POWER OF COMMUNITY

藤沢地域第24区自治会の防災リーダー佐藤幸生さん

2011年3月11日、フィクションを凌り ょうが駕するような惨劇が起きた。
東日本大震災である。

巨大地震と大津波という自然災害に原発事故という社会災害が重なった国内史上最悪の大震災。
事態は、従来の安全の常識を次々と覆し、「想定外」という言葉が流行語のように飛び交った。

当市もライフラインが寸断され、全域で停電や断水が続いた。
こうした中、「自分のことは後回し」で被害の大きい沿岸被災地に駆けつけた人たちがいる。
藤沢地域第24区自治会の防災リーダー佐藤幸生さんもその一人。
地震発生後、自治会内を巡回して自治会員の安否を確認すると、15日には徳田地区自治会協議会の一員として軽トラックに物資を積み込み、宮城県気仙沼市や南三陸町へ向かった。

「気仙沼は妻の古里。南三陸は隣町。被害の大きい地域を支援するのは当然」ときっぱり。
さらに、4月以降は、藤沢地域に避難してきた沿岸被災地の人たちを物心両面で支えている。
佐藤さんは「三陸と内陸は一つ。支援というより、復興へ向けて心を寄り添い、共に歩いて行くことが大事」と言う。

東日本大震災は、私たちの価値観を大きく変えた。
多くの人が家族や地域の「絆」を再認識させられた。
震災を機に、市民の安全・安心への意識や関心は日を追うごとに高まっている。
「想定外」を踏まえた災害に強いまち、災害に強いコミュニティーの再構築が求められている。

新春に当たり、心を寄り添えるコミュニティー、共に生きていけるコミュニティーの再生について考える。

Profile

さとう・こうき
1978年藤沢町生まれ。
04年に旧藤沢町自治会協議会が主催した地域防災リーダー養成研修を終了し、藤沢地域第24区自治会防災リーダーに。
一関市消防本部消防長から消防・防災セミナー指導者の認定を受け、地域防災活動の中心的役割を担っている。

いちのせきの広報誌「I-style」1月1日号