かつて「骨寺村」と呼ばれ、平泉・中尊寺の荘園だった本寺地区。
「骨寺村荘園中尊寺米納め」は、中尊寺経蔵に米やまきを奉納する習わしだ。
中世の行事を再現し、先人の思いを継承する人々を追った

吹雪の中を中尊寺目指して歩く一行
吹雪の中を中尊寺目指して歩く一行

吹雪の荘園にホラ貝が響く。背中に米俵やまきを背負った白装束の大行列は、映画のロケをほうふつとさせる。

「骨寺村荘園中尊寺米納め」(本寺地区地域づくり推進協議会主催)は昨年12月15日に行われ、県内外から参加した108人が中尊寺経蔵(きょうぞう)へ米やまきなどを奉納した。

駒形根神社で行われた出発式で安全を祈願した一行は雪中、中尊寺を目指して出発。本寺川沿いの雪深い道を慈恵大師拝殿(じえいたいしはいでん)まで歩いた。
その後、平泉町へ移動。町内を練り歩き、いよいよ中尊寺へ。町民や観光客らに見守られながら月見坂を上って経蔵入りした。

1出発式で祝辞を述べる田代副市長 2出発式が行われた駒形根神社 4雪中、ホラ貝の重厚な響きがこだまする
3108人の大行列は大迫力 5慈恵大師拝殿で1年の実りに感謝し無病息災を祈る
6行列は平泉町内へ 7中尊寺が近付き笑顔も 8拝殿内で祈祷する経蔵別当の菅原光中住職

1_出発式で祝辞を述べる田代副市長
2_出発式が行われた駒形根神社
3_108人の大行列は大迫力
4_雪中、ホラ貝の重厚な響きがこだまする
5_慈恵大師拝殿で1年の実りに感謝し無病息災を祈る
6_行列は平泉町内へ
7_中尊寺が近付き笑顔も
8_拝殿内で祈祷する経蔵別当の菅原光中住職
 

同協議会専門部長の髙橋博(ひろし)さんが、参加した108人の名前を読み上げ、名簿を献上。米、まきや特産品の「南部一郎かぼちゃ」などを経蔵内に奉納した。
出迎えた中尊寺の山田俊和貫首(かんす)は「困難な道を越えて、奉納されたことに感謝します。いつまでも荘園米が豊かに実ることを願います」とねぎらい、経蔵別当の菅原光中(こうちゅう)住職は奉納読経を行った。

経蔵別当・自在房蓮光(じざいぼうれんこう)が所有する骨寺村は、初代藤原清衡(きよひら)公の時代から300年にわたって中尊寺を支えた荘園。
第二次大戦後、途絶えていた「米納め」を06年に同協議会が復活させた。

7回目の今年は、地元本寺中の生徒、岩手大や東北芸術工科大の学生など若い世代の参加が多く、行列は過去最高の108人。
同協議会の佐藤勲(かおる)会長は「先人の営みや荘園の歴史的、文化的価値を次世代に伝え、古里への誇りや愛着を醸成することが私たちの使命」と伝統継承に力を込めた。

9読経が響く経蔵前は、木漏れ日と風に舞う雪で幻想的な空間に
10参道を練り歩く 11 参道に続く急な坂道を登る
 12本寺の特産品「南部一郎かぼちゃ」を奉納 13 奉納読経が行われた中尊寺経蔵

9_読経が響く経蔵前は、木漏れ日と風に舞う雪で幻想的な空間に
10_参道を練り歩く
11_参道に続く急な坂道を登る
12_本寺の特産品「南部一郎かぼちゃ」を奉納
13_奉納読経が行われた中尊寺経蔵

本寺地区地域づくり推進協議会 佐藤勲(かおる)会長

佐藤勲会長

先人の思いを体感できる伝統行事です。
最近、若い人たちの参加が増えて、とてもうれしく思います。

 

 

 

 

 

國廣利紗(くにひろりさ)さん 岩手大3年

國廣利紗さん

景観だけでなく、地域の文化や人の温かさも本寺の魅力。
参加して良かった。来年も必ず参加します。

 

 

 

 

 

佐藤蘭(らん)さん 本寺中1年

佐藤蘭さん

寒くてつらかったけど、長い歴史がある行事なのでやりがいを感じました。
伝統を受け継いでいきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年1月15日号