地域活性化につなげる生産共同作業で楽しい集落復活

春、代かきした転作田にマコモの苗を定植

イネ科マコモ属・多年草の水生植物で中国東南アジアが原産地の『マコモ』。

肥大した茎『マコモタケ』は低カロリーで食材としてどんな料理にも相性が良く、粉末にした葉をお茶として飲めば、血液の汚れに関わる体質改善をはじめ、体の解毒作用と免疫力の強化に、優れた効能が期待できると最近注目を集めています。

花泉町油島の上油田第三集落(猪股勇一代表)は、そのマコモタケの生産に取り組んでいます。

「集落で会合のたびに、最近は地域の人たちが集まって共同作業をする機会がなくなっている、昔は共同作業後にみんなで旅行したものだと、楽しかった思い出が話題に上がる」と猪股代表。

2年前の新年会で「先祖から受け継いだ立派な水田がある。転作田を利用して生産性の高い、地域の特産物を共同作業で作ってみよう」と話がまとまり、共同作業を復活させようと参加者全員が確認し合いました。

話だけで終わらせず実践に向けて勉強しようと、弥栄地区の生産者の協力を得て21年4月、栽培研修会を実施。この席上で「酒のつまみに最高の一品」と聞いたことが、マコモタケを生産する決め手となりました。

集落全22世帯が連携し、各種制度をフルに活用。

水田農業や生産調整の推進を図るため、集落ビジョン策定集落が行う活動に実績に応じて交付される「集落ビジョン活動助成」、中山間地域など農業生産条件が不利な地域で、一定の条件を満たせば交付される「中山間地域等直接支払制度」を利用し、同年4月から本格的に栽培に取り組みました。

今年度は、市の「いちのせき元気な地域づくり事業」で、農産物の振興のため「マコモタケの栽培に関する調査研究事業」を行うことになり、上油田第三集落を中心に、マコモを活用した健康食品会社への視察やマコモの需要と効能についての研修会を開催しました。

10月には、油島地区の食生活改善推進員を中心に、地元の女性たちの協力により試食会を実施。

試食した40人からは「立派に栽培できたし、料理も大変おいしい」と大好評。

「今後は地域の特産物として、このモコマタケをどうやって宣伝し、普及や販売につなげていくかが課題」と前向きな意見が出され、集落一丸となった共同作業で栽培したことで、喜びと意欲につながりました。

「今後は栽培面積を増やし、販売ルートを確立させるための調査研究をしていきたい。そして収穫する喜びや親睦を深めることで、この上油田を楽しい集落として若い世代へ引き継げるよう努力する」と猪股代表。

薄れてきた共同作業を通じて、地域活性化へつなげようとする思いを語ってくれました。


(広報いちのせき 平成22年12月1日号)