本日ここに、令和4年一関市議会定例会第93回2月通常会議の開会に当たり、提案をいたしました議案等の説明に先立ち、今後の市政運営について、所信の一端と主要施策の概要について申し上げます。

1.はじめに 

はじめに、新型コロナに対する認識と、それを踏まえた令和4年度の対処方針について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、本年に入り、新たな変異株(オミクロン株)の感染がかつてないスピードで全国に急拡大するなど、予断を許さない状況が続いております。
市ではこれまで、感染対策や経済対策に取り組んでまいりましたが、令和4年度においても、市民の皆様が安心して健やかな生活を送ることができるよう、その時々の状況を見極めながら「感染防止」「生活支援」「経営支援」の三つの柱で、新型コロナウイルス感染症への対策を講じてまいります。
その上で、市内経済の回復のための取組を進め、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいりたいと考えております。

私は、昨年10月に市長に就任し、初めてとなる当初予算編成を行いました。
私は、この令和4年度予算を通じ、
・ 感染拡大防止対策の徹底に取り組む一方、
・ アフターコロナを見据えた社会経済活動の推進、
・ 当市の最大の課題である人口減少や多様化する市民ニーズへの的確な対応を図り、さらなる市勢の発展に結び付けていく考えであります。
こうした考えのもと、ワクチン接種につきましては、「ワクチンが市の計画どおりに供給されれば」という条件付きではありますが、この間、市独自の前倒しを行い「6月中には」としておりました3回目接種の完了時期をさらに1か月前倒しし、年の前半となる5月中には、希望する方への3回目接種を概ね終了させることを目指してまいります。
その上で、人口減少対策、社会経済活動の活発化に向けた各種施策を展開し、ワクチンのブースター効果が期待される6月以降の期間は、各地域の行事・イベントや夏祭り、産業まつり、文化祭、地ビールフェスティバルなど、市の賑わいを取り戻してまいりたいと考えております。

2.地域の活力を高めるまちづくり

(1) 新型コロナウイルス感染症への対応、人口減少対策

次に、地域の活力を高めるまちづくりとして、新型コロナへの対応と人口減少への対処について申し上げます。

新型コロナウイルスのワクチン接種については、先ほど申し上げましたように接種を希望する方が確実に接種を受けられるよう、市医師会や関係機関の協力を得ながら、接種機会の確保に努めるとともに、引き続き、必要な施策を行い、感染防止と社会経済活動の両立を図り、市民生活の回復に努めてまいります。

また、人口減少への対処については、人口減少そのものを止めることは困難でありますが、人口減少によるダメージを少なくするとともに、地域の活力を高めていく必要があります。
そのためには、女性や若者が活躍できる社会の形成が不可欠であり、昨年、「女性活躍会議」「若者活躍会議」「農業未来デザイン会議」の3つの会議体を立ち上げたところであります。この会議での意見なども参考としながら、人口減少に対する取組を進めてまいります。

(2) まち・ひと・しごとの創生

将来にわたって持続可能な地域とするためには、地域内の産業が稼ぐ力を高め、所得や資金の流れを地域内で循環させる必要があります。
ここに住みたい、訪れたいと思える豊かな暮らしや働き方を実現し、誰もが健康で安心して暮らせるまちを目指すため、総合計画後期基本計画の重点プロジェクトに掲げる「まち・ひと・しごとの創生」における次の三つの項目を重点に取り組んでまいります。

(1) 働く場を増やす 稼ぐ力を高める(しごとづくり)

一つ目の項目は、働く場を増やす・稼ぐ力を高める(しごとづくり)についてであります。
市の独自推計では、今後、加速度的に人口が減少すると見込まれ、令和27年の市の人口は約7万4千人となり、地域の経済、医療、福祉、教育、文化など様々な分野への影響が予想されます。
地域の活力を高める施策を展開し、稼ぐ力を高めていかなければなりません。

まず、新しいビジネスの創出や起業を支援し、起業がしやすい環境づくりに努めるとともに、起業を志す若者の育成を図ってまいります。

市民の雇用の場を創出するため企業誘致を進め、真柴地区への産業用地の造成工事を進めるとともに、一関東第二工業団地の拡張整備を推進してまいります。

NECプラットフォームズ株式会社一関事業所跡地については、様々な用途に活用できる非常に資産価値の高い土地であり、市が取得し将来にわたって安定的かつ主体的な活用を進めてまいりたいと考えております。
当面は、「雇用を創り出す場」として、活用していきたいと考えておりますが、単に「働く場所」とするにとどまらず、起業家の育成や新しいビジネスの支援、すなわちインキュベーション機能のように「新しい取組が生まれ、雇用に繋がる要因となる場所」とするなど、あらゆる可能性を探り活用策の検討を進めてまいります。

(2) 人が輝く 人を育てる(ひとづくり)

二つ目の項目は、人が輝く・人を育てる(ひとづくり)についてであります。
一人ひとりが輝く、「ひと」が中心の社会でなければなりません。
女性や若者が活躍でき、いくつになっても生涯現役で働く意欲と体力を維持できる健康長寿のまちを目指してまいります。

まず、若者や女性の地元定着、地元就職を促進するため、職場環境や働き方の改善を進めるためのセミナーの開催やトイレ、更衣室の改修など事業所の環境整備を支援し、働きやすい職場を増やしてまいります。

また、市内事業所の人材確保の取組を支援するため、市内事業所に関する情報の発信と事業所が行う採用活動に要する費用を支援し、UIJターン希望者の市内事業所への就職を促進してまいります。

農業については、市内への就農と定着を図るため、新たな農業の担い手の確保策として、次代を担う農業を目指す方に対し、経営開始資金を支援してまいります。

移住者の増加及び移住者の生活基盤の安定と定住の促進を図るため、地域の人口減少率に応じた異なる割合で住宅の家賃を支援してまいります。
また、勉学やスポーツ、芸術などの目標達成に向けて、親元を離れ市内の高等学校、工業高等専門学校などに通学する高校生、高専生等に対して、下宿やアパートなどの家賃を支援してまいります。

(3) 地域・まちを元気にする(まちづくり)

三つ目の項目は、地域やまちを元気にする(まちづくり)の取組についてであります。
これまで申し上げた「しごとづくり」、「ひとづくり」を展開することで「まちづくり・地域づくり」がさらに進むものと考えており、それが人口減少対策につながるものと認識しております。
さらに、「しごとづくり」、「ひとづくり」に向けた取組に加え、地域やまちを元気にする取組として、何点か申し上げます。

まず、高齢者の生活習慣病の重症化予防、運動機能の低下いわゆるフレイル対策を推進するため、医療、介護、健康診査の情報を活用し、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施してまいります。

スポーツの振興については、競技力向上に重要な役割を果たす指導者の育成と大規模な大会の開催を支援するとともに、スポーツを通じた交流人口の拡大を図ってまいります。

脱炭素への取組については、当市が昨年の2月に宣言した、2050年二酸化炭素排出実質ゼロの達成に向けて、温室効果ガスの排出削減を推進するため、一関市地球温暖化対策地域推進計画を策定し、脱炭素社会の構築に向けて取り組んでまいります。

また、市の公有林の間伐により取得したオフセットクレジット(二酸化炭素吸収量)が完売したため、新たなオフセットクレジットの取得に取り組みます。

都市計画については、土地利用の状況を踏まえ、NEC跡地、北上製紙跡地の都市計画法による用途地域の見直しを進めてまいります。
また、都市計画道路の未整備路線を見直し、一部区間の整備の検討を進めてまいります。

3.総合計画の着実な推進

次に、総合計画後期基本計画に掲げるまちづくりの目標に沿って、令和4年度の取組について申し上げます。

(1) 地域資源をみがき生かせる魅力あるまち

一つ目の目標は、地域資源をみがき生かせる魅力あるまちについてであります。
まちを持続的に発展させていくためには、地域を支える産業を振興し、一人ひとりが力を発揮できる、活躍の場を創出することが必要であります。

農業の振興については、地域農業マスタープランの実践に向けた担い手への農地集積や生産の効率化を促進するほか、有害鳥獣の被害防止及び捕獲への支援を拡充してまいります。
また、農業経営の安定化を図るため高収益作物への転換を促進してまいります。

農産物の直売による地産地消を図るとともに、地産外商による生産者のビジネス展開への支援を進め、地域の特色を生かした農産物の生産振興を図ってまいります。

農村地域活動への支援に取り組み、農村の維持・発展を図ってまいります。
また、束稲山麓地域世界農業遺産の認定に向けた取組、国道343号の道の駅の整備に向けた取組を進めてまいります。

林業の振興については、市内産木材の利用促進と薪ストーブの普及や統合小学校へのチップボイラーの導入を図り、森林資源の活用による地域内経済の循環と二酸化炭素排出の抑制を進めてまいります。

工業の振興については、人材確保への支援や企業の成長と競争力の強化を図るため、社会の様々な分野で活躍する人材の確保育成や地域企業の技術力・経営力の強化に取り組んでまいります。

雇用については、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の実現に向けた取組に対する支援を行うとともに、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方(テレワーク)の普及啓発に取り組み、若者や女性が働きやすい社会を目指してまいります。

商業、サービス業の振興については、経営相談や経営指導の充実、事業資金の低利融資や利子補給、起業支援などを行い、中小企業の経営の効率化、健全化を図ってまいります。
また、商店街を再生し賑わいを創出していくため、空き店舗への入居支援や集客につながるイベントの開催を支援してまいります。

観光については、平泉町をはじめ、近隣市町村との連携を図り、スケールメリットを生かした取組を進めてまいります。
また、仕事と余暇を組み合わせた新たな旅のスタイルであるワーケーションの受入れ環境の整備を進め、滞在型観光を推進し交流人口、関係人口の創出を図ってまいります。

(2) みんなが交流して地域が賑わう活力あるまち

二つ目の目標は、みんなが交流して地域が賑わう活力あるまちについてであります。
活力ある地域となるためには、市内外で交流し、連携し、市民活動や経済活動を活性化させていくことが必要であります。

協働のまちづくりがより地域に根付くよう理解を深めるための啓発を行うとともに、各地域、各分野でリーダーとなる人材の育成を促進してまいります。
地域づくり活動については、地域の創意と主体性を活かした取組を推進していくため、地域おこし事業などにより、地域協働体や自治会などの活動を支援してまいります。

移住定住については、オンラインと対面での対応を効率的かつ効果的に活用し、各種制度の情報提供を行うとともに、移住定住の促進と関係人口の創出に取り組みながら、地域活性化と新たな人材や若い世代の移住定住を図ってまいります。

公共交通については、室根地域においてデマンド型乗合タクシーの試験実証運行を行うほか、交通事業者が取り組む一関オンデマンド交通実証運行の支援や市営バスの経路の見直しなどを行い、市民の生活に必要な移動手段の確保に努めてまいります。

地域間交流については、姉妹都市締結35周年を迎えた三春町との市民交流や相互理解を深めるための歴史シンポジウムを開催します。

道路整備については、国道4号の交通安全対策事業の早期完成をはじめとした、国県道の安全対策や急カーブ、急勾配、狭隘部の解消による災害に強い道路ネットワークの構築に向け、国・県、各期成同盟会と連携して取り組んでまいります。
国道343号については、新笹ノ田トンネルの整備に向け、関係市町、新笹ノ田トンネル整備促進期成同盟会とともに取り組んでまいります。

幹線道路と生活道路の整備を計画的に進め、市民生活の利便性の向上に努めてまいります。

道路環境、交通安全施設については、安全安心で快適に利用できるよう維持管理に努め、道路、橋梁の長寿命化を図ってまいります。
また、昨年6月に千葉県で発生した通学路での交通事故を踏まえ、危険個所の解消に取り組んでまいります。

(3) 自ら輝きながら次代の担い手を応援するまち

三つ目の目標は、自ら輝きながら次代の担い手を応援するまちについてであります。
将来にわたって誇れるまちづくりを進めるためには、家庭、地域、学校、企業、行政などが一体となり、次代を担う人材を育てることが必要であります。

「教育に関する大綱」で定めた基本目標である「学びを広げ、人と地域が共に育ち、一関の未来を創る」、この実現に向けて教育委員会と連携して取り組んでまいります。

学校施設の整備については、令和4年度に開校となる室根小学校に続いて、令和5年4月に開校予定である新花泉小学校の新校舎建設及び大東地域の統合中学校の整備を進めてまいります。
また、令和5年4月の藤沢小学校と新沼小学校の統合に向け、地域住民とともに準備を進めてまいります。
一関小学校の整備については、新校舎の場所や建築する際の構造など、具体的な検討に着手してまいります。

社会教育については、生涯の各時期に応じた多様な学習機会を提供するとともに、市民センターの指定管理者が行う社会教育事業に対する支援を継続してまいります。

スポーツの振興については、施設の改修に努めるとともに、幼児期からのスポーツを体験する機会の創出をはじめ、各種教室やイベントの開催などに取り組んでまいります。
また、児童生徒が全国大会に出場する際の経費を補助し、全国大会等での活躍を応援するとともに、国際大会で活躍するアスリートの育成を支援してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、各種のイベントや行事が中止となったことを受け、地域やスポーツ、芸術文化に係る団体が実施する子どもたちの思い出づくりを支援してまいります。

地域文化の伝承については、民俗芸能を映像として記録、保存し伝承活動を支援するなど、文化財や地域の歴史、文化について理解が深められるよう環境整備に取り組んでまいります。

骨寺村荘園遺跡については、史跡と重要文化的景観の一体的な保存管理に努め、世界文化遺産「平泉」への拡張登録の実現に向けて、県や関係市町と連携して取組を進めてまいります。

(4) 郷土の恵みを未来へ引き継ぐ自然豊かなまち

四つ目の目標は、郷土の恵みを未来へ引き継ぐ自然豊かなまちについてであります。
豊かな自然は市民の心の支えであり誇りでもあります。この貴重な自然の恵みを確実に次の世代へ引き継いでいかなければなりません。

資源・エネルギー循環の推進については、住宅用の新エネルギー利用設備の設置を支援するなど、資源・エネルギー好循環のまちを目指してまいります。
また、廃棄物の減量化・資源化については、引き続き、有価物集団回収を行う団体への支援や生ごみ減量機器購入に対する助成を行ってまいります。

汚水処理については、下水道区域においては管路整備の推進を、浄化槽の処理区域においては浄化槽の設置を促進しながら、公共用水域の水質保全と快適な生活環境の確保を図ってまいります。
また、一関市汚水処理計画の見直しを進めるとともに、下水道などへの接続促進と施設の長寿命化に向けた予防保全型の維持管理を行い、効率的で持続可能な事業経営に努めてまいります。

水道事業については、有収率の向上を図るため漏水調査や老朽化施設の更新に取り組むとともに、施設の耐震化、長寿命化を進めてまいります。
また、経営の健全化を図るため効率的な施設の維持管理と適切な財源確保に取り組み、水道水の安定供給に努めてまいります。
水道未普及地域については、早期に安全な飲用水が確保できるよう、飲用井戸の整備などに対し、集中的に支援を行ってまいります。

(5) みんなが安心して暮らせる笑顔あふれるまち

五つ目の目標は、みんなが安心して暮らせる笑顔あふれるまちについてであります。
誰もが安心して暮らしていくためには、地域での支えあいが重要であります。市民や福祉事業者、社会福祉団体と協働して一関市地域福祉計画に基づく各種施策を推進してまいります。

まず、住み慣れた地域で、いつまでもいきいきとした生活を送るためには、地域全体で支えあう豊かな地域社会の実現が必要であります。地域の実情に応じた住民主体による介護予防活動や高齢者の社会参加、社会貢献活動を促進するとともに、日々の暮らしを支える助け合い活動を支援してまいります。

将来にわたって適正な医療サービスを提供していくためには、医療・介護分野における人材の育成、確保が不可欠であります。
特にも深刻な状況にある医師確保については、継続した取組を進めていくとともに、助産師、看護師、介護福祉士などの医療専門職の確保、育成、定着に向け支援してまいります。

仕事と子育てを両立しながら、子育てを負担に感じることなく、安心して楽しく子育てができる環境をつくるため、保育人材の確保、放課後児童クラブの整備、病児保育の充実に努めてまいります。

国民健康保険については、国庫負担割合の引き上げなど国保財政基盤強化のための財政支援の拡充や負担軽減策の充実強化などを継続して要望してきたところであり、県と連携を図りながら国保財政の健全な運営に努めてまいります。

消防、救急、救助については、消防団員の処遇改善を行うとともに、各種災害に対応するため、消防施設や設備などの計画的な整備を進めてまいります。
また、防災行政情報システム、FMあすもなどの多様な手段により、災害時の迅速で的確な情報提供に努めてまいります。

一関遊水地事業については、昭和47年の事業着手から50年を迎え、最終段階に入りました。国土交通省と連携して、供用開始に向け早期の地役権設定に取り組んでまいります。

災害に強いまちづくりについては、市内の洪水浸水想定区域や土砂災害危険箇所などの情報を記載した新たな防災マップを作成し、早期の避難や被害軽減につなげることができるよう周知を図ってまいります。

また、土砂災害警戒区域などの周知、農業用ため池の防災対策、木造住宅の耐震化、耐震性に問題のあるブロック塀の除去など、地域防災上のリスク軽減を図る取組を進めてまいります。

交通安全及び防犯については、安全に対する意識高揚を図るとともに、地域が取り組む交通安全、防犯活動を支援してまいります。

日常的に管理が行われていない空家への対応については、所有者による適切な管理を促すとともに、必要な対策を講じてまいります。

4.総合計画後期基本計画に掲げる重点プロジェクト

次に、総合計画後期基本計画の重点プロジェクトに掲げる国際リニアコライダー(ILC)実現への取組と東日本大震災からの復旧復興について申し上げます。

まず、ILCの現状については、欧米各国からはILC計画への期待が示されており、我が国がホスト国として、このプロジェクトを牽引していくという日本政府の意思表明を待っている段階であると認識しております。
昨年は、当市を会場に岩手県南・宮城県北ILC誘致推進大会を開催し、ILCの実現に向けた大会宣言を採択するなど、候補地である岩手県南、宮城県北の地元自治体としての熱意を示したところであります。
ILCは当市の未来を大きく変える可能性を持った国際プロジェクトであります。引き続き関係団体と連携し、ILCの実現に向け最大限の努力をしてまいります。
 
次に、東日本大震災からの復旧復興についてであります。
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による汚染対策については、原木しいたけ産地再生への支援、農林業系汚染廃棄物や学校などに埋設一時保管している除染による除去土壌、側溝土砂の最終処分など、早期解決に向け、引き続き取り組んでいくとともに、国や最終責任者である東京電力に対して、責任を果たすよう強く求めてまいります。

また、当市に隣接する陸前高田市及び気仙沼市に対しては、職員派遣を中心とする後方支援を継続して行ってまいります。

以上、令和4年度の取組の中から主なものを申し上げました。 

5.市政運営の基本

次に、市政運営の基本について申し上げます。
まず、当市では、地域づくりの基本として、市民と行政の協働によるまちづくりを掲げ、地域協働体を対象として支援をしてきたところであり、これまで以上に地域協働体の自主的、主体的な取組を促進してまいります。

また、これからのまちづくりを着実に推進していくためには、将来世代まで見渡した財務経営を行い、安定的な行財政運営に努めていくことが必要であります。
このため、組織の見直しや事務事業の効率化、歳出の徹底的な見直しなど、第4次行政改革大綱・集中改革プランの取組を推進し、市民との協働や民間活力の活用により、質の高い行政サービスを持続的に提供できるよう、一層の行財政改革を進めてまいります。
また、市役所のあらゆる業務について、デジタル化、オンライン化の検討を進めるとともに、公共施設等総合管理計画に基づく、施設保有の見直しを進めてまいります。

様々な施策を進めていく上では、同じ日常生活圏にある近隣自治体との連携がより施策の効果を高めるものと考えております。特にも平泉町と宮城県北の各市を重要なパートナーと位置付け、少子高齢化や人口減少などの課題に対応できるよう、暮らしに必要な機能を総体として確保するとともに、より強く魅力あふれる圏域の形成を目指してまいります。

当市は、昨年、内閣府のSDGs未来都市の選定を受けました。この理念の実現と、一関のまちを確実に未来の世代に引き継ぐためには、私たちには、取り組まなければならない課題が数多くあります。
持続可能な地域社会の構築につながるよう経済・社会・環境の三つの側面から、関係者が理念を共有し、SDGsの推進に取り組んでまいります。
 

6.おわりに

先日閉幕した、北京2022オリンピックに当市出身のスノーボーダー岩渕麗楽選手が出場しました。
オリンピック2大会連続出場、2大会連続入賞という快挙は、市民の大きな誇りであります。
女子の大会では史上初となる最高難度の大技に果敢に挑戦する、その姿は、世界中の人々に勇気と感動を与えてくれました。
一関市は今、新型コロナウイルスや人口減少をはじめ多くの困難に直面しております。
岩渕選手のように、失敗を恐れず、大きく、そして力強く羽ばたけるよう、変えていく市役所、挑戦していく市役所を目指し、ふるさと一関の発展のため全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げ、令和4年度の市政に臨む方針とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。