安心して暮らせ誇りに思えるまちづくりを推進

勝部修市長

雇用対策を最重点課題として地域の自立のために的確な対応を

本日ここに、第27回一関市議会定例会が開会されるにあたり、平成22年度の施政の方針を申し上げます。

わが国は、一昨年秋以降、世界的な経済危機により大きな打撃を受けたところでありますが、私たちの住む地域社会は、もはや県境とか国境を越えたところでさまざまな経済活動が行われ、グローバル化した社会にあるといえます。
このような状況にありまして、私たちの生活環境は、個人の活動はもちろん、企業活動においても、昨年、相次ぐ事業所閉鎖などにみられるように、外部から直接影響を受けやすく、その危機を乗り越えるためには、私たち一人一人が直面する課題を自分の問題として受け止め、解決に向けて行動していくことが不可欠であります。この行動が、地域としての自立につながっていくものと考えております。
当市が今、直面する課題は雇用対策であり、私は、昨年10月の市長就任時においても、この雇用対策を最重点課題と位置づけて取り組んでまいりました。この課題に的確に対応できなければ、地域の自立はあり得ないと強く認識しており、生まれ育った地域で安心して暮らし、地域を誇りに思えるまちづくりを進めることが大切であり、最大限の対策を講じて市民の不安解消に努めてまいります。
国では、これまで5回にわたり経済危機対策・生活対策を実施してまいりました。当市でもこれまで、国の対策に併せ、雇用の創出や、地域経済の活性化に積極的に対応してきたところでありますが、さらに、現下の経済危機を乗り切るために、後年度に計画をしていた事業の前倒しを行うなど、平成22年度において約39億3千万円の経済対策を講じて、雇用の創出や元気な地域の再生に取り組んでまいります。
厳しさを増す雇用情勢や少子高齢化、人口流出、地域における医療確保の問題など、課題は山積しておりますが、地方分権が進展し、地方自治体の役割、責任が増大してきている今こそ、将来を見据えた確かなまちづくりが肝要であり、総合計画に掲げた将来像の実現に向け、市民への力強いメッセージとして、重点施策を明確に発信し、着実な歩みを進めてまいります。
当市の財政状況は、景気低迷の影響による法人市民税の大幅な落ち込みの中、依然として厳しい状況にあります。しかしながら、このような時こそ、やるべきことにしっかりと取り組むことが重要であり、市民のために今、何をすべきか、創意と工夫を凝らしながら予算編成を行いました。
その結果、平成22年度当初予算の総額は588億9632万2千円、前年対比で4.6パーセント増としたところであります。当初予算の総額としては平成17年の合併以降で最大となっており、私は、この予算案を「守りを固めて踏み出す予算」という積極型にすることができたと考えております。

それでは、平成22年度の重点施策について申し上げます。

地震災害の復興に全力

私は、市民生活の起点は、安全・安心にあると考えています。一昨年6月、岩手・宮城内陸地震の発生により、当市は甚大な被害を被ったところですが、私は、平成22年度は、被災された方々の生活再建への支援を継続するとともに、震災からの完全復興の年と位置づけ、さまざまな施策を展開し、市民の安全・安心の確保に積極的に取り組んでまいります。
さらに、本年5月末に予定されている国道342号の全線開通を契機に、真湯~須川間のウオーキングなど各種イベントの取り組みを通して、震災からの完全復興と併せ、当市の観光資源を全国に発信してまいります。
近い将来、宮城県沖地震の発生が高い確率で予想されておりますが、大規模災害に備え、市内全域にいち早く災害情報を提供できるシステムの構築について、計画を前倒しして取り組んでまいります。
特にも、現在、災害時における情報伝達手段が未整備の状態にある花泉地域にありましては、光ケーブルを活用した屋外拡声装置を早急に整備し、情報伝達手段の確保を図ります。
学校校舎などの耐震化については、引き続き、耐震改修を実施するとともに、平成22年度、千厩小学校校舎、長坂小学校屋内運動場、猿沢中学校屋内運動場および興田中学校校舎の耐震改修実施設計に前倒しで取り組み、学校校舎などの耐震改修が終わり次第、幼稚園・保育園の耐震化に着手することとしております。
また、一般家屋の耐震化については、木造住宅耐震改修工事助成事業の補助限度額・実施枠の拡大を図ってまいります。
雇用対策については、国の緊急雇用対策基金の活用はもとより、市独自の施策としても、新規高卒者を採用した企業が、人材育成に取り組む場合の支援策として「ふるさと就職支援事業」に取り組むとともに、岩手県南技術研究センターや一関工業高等専門学校など関係機関と連携した人材育成事業の実施、技能・技術など資格取得支援のための講座の開催、地域企業のものづくり技術力の向上支援など、地域企業に優秀な人材がしっかり定着するための施策を講じ、活力に満ちたまちづくりを推進してまいります。
さらに、地域医療確保対策についても早急な対応が必要であり、県との連携はもとより、市といたしましても新たに専任職員を配置するなど、実効性のある対策を講じ、安心して暮らせるまちづくりに努めてまいります。

「中東北」の拠点都市形成

次に、「中東北」の拠点都市一関の形成についてであります。当市は、岩手・宮城の政策調整の要に位置していることから、その地理的優位性を最大限生かすために、基幹となる道路網の整備を進めるとともに、観光面における県際連携を積極的に推進してまいります。
産業振興については、第1次産業は、新たな雇用創出の可能性が期待できることから、新規就農者への支援の拡充や、ブランド化推進事業などの取り組みを通して、農業の魅力を発信し、新規参入を促してまいります。
教育・人材育成については、教育環境の整備を進めるとともに、キャリア教育の充実強化や読書普及員の配置などにより、地域の将来を担う子どもたちの健全な育成に努めてまいります。
地域コミュニティーについては、新たに市民との協働による、いちのせき元気な地域づくり事業を実施してまいります。地域住民と支所が創意工夫しながら特色のある事業を展開し、地域を元気にしようとするもので、市全体の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。事業の選定にあたっては、支所ごとに住民と一緒に考え、実施事業の決定、事業の執行については、すべて支所長の権限で進めてまいります。
市民が主役の地域づくりについては、何よりもまず、地域コミュニティーの自立が大切であり、地域の祭り、歴史、文化の伝承活動や、NPO、自治会などが行う自主的な活動に対して支援を行い、地域の元気を創出してまいります。
また、地域おこし事業については、実践者発表会を開催するなど、実践団体間の交流・連携を促進し、これを地域の力に結びつけてまいります。
さらに、私が各支所に赴き、連続する3日間「(仮称)移動市長室」を設け、支所において執務を行うとともに、地域の方々との意見交換なども行ってまいります。
環境対策については、省エネルギービジョンの策定を進めるなど、地球にやさしい環境づくりの一翼を担ってまいります。
平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた支援については、当市にとって平泉町は最良のパートナーであり、登録実現に向けて最大限の支援を行ってまいります。その一環として、県をはじめ関係機関と連携し「平泉ナンバー」の実現に努めてまいります。
以上、平成22年度の重点施策について申し上げました。

次に、分野別の主な施策について、総合計画基本構想のまちづくりの目標に沿って申し上げます。

地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり

第1に「地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり」の施策について申し上げます。

競争力の強い産地を形成

農業については、多彩な農畜産物がバランス良く生産されている地域特性を最大限生かしながら、安全・安心で質の高い農畜産物の生産拡大を推進するとともに、農業を担う人材や、組織の確保・育成を図り、全国に向けて情報発信ができる、競争力の強い産地の形成に努めてまいります。
農畜産物のブランド化については、一関めぐみブランド化推進事業を核に、両農協や、いわて南牛振興協会と連携し、消費者に評価され、信頼される産地づくりを目指してまいります。
担い手育成については、関係機関と連携し、経営感覚に優れた農業者や、効率的な営農組織の育成に努めるとともに、新規就農や農林業分野での新たな雇用、さらには、加工・販売など農業の6次産業化に向けた起業などに着目した人材の育成に努めてまいります。
集落営農や農地保全については、中山間地域等直接支払制度や、農地・水・環境保全向上対策事業を活用した取り組みを支援してまいります。
水田農業については、一関地方水田農業ビジョンの実現に向け、特別栽培米や有機栽培米をはじめ、地域の特徴ある安全・安心でおいしい米づくりを促進してまいります。
また、国の新たな制度である、戸別所得補償モデル対策については、国からの情報収集に努め、関係機関と一体となって取り組むとともに、転作作物としては、水田の有効活用や飼料自給率の向上に向け、米粉用米や飼料米などの普及と、その実用化を促進してまいります。
園芸・特産作物については、ナス、トマト、小菊、干しシイタケを中心とした生産振興を促し、市場に信頼される産地の確立を目指してまいります。また、花泉、大東の二つの農業研究施設の積極的な活用と、取り組み成果を広く農家に普及していくとともに、両施設の一体的な運営について検討を進めてまいります。
畜産については、各種補助事業の活用による経営基盤の確立や、優良素牛の導入による能力と品質の向上、公共牧場の効果的な活用促進により、経営体質の強い畜産農家の育成に努めてまいります。
農業生産基盤の整備については、効率的な農業や地域ぐるみ農業の実現に向け、ほ場整備を進めてまいります。
農業用施設の保全については、ため池など整備事業や農業水利施設保全対策事業および土地改良施設耐震対策事業により、新たに八幡沢地区、真打堰地区に着手するなど、施設の適切な更新や改修を行い、機能確保と長寿命化を図ってまいります。
林業については、市有林や民有林の除・間伐を進め、森林の健全な育成を推進するとともに、CO2の削減や水源の涵養など、森林の持つ公益的機能の維持増進を図ってまいります。

地域の雇用創出に尽力

工業については、国や県などが主催する展示商談会などへの出展経費の助成や、企業情報交換会の開催を通じ、受注機会の拡大と企業間の連携を促進するとともに、地域企業が行う設備投資への支援制度の拡充を図り、雇用の創出に努めてまいります。
研究開発プラザについては、研究開発に取り組もうとする地域企業や、新たに当市に拠点を構えようとする企業のニーズに対応するため、貸し研究室4室の増築を行うほか、高品質・高付加価値なものづくりを促進するため、岩手県南技術研究センターの試験分析機器整備に対する支援を行ってまいります。
一関東第二工業団地については、岩手県および岩手県土地開発公社と連携を取りながら、企業の早期立地を目指し、全5区画の整備促進や優遇制度の拡充を図ってまいります。
さらに、工業団地などの用地のリース制度を拡充するとともに、研究開発・設計および情報関連企業などの立地を促進するため、設備投資に対する新たな助成措置を設けるなど、積極的に企業誘致活動を展開してまいります。
雇用対策については、重点施策で述べたほか、新規高卒の未就職者を対象とした情報化研修、品質管理研修を実施するとともに、職業訓練施設を活用し、離職者の再就職訓練事業を支援してまいります。
また、求職者の利便性向上のため、無料職業紹介所と他の相談窓口とのワンフロアー化を図るほか、千厩支所内の「ふるさとハローワーク」や、ジョブカフェ一関への支援を強化し、就業支援、雇用相談、企業の求人拡大の働きかけなど、関係機関、団体との連携と併せ、国の基金事業も活用し、雇用機会の創出、確保に努めてまいります。
商業については、一関商工会議所や地元商店会と連携しながら、ど市、互市、夜市などの各地域のイベントの開催や共通商品券事業を支援し、地域の消費意欲を刺激するとともに、商店街のやる気・元気を引き出しながら消費拡大と地域経済の活性化を図ってまいります。
また、中小企業振興資金の融資枠を確保し、中小企業者の経営安定化を支援してまいります。
観光については、観光客の満足度向上に向けたモニター調査の実施と併せ、主要な観光地間を結ぶ二次交通の確保を図るなど、観光客の利便性向上に努めてまいります。
また、「祭りや自然」「歴史」「伝統文化」など、多彩な観光資源を広く宣伝し観光客を誘致するとともに、伊達な広域観光推進協議会に参画し、連泊滞在型・体験型観光への取り組みを進めるとともに、受け入れ態勢充実のため、関係団体との協働により人材育成に取り組んでまいります。
さらに、真湯総合保養センターの休憩施設整備を進めるなど、真湯・祭畤地区の活性化に努めてまいります。
物産については、産業まつりの開催をはじめ、姉妹都市・友好都市などでの物産と観光展を通じて交流を促進しながら、地場産品の宣伝と販路拡大を図るとともに、一関の魅力のPRに努めてまいります。
地籍調査事業については、土地利用の高度化に資するとともに、地籍の明確化を図るため、三関字桜町、外谷起、日照、仲田、神田の調査を実施してまいります。

みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり

第2に「みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり」の施策について申し上げます。
市民の健康づくりについては、健康いちのせき21計画および食育推進計画の周知啓発に努めながら、市民の自主的な健康づくりや健全な食生活のあり方について、意識の高揚を図ってまいります。
健康診査については、循環器系健康診査をはじめ、各種がん検診などを実施し、疾病の早期発見、早期治療に努めるとともに、妊婦健康診査の拡充を図ってまいります。
国民健康保険については、現在の社会経済情勢にかんがみ、被保険者の負担を軽減するため、制度の健全な運営に意を配しながら、税率の引き下げなどを実施するとともに、税収の確保に努めてまいります。
また、特定健康診査事業については、新たに被保険者で50歳に到達する方の負担金を無料化し、受診の促進を図るなど被保険者の健康増進に努めてまいります。
後期高齢者医療については、岩手県後期高齢者医療広域連合との連携を密にしながら、制度の円滑な推進に努めてまいります。

地域医療体制

地域医療対策については、一関市医師会などの協力をいただきながら、休日当番医制事業や小児・成人夜間救急当番医制事業などにより、初期救急医療の確保に努めてまいります。
また、県立病院等2次救急医療機関の負担軽減を図るとともに、医療機関、住民、市それぞれの役割や連携を強化しながら地域医療体制の充実を図ってまいります。

子育て環境を充実

子育て支援については、保育園や幼稚園に通う第3子以降の保育料の無料化や、就学前の乳幼児の医療費無料化を実施するとともに、待機児童の解消に向けて、私立保育園2園の改修事業に対する支援や、川崎保育園において0歳児保育を行うための施設改修工事を実施してまいります。また、新たに創設される子ども手当ての円滑な実施に努めてまいります。
さらに、就学前から早期に適切な指導や訓練を行うことにより、発達の遅れが認められる児童の健全な成長を促す「かるがも教室」の開設を拡充し、早期療育事業の充実を図ってまいります。
また、生後4カ月までの乳児のいるすべての家庭を保健師または助産師が訪問し、母親への育児などに関する情報提供や、不安・悩みへの相談に対応するとともに、家庭相談員を増員し、虐待防止などの相談体制の充実を図ってまいります。
障がい者福祉については、特にも、地域におけるきめ細かな支援体制を強化するため、相談支援業務の委託事業者を追加し、支援体制の充実に努めてまいります。
また、専門相談員を配置して、発達障がいの相談支援体制の充実にも意を配してまいります。
高齢者福祉については、高齢者が地域で自立した生活ができるよう、地域包括支援センターと連携して、介護予防事業を実施するなど、高齢者の健康保持と生きがいづくりに努めてまいります。
また、高齢者が要介護状態となった場合でも、住み慣れた地域で生活ができるよう、小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホームなど、地域密着型サービスの整備を促進してまいります。特別養護老人ホーム待機者の解消については、国の制度の活用と併せ、一関地区広域行政組合と連携して、介護事業者が事業推進しやすい環境のあり方を検討してまいります。
一関遊水地事業については、磐井川堤防改修事業の用地買収などが開始されたことから、関係機関との連携を図りつつ事業の推進に努め、併せて、河川空間の利活用について市民とともに検討してまいります。小堤および水門の整備促進、さらに、一関遊水地下流部に位置する狭隘地区の治水対策については、次期事業の実施について要望してまいります。
岩手・宮城内陸地震の災害復旧関連事業については、祭畤大橋および被災道路の災害復旧と、今後の災害への備えとして、砂防えん堤の建設、かさ上げなどの整備について国や県に要望してまいります。
また、被災した祭畤大橋や市野々原地区の天然ダムについて、遺構として保存し、後世に伝えるとともに、市民の防災意識の高揚を図ってまいります。

自主防災組織の育成強化

消防防災については、自主防災組織の育成強化を促進し、市民の自助・共助の防災意識の高揚を図ってまいります。
消防救急体制については、市民の生命・財産を守るため、防災拠点となる一関東消防署庁舎の建築、一関南消防署庁舎の実施設計および消防車両や高度救命用資機材の更新などを行ってまいります。
交通安全および防犯については、安全安心まちづくり市民大会を開催するとともに、防犯灯設置費の支援や電気料を補助するなど、交通安全および防犯の意識高揚を図り、安全で住みよい地域社会の構築に努めてまいります。
多重債務者対策については、職員を専門研修などに参加させるとともに、関係機関などと連携を図り相談窓口の充実に努めてまいります。
自殺対策については、相談窓口の周知を図るとともに、こころの健康や自殺予防に関する普及啓発および地域における身近な存在として傾聴ボランティアの育成など、関係機関などと連携しながら対策を進めてまいります。

人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり

第3に「人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり」の施策について申し上げます。
人材の育成については、人口減少社会において地域の活力を維持していくためには、人材の育成が重要であると考えているところであり、子供たちが、しっかりとした勤労観・職業観を身に付け、さまざまな問題にたくましく対応する社会人として自立できるような人材育成を目指してまいります。

読書の環境を整備

また、今の時代においては、自分を的確に表現することや、相手の意図を正確に理解できるコミュニケーション能力が特にも求められています。この能力は、子どもたちがより多くの本に接することにより培われるところが大きいのではないかと考えており、読書の大切さを家庭、地域が一体となって理解し、読書活動を普及させるように努めるとともに、図書館の整備を進め、読書環境の向上を図ってまいります。
学校教育施設の整備については、本年4月に開校する大原小学校のプール建設と屋外環境整備、川崎中学校の校舎建設、大東中学校区統合小学校の校舎実施設計をはじめ、萩荘中学校の屋内運動場の改築、涌津小学校校舎の大規模改修、山目小学校校舎の大規模改修の実施設計など、学校の規模適正化や施設の安全確保など、教育環境の向上に努めてまいります。
骨寺村荘園遺跡の世界遺産登録については、平泉の登録後に、追加登録を目指してまいりますが、大切なことは、中世から引き継がれてきた素晴らしい景観をしっかり後世に伝えていくことであり、そのための調査研究を進めるとともに、ガイダンス施設の整備に取り組んでまいります。
なお、教育行政の具体については、教育委員長より申し上げます。

人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり

第4に「人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり」の施策について申し上げます。
国・県道の幹線交通網の整備については、国道284号真滝バイパスと清田地区は平成22年度完成を促進するとともに、室根バイパスについては、用地買収に着手されますが、さらなる整備促進に努めるほか、国道342号花泉バイパスの早期完成を促進してまいります。さらに、厳美バイパス、国道343号大原バイパス、主要地方道一関大東線生出・流矢地区および主要地方道一関北上線についても、関係機関と連携しながら整備促進に努めてまいります。
また、国道4号一関大橋以南の四車線化や、花泉バイパス以南宮城県境までの国道342号の整備促進についても要望してまいります。
一関・気仙沼間を結ぶ地域高規格道路の建設および(仮称)栗原北上線の県道昇格については、関係市町と一体となって要望してまいります。
市道については、流通団地金沢線・清水原一関線、(仮称)駒場広域連絡線、寺田下流通団地線などについて、医療、消防、工業団地などの基幹施設と地域を結ぶ重要な路線でありますことから整備を推進してまいります。
また、市民からの要望が強い生活道路や歩道についても、順次整備を進めることとしており、安全・安心な市民生活の確保に対応してまいります。
街路整備については、一ノ関駅東口へのアクセス向上を図るため、駅東前堀線の平成22年度完成を目指すとともに、中央町地区についても整備を進めてまいります。
公共交通については、長坂・猿沢地区において、タクシー車両によるデマンド運行を行うほか、市民とともに地域の実情に合った乗り合い交通の形態を検討してまいります。
テレビ放送のデジタル化については、中継局の整備、民放放送エリアの拡大、共同受信組合におけるデジタル化などを推進し、平成23年7月から完全実施されるデジタル化に対応してまいります。
携帯電話の通話不安定地域の解消、インターネットの光通信サービスエリアのさらなる拡大については、光ファイバーの民間開放を積極的に推進しながら、情報格差の是正に努めてまいります。

水と緑を守り育み自然と共生するまちづくり

第5に「水と緑を守り育み自然と共生するまちづくり」の施策について申し上げます。

省エネビジョンを策定

環境保全については、地球温暖化対策を一関地球温暖化対策地域協議会と連携し、学習会の開催、広報の発行などCO削減の必要性の意識啓発に努めるとともに、住宅用太陽光発電システムへの補助制度を創設し、また、防犯灯のLED化などの取り組みを推進してまいります。また、省エネルギービジョンの策定に取り組んでまいります。
ごみの減量化、資源化については、資源の有効活用の意識啓発を図るとともに、元気なまちづくり事業の一環として、住民とともに不法投棄のないまちづくりを推進してまいります。
簡易水道事業については、厳美・萩荘、真滝・弥栄、舞川、磐清水・奥玉・小梨および田河津の事業を推進し、水道未普及地域の解消に努めてまいります。
また、施設の老朽化に伴う改修・更新についても実施してまいります。
水道事業については、新たに前堀浄水場の機能を強化するほか、配水管の漏水復旧などに迅速に対応ができるようマッピングシステムを構築してまいります。さらに、上巻浄水場の整備や、一関東第二工業団地の送・配水施設の整備などを実施し、安全な水の安定的な供給に努めてまいります。
また、上水道事業と簡易水道事業の経営統合に向けて、施設整備計画および財政計画の作成に取り組んでまいります。
汚水処理については、公共下水道の管路整備を進めるとともに、千厩汚水処理施設の平成22年度供用開始を目指し整備を進めてまいります。
さらに、供用開始区域内の未接続世帯の水洗化を促進するとともに、下水道事業中期経営計画を策定し、効率的・効果的な下水道事業の推進に努めてまいります。
また、浄化槽事業については、市設置型と個人設置型の二つの整備手法について、地域の状況を把握しながら、今後の方針を決定してまいります。

協働によるまちづくりを基本に発展に必要な施策を着実に実施

以上、分野別施策の主なものを申し上げましたが、当市の財政状況については、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率などは、国で定めている「早期健全化基準」以下であるものの、少子・高齢社会の進展、人口減少、経済情勢の悪化などにより、市の財政状況は、一層厳しさを増していくものと見込まれます。
今後の財政状況を見据え、より一層の財政の健全化を図り、行政課題や多様な市民ニーズに的確に対応できる持続可能な財政基盤の確立に努めていくことはもちろん、行政改革大綱・集中改革プランの着実な実行に努めるとともに、平成23年度からの次期計画の策定に向けた取り組みを進めてまいります。
さらに、地方分権が進展する中で、広域的な視点に立って行政基盤を強化していくためには、合併は有効な手段の一つであり、「両磐は一つ」との思いを深く胸に刻み、これまでの合併研究会における調査研究の成果を踏まえ、藤沢町との合併を推進してまいります。
また、まちづくりの指針である総合計画基本計画については、平成23年度から平成27年度までの後期計画の策定に着手いたします。
これからの時代は、市民と行政とがともに行動する、協働によるまちづくりが基本とならなければならないと考えているところであり、それぞれが役割と責任を担いながら、ただ今申し上げました施策を着実に推進できるよう、最大限の努力をしてまいります。
当市には、豊かな自然と文化、優れた人材、安全で質の高い農畜産物など、先人が守り育ててきた誇れる資源が数多く存在しており、この資源は、いついかなる時代にありましても、私たちの暮らしを支える大切な基盤であります。
当市は今、厳しい状況に直面しておりますが、この誇れる資源を最大限に活用するとともに、さらなる伸展を図りながら、今後とも市民の声に耳を傾け、一関市の発展のため必要な施策を着実に実施し、市民の負託に応えてまいります。
何とぞ、議員各位ならびに市民皆さまのご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。