【特集】一関のおもてなし 3
裏表のないモノとコト
相手が喜ぶことを幸せに思える。
ここにも、あそこにも、一関のおもてなし。
もてなしの語源は「モノを持って成し遂げる」です。
「おもてなし」は、この「もてなし」に丁寧語の「お」を付けた言葉で、お客さんへの応対や待遇などにも使われます。
もう一つの語源は「裏表なし」。
つまり裏表のない「心」でお客さんをお迎えするということです。
おもてなしには、目に見える「モノ」と見えない「コト」があるといわれています。
例えば、食べる、飲む、体験するなどは目に見えるモノです。
お辞儀と笑顔で迎えたり、見送ったりすることは記憶に残る行動や仕草です。
一方、コトは、相手が喜ぶことや望むことを先回りして行うこと。
つまり、「人の心を読む」行動です。
こうしてみると、民区、自治会や商店街の活動は、立派なおもてなしです。
沿道に花を植えたり、地域を清掃したりすることは、私たちの生活環境をよくするだけでなく、訪れる人を迎える快適な環境づくりにもつながっています。
このように、おもてなしは、特別なことではありません。
日常、行われていることなのです。
行くと幸せになれる店があります。
料理や酒のおいしさもありますが、一番は心のこもったサービスです。
目配り、気配り、心配りによって、「居心地の良さ」というメニューには載っていない幸福感を得られるのです。
まちや地域にとって大事なことも同じ。
心のこもった「おもてなし」ができるかどうかです。
そこで過ごす時間の満足度が高ければ高いほど、また行きたくなるからです。
何でも手に入るこのご時世だからこそ、温かい触れあいに価値が生まれます。
行って良し、住んで良しを体感できるまちの指標は、ずばり「人」 。
モノとコト、表裏一体である二つのもてなしが幸福感を倍増させるのです。
何気ない普段の活動がおもてなし。
あんなことも、こんなことも。
市民に聞きました。
一関の魅力を発掘・発信おもてなしで交流を推進
昆野洋子さん・70歳・自営業・千厩町千厩
形に見えないおもてなしもあります。
それは人の心に響き記憶に残るもの。
できることはたくさんあります。
やる気のある人もたくさんいます。
気持ちを引き出して、地域の魅力をもっと発信していきましょう。
私たちにできるおもてなしで、農村と都市の交流の輪を、もっと広げていきたいです。
きれいな景観を見せることが私たちなりのおもてなし
佐藤勲さん・68歳・農業・厳美町字駒形
曲がりくねった水路は、本寺地区を象徴する景観です。
建設業協会、水道工事組合と地元の人が協力して行う整備作業は、排水をよくするためだけではなく、景観を守るためでもあります。
荒れたままでは訪れる人に失礼です。
心を込めて手を入れた景観を見せることが本寺流のおもてなしです。
ゆっくりと花を眺めて楽しみ、癒される、そんな空間を演出
永澤喜久子さん・77歳・主婦・千厩町千厩
庭に花壇をつくり始めて18年になります。
ゆっくりとお茶を飲みながら観賞できるようにお休み所を設置しています。
見に来てくれた人と談笑しながら過ごす時間は楽しいですね。
苗植えの時期をずらすなど長く楽しめるように手入れは欠かせません。
私自身、きれいに咲く花に癒され、楽しんでいます。
気持ちのいいあいさつは僕らにできる最高のおもてなし
小岩祐太くん・赤荻小学校児童会長・6年
あいさつは学校を明るくします。
学校が明るくなると地域の人も笑顔になります。
学校と地域が笑顔でいっぱいになれば、骨寺村や平泉に行くために遠くからここに来る人たちもうれしい気持ちになって喜ぶと思います。
だから、みんなでみんなにあいさつします。
あいさつで世界を幸せにしたいです。
お客さまとの関わりを大切に一言の声掛けで親身な接客
渡辺育恵さん・32歳・萩荘セブンイレブン一関山目店店長
朝は出勤や通学前に利用する人が多いので「行ってらっしゃい」と笑顔で送り出しています。
従業員の勤務前の声出し練習は店内に漏れることもしばしば。
明るいあいさつや親身になった声掛けなどお客さまとのコミュニケーションを大切にしています。
楽しみながら接客する姿勢が広がっています。
父親であること楽しんで家庭も地域も元気にしたい
工藤正隆さん・32歳・宮前・会社員
子育ては夫婦でするもの。
「父親であることを楽しもう、よい父親ではなく笑ってる父親になろう」と絵本ライブチーム「On Sunday(s)」を結成しました。
父親の頑張りは妻への心遣い、ちょっとしたもてなし。
家庭はもっと明るくなると思います。
それが地域の幸せにつながればと思います。
広報いちのせき「I-style」12月1日号