博物館だよりvol.36
中尊寺経蔵を照らしてきた灯火具 螺鈿平塵灯台
素焼きのかわらけに油を注ぎ、灯芯を浸してあかりを灯した器を灯明皿といい、その皿を載せる台を灯台といいます。
平泉の遺跡から、12世紀藤原時代の灯台が発掘されています。2枚の細長い木を十文字に組み合わせただけの簡素な作りのもので、皿を安定させるために中央部分を少し削り込んでいます。
一方、これとは対照的な贅を尽くした作りの灯台が900年にわたって伝世されてきました。ここに紹介する螺鈿平塵灯台です。
螺鈿平塵灯台は、中尊寺経蔵の堂内具として使われてきたものです。円形の基台に面取りしたさおを立て、上に灯明皿を置く台を付けています。
装飾も華麗で、黒漆地に金のやすり粉の粗いものを蒔いて研ぎ出した平塵という技法を用い、南方産の夜光貝の貝殻を平らに磨いて形を切り抜き、漆地にはめた螺鈿で飾っています。文様は想像上の五弁花をかたどった宝相華と蝶文をあしらっています。
藤原氏の栄華を物語る逸品です。
紺紙金銀字交書一切経そのほかを納める経蔵では、この灯台を仏前に置いて献灯供養してきました。
簡素な灯台、華麗な灯台、どちらも同じ時代に使われたあかりを灯した道具でした。
一関市博物館案内
テーマ展「あかり」
平泉藤原時代の灯台や灯明皿と、行灯、燭台、ちょうちんなどの日本の伝統的な灯火具から、石油ランプ、ガス灯などの洋風な灯火具までを「菅原清蔵コレクション」を中心に230点紹介します。
■会期…2月27日(日曜日)まで
■展示解説…2月13日(日曜日)11時~12時
和算に挑戦 表彰式
たくさんのご応募、ありがとうございました。
この日から、正解者名と解答例を博物館に掲示します。
■日時…2月27日(日曜日)13時30分~