蘭学階梯(らんがくかいてい)

『蘭学階梯』は、一関出身の蘭学者大槻玄沢(1757-1827)の著作で、天明8年(1788)に日本で初めての蘭学入門書として出版されました。
上巻では、オランダとの交流の起源、蘭学の由来と効用など、下巻では、オランダ語の初歩、舶来の書籍、蘭学を学ぶ上での注意を述べています。
この本に啓発されて蘭学を志すものも多かったようです。

『蘭学階梯』は、多くの版を重ねましたが、最後の出版にあたった須原屋伊八は、明治19年(1886)にその板木(版木)を、大槻家に譲り渡しました。
この時、玄沢の孫大槻文彦は、百年も火災にも遭わず失われなかったのは神の加護のおかげ、これを玄沢の遺品の第一とすると、その喜びを記しています。

板木には、改訂した痕跡や、何層も重なった墨の跡がみられ、『蘭学階梯』の発行部数の多さ、影響の大きさを物語っています。

※『蘭学階梯』及びその板木は、博物館の「収蔵名品展」に展示されます。

蘭学階梯
蘭学階梯

いちのせきの広報誌「I-style」2月1日号