シリーズ駅大船渡線「Local Station」vol.2
神々が宿る山に抱かれる駅
市内室根町にある「折壁駅」。
旧室根村の中心駅として昭和3年に開業した。
「折壁」の地名は県内に4カ所あり、アイヌ語が語源だと言われている。
駅の近くで食料品店を営む小野寺董さん(99)と重男さん(71) が今回の案内人。
村の経済・文化の中心だった折壁駅。
室根神社特別大祭では多くの人を迎え入れる。
董さんは「全盛期は祭りを見る人であふれ、臨時列車が出るにぎわいだった」と当時を語る。
昭和29 年まで大船渡線の終着駅として多くの人が行き交った折壁駅も年々利用者は減少。
「終点だった頃が最盛期」と回顧する董さんの表情はどこか寂しげ。
重男さんは、同線を含む県内ローカル線が廃線の危機を迎えたとき「岩手ふるさと線を守る会」を立ち上げて活動。
「駅前でチラシを配ったことも」と振り返る。
見上げれば室根山。
神々が宿る山に抱かれ、四季折々の表情を見せる折壁駅。
人々の暮らしを見守ってきた建物は、植木の手入れや雪かきなど自主的に活動する多くの人たちに支えられている。
地域に慕われる駅を出ると上り列車は矢越駅に向かう。
車窓から望む室根山 |
雪かきの行き届いたホームと懐かしいたたずまいの待合室 |
菅原武勇(たけお)さん

利用する高校生の足が雪に埋もれてかわいそうとの思いから雪かきをしています。
無人駅になって寂しい限り。
自分にできることをやってあげたいです。
今では、雪かきとジョギングがいい運動になっています。
案内人
小野寺董(ただし)さん(左)・重男(しげお)さん(右)
来年行われる室根神社特別大祭には、多くの人が訪れ、駅前がにぎわってくれるとうれしいです。
今年で100歳。
これからも折壁駅を見守っていきます(董さん)。
いちのせきの広報誌「I-style」2月1日号