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日本全国で3万人、一関市で40人―
ここ数年の、年間の自殺者の数です
自殺には、心や身体の健康問題、経済・生活問題など
さまざまな社会的要因が
複雑に関係しているとされています
自殺は個人だけの問題ではありません
地域全体で「気づき・見守り・支え合う」対策が
必要とされています
自殺は誰もが出合う可能性のある問題
ぜひこのページに目を通してみてください                  

知る

全国で3万人―

毎年多くの命が失われています

毎年、多くの命が自殺により失われています。
わが国の自殺者数は平成10年に3万人を超え、以後その水準で推移しています。

先ごろ警察庁が発表した22年の自殺者数は、3万1560人でした。
自殺未遂者はその数倍、周囲で影響を受ける人はさらに多くに上ると考えられています。
人の命は何物にも代えがたいもの。

自殺は本人にとってこの上ない悲劇であるだけでなく、家族や周囲の人たちに大きな悲しみをもたらし、社会全体にとっても大きな損失となります。

個人の問題だけではありません
地域の課題でもあります

本市においても深刻な状況が続いています。

10年には死亡者54人を数えたのをはじめ、21年には前年の35人から50人と急増。

自殺率は10万人当たり44.3人と全国平均の10万人当たり24.0人を大きく上回っています。

この数は、交通事故による死亡者(20年12人、21年4人)をはるかに上回っています。
本市の自殺者の状況を見ると、

▽男女比は7対3で男性の割合が高い

▽男性では40~60歳台の働き盛り世代が多い

▽女性では60~80歳代の高齢者世代が多い

▽自殺の原因・動機は「健康問題」「経済・生活問題」と続くが、背景にはさまざまな悩みが複雑に関係している―などの課題が浮かび上がってきます。

予防は可能です

身近な人が発しているサインに早めに気づいて

自殺は健康問題や経済的な理由などから、本人が自分の意志で選択したものと考えられがちですが、うつ病など心の病や、孤立などにより、自殺しか解決策がないと思い込んでしまっている場合が少なくありません。
一人一人が地域で心の病やさまざまな問題に追い詰められた人の心と身体のサインに早く気づき、適切に対処していくことが、自殺防止につながります。

一関市の原因・動機別自殺者数※21年内閣府自殺対策室資料より
一関市の原因・動機別自殺者数
自殺者数の年次推移※21年人口動態統計より
自殺者数の年次推移

気づく

悩みを抱えている人のサインに気がついたら
相談機関に相談を
自殺を考えている人は、悩みを抱えながら何らかのサインを発しています。
▽原因不明の身体の不調が続く
▽本人にとって価値あるものを失う―などの「不調のサイン」のようなサインが数多く認められる場合は、危険が高まっていると考えられます。
周囲がサインに気がついたら、相談にのったり、声を掛けましょう。
そのほか、相談機関(※)の活用をお勧めします。※相談先は7ページに記載。
追い詰められた心と体は、さまざまな不調のサインを発していますが、サインの一つに「うつ病」があります。
しかし、うつ病にかかっている人の4分の3は、病気であると自覚しにくため、適切な治療を受けずにいるといわれています。
うつ病は、普段の生活で体験するストレスや病気をきっかけとして、誰もがかかる可能性がある病気なのです。
「気の持ちよう」や「心の弱さ」から起きるものではありません。
下記の「気をつけよう、「うつ」のこんなサイン」や「自分でできる「うつ」チェック」などを参考にして、自分の心の様子に関心を持ってみませんか。
不調のサイン※厚生労働省「職場における自殺の予防と対応」自殺予防の10カ条より
これらのサインが多く認められる場合は、早めに相談機関への相談をお勧めします。
  1. うつ病の症状がある
  2. 原因不明の身体の不調が続く
  3. 飲酒量が増える
  4. 安全や健康が保てない、ささいな事故やけがが頻繁に起きる
  5. 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
  6. 職場や家庭でサポートを得られない
  7. 本人にとって価値あるもの(職、地位、家族、財産)を失う
  8. 重症の病気にかかる
  9. 自殺を口にする
  10. 自殺未遂に及ぶ
気をつけよう、「うつ」のこんなサイン
心の変化
【感情面】
▽憂うつ
▽気分が重い
▽気分が沈む
▽悲しい
▽イライラする
▽自分を責める
▽死にたくなる
【意欲面】
▽やる気がでない
▽集中力がない
▽決断が下せない
▽興味・関心がなくなる
体の変化
▽不眠
▽食欲がない
▽だるい
▽疲れやすい
▽頭痛
▽めまい
▽便秘がち
▽性欲がない―など
周りから見てわかる症状
▽表情が暗い
▽涙もろい
▽反応が遅い
▽落ち着きがない
▽飲酒量が増える
自分でできる「うつ」チェック

ここ2週間以上続いているものにチェックしてください。

  1. □毎日の生活に充実感がない
  2. □以前は楽にできたことが今ではおっくうに感じる
  3. □わけもなく疲れたような感じがする
  4. □これまで楽しくできていたことが楽しめない
  5. □自分は役に立つ人間だとは思えない
1.から5.のうち、2つ以上あてはまり、その状態が2週間以上、ほとんど毎日に続いていて生活に支障が出ている場合、「うつ状態」の可能性があります。
相談機関への相談をお勧めします。

防ぐ

ストレスをため込まないよう
心の状態に注意し上手な休み方を考えましょう
ストレスが多い現代社会では、積極的にストレスをため込まない生活の工夫をすることが大切です。
▼日頃から、自分の心の状態に注意し、対処していきましょう。
▼自分の限界に気づき、上手な休み方を考えましょう。
▼悩みや不安を抱えたときは、信頼できる人に相談しましょう。話すこと自体が心を軽くする上、その問題を新しい角度から見るきっかけにもなります。
地域みんなで気づき・見守り・支え合い
かけがえのない命と心を守る
市は21年度から23年度を計画年度として「一関市自殺対策緊急計画」を策定。
庁内関係課連絡会議で情報共有・協力体制を進めています。
うつ・自殺予防について、市民対象の講演会や保健師手作りの紙芝居を用いた健康教育などを実施。
また地域のキーパーソン(鍵となる人)向けに傾聴ボランティア講座を開催しています。
公共施設には相談窓口のステッカーを貼り、周知に努めています。
「自殺に傾く人」を早期発見、早期対応できる人材養成のための研修会、家庭訪問の実施、臨床心理士による「こころの健康相談会」なども行っています。
自殺対策は、「心の健康づくり」と「悩んでいる人をみんなで支え合っていける地域づくり」です。
自殺に傾く人、心の病を抱える人は周囲にサインを発しています。
すべての市民が一体となって、心の健康づくり(自殺対策)に取り組み、かけがえのない一人一人の命と心を守っていきましょう。

専門家に聞く

一関市医師会福祉医療部長 秋保茂樹さん
秋保茂樹さん(昭和62年浜松医学大学卒業後、平成13年1月まで県立南光病院に勤務。同4月から心療内科、精神科の秋保クリニック院長。50歳)
自殺は医療だけでは解決できない
本人は問題を抱え動けないので周囲がサポートしてほしい
自殺は、三つ、四つと悩みの原因が重なり、「死にたい」状態になってしまうもの。
お金、仕事、家庭、病気などの悩みが多く、「死にたい」ほどの状態になる場合は、多くはうつや、心が不健康な状態になっています。
近年、自殺対策はうつ対策、という風潮ですが、自殺は医療だけでは抑止できません。
薬を処方することでうつ病の治療はできますが、「仕事がない」「お金がない」などの悩みは医療機関では解決できないのです。
一関市の自殺者の傾向として、働き盛り世代の男性と、高齢の女性に多いのが特徴。
高齢者への自殺対策としては、保健・福祉分野で対策することが有効で、近所の人も介入しやすいと考えられます。
それに対し、働き盛り世代の男性の悩みには、職業相談や、信用生協が行うお金に関する相談が有効。
秘密を守ることが義務付けられている専門の相談機関があることを知り、ぜひ利用していただきたい。
これらの相談窓口の存在を、繰り返しお知らせしていくことが大切だと考えています。
医師会が連携し取り組み
一関市医師会は、22年度から、「一関地域うつ医療連携用診療情報提供書」を作成しました。
うつ症状の人は、体の不調を訴えてかかりつけ医にかかることが多いのですが、医師はうつ病らしいと気づいても、診断が難しいことと、患者に精神科の受診を説得したりと、紹介状を書くまでに時間がかかってしまうもの。
かかりつけ医の負担を軽くするために様式を作り、医師会全体で取り組んでいるものです。
このような取り組みは静岡県富士市が先進的例として知られ、「富士モデル」と呼ばれています。
「お父さん、眠れてる?」をキャッチフレーズに、うつの典型的な症状「眠れない、食欲がない、好きなことが楽しくない」に絞っているもの。
自殺者の増加が全国的な問題となっていることから、このような取り組みが全国的に広がっています。
日本人は、眠れないとアルコールの力を借りようとする人が多いものですが、うつの人がアルコールを取ると逆効果。
かえって気持ちが落ち込み、睡眠も不自然になります。
専門相談機関の利用を
多くの悩みを抱えている人は、いくつもある問題のうち、一つでも解決できれば、「死にたい」という気持ちがなくなっていくのではないでしょうか。
家族や友人がこのような症状になっていることに気がついたら、専門機関への相談を勧めてください。
本人はたくさんの問題を抱えて動きがとれない状態。
周囲がそのサインに気がついてサポートすることで、自殺を考える人は減るのではないでしょうか。

一人で悩まずご相談ください

さまざまな悩みを抱えたら、または身近な人の様子が普段と違うと気がついたら、まずご相談ください。
苦しい状況を何とか乗り切るため、一緒に考える相談窓口を紹介します。
併せて、さまざまな方法で支え合う活動をしている取り組みを紹介します。
心身のこと
心や体の不調で悩んでいませんか?
相談窓口電話番号相談時間
市の機関一関保健センター21-2160(月)~(金)8:30~17:15
花泉支所保健福祉課82-2216
大東支所保健福祉課71-1211
千厩支所保健福祉課53-3952

東山支所保健福祉課

47-4530
室根支所保健福祉課64-3805
川崎支所保健福祉課43-4022
県の機関一関保健所26-1415(月)~(金)8:30~17:15
岩手県精神保健福祉センター019-622-6955(月)~(金)9:00~16:30
借金のこと
借金や負債で悩んでいませんか?
相談窓口電話番号相談時間
市役所生活環境課生活保全係21-8342(月)~(金)8:30~17:15
岩手県消費者信用生活協同組合一関相談センター26-6031(月)~(金)9:00~17:00
仕事のこと
就職のことで悩んでいませんか?
相談窓口電話番号相談時間

一関市無料職業紹介所

(市役所労働政策室内)

21-8461(月)~(金)8:30~17:15

一関公共職業安定所

(ハローワーク一関)

23-4135(月)~(金)8:30~17:15
ジョブカフェ一関26-3910

(月)~(金)10:00~19:00

(日)10:00~16:30

生活困窮
生活や福祉に関することで悩んでいませんか?
相談窓口電話番号相談時間
市役所社会福祉課生活福祉係

21-2111

(内線8353)

(月)~(金)8:30~17:15
一関市社会福祉協議会23-6020(月)~(金)8:30~17:15
障がい福祉相談窓口
障がいをお持ちの人やそのご家族の相談
相談窓口電話番号相談時間
一関障害者生活支援プラザ31-3533詳細はお問い合わせください
地域活動支援センター一関26-5472
室蓬館障がい者サポートセンター72-2015
ハンズ相談支援事業所31-5720
ブナの木園<メイフラワー>34-9100
自死遺族
ご家族を自殺で亡くされた人の相談
相談窓口電話番号相談時間
岩手県精神保健福祉センター019-629-9617

毎月第2(水)

14:00~17:00

活動紹介「心の病と共に生きる仲間達連合会キララ」
心の病についての偏見は、受診を遅らせるだけでなく、社会で生きていくことを妨げてしまう恐れがあります。

うつ病や統合失調症などの心の病を抱える当事者がお互いの体験を生かし、心の病への対処方法を相談し合い、理解を広げるための活動をしている会です。

当事者同士だからこそできる支え合いで生きる力を得ていきます(平成16年9月結成)。

■定例活動

毎月第4(土)10:00~14:00
酒のくら交流施設(千厩町)
内容:ピアカウンセリング(相談会)や活動企画

■その他の活動

▽こころのシンポジウムの開催

▽心の病と苦手なことへの対処を学ぶ講座の開催

▽演劇で精神障がいへの理解を深め、広める活動▽レクリエーションによる交流

■会費

年会費500円

定例会参加費100円

◎問い合わせ先

ほのぼのステーション電話32-4889

活動紹介「自死遺族の語り合いと交流の場 『こころサロン』」

自殺によって突然、近しい人、大切な人を亡くした場合、残された人にもたらされる衝撃は大きく、ご遺族は深い悲しみだけでなく、責める気持ち、不安や怒りなどさまざまな思いを抱えています。
こころサロンでは、同じ経験を持つご遺族が集い、語り合いをすることで、お互いの悲しみや生きることを支え合う活動をしています。
*個人情報は厳守します。
*語り合い・分かち合いでは無理に発言を求めたりすることはありません。聞くことだけでも可能です。
*職員(保健師、相談員)が個別の相談もお受けします。

■開催日
2カ月に1回程度(次回は3月19日(土)14:00~15:40)
■会場
一関保健所(県合同庁舎内)
■内容
自死や遺族をめぐる支援の情報提供
語り合い・分かち合い
自死遺族自助グループりんどうの会例会
■参加申し込み
開催日の2日前までに予約
◎問い合わせ先
一関保健所保健課電話21-1482
 (広報いちのせき 平成23年2月1日号)