盛り付けました。
目でも舌でも楽しめる「ひとくちもち膳」を目当てに訪れるファンも多く、観光シーズンには1日80食以上を出すことも。
ご主人の伊藤信行さんは「仙台なら牛タン、盛岡なら冷麺というように、一関なら『もち』と言われるようになりたいですね」とにっこり。
「ひとくちもち膳」を考案した篤子さんは「もち文化は一関の誇り。まずは地産地消を進めましょう」と呼びかけます。
手間暇かけた逸品は、お取り寄せも可能。
湯煎で解凍すれば、つきたてと変わらない味と風味を楽しめます。
詳しくはホームページで。

広報いちのせき「I-Style」 平成25年3月1日号