県指定文化財 県立博物館所蔵
紙本著色鍛冶神図(しほんちゃくしょくかじかみず)

正面に、髪を逆立て目をつり上げた憤怒の形相すさまじい三面八臂(さんめんはっぴ)の三宝荒神(さんぽうこうじん)が鞴(ふいご)の上に現れ、その脇では鬼が鞴で火ほど床に風を送っています。
虎の毛皮に座った刀匠は、火床で灼熱した鉄を刀で仕上げるように小槌でたたき、その向こうで鬼が大槌をふるっています。

また、三宝荒神の上には阿弥陀三尊、不動明王、毘沙門天、風神、雷神、稲荷神、大黒天などさまざまな神仏が控えています。
色鮮やかに躍動感をもって描かれたこの絵は、鍛冶神図または鍛冶神掛図と呼ばれます。
県内では一般的に鍛冶屋の鞴祭の時に鍛冶神図を仕事場の神棚などにまつりました。

しかし、この鍛冶神図ほど内容が豊富で華やかなものは全国的にもまれで、しかも脇軸までそろえて三幅対にしている例はありません。
鍛冶神図の逸品と言っていいでしょう。

これは、先祖が刀鍛冶をしていた市内藤沢町の旧家に伝わってきたものです。

紙本著色鍛冶神図
「合併記念展 藤沢の文化財」で展示中

広報いちのせき「I-style」5月1日号