本日ここに、令和5年一関市議会定例会第102回2月通常会議の開会に当たり、提案をいたしました議案等の説明に先立ち、今後の市政運営について、所信の一端と主要施策の概要について申し上げます。

1.はじめに 

新型コロナウイルスの感染が昨年からかつてないスピードで全国に急拡大し、人々の不安の解消には至っておりません。
また、世界の情勢を見ますと、長引く円安に加え、長期間に及ぶロシアのウクライナ侵攻などに伴い、エネルギー価格や物価の高騰により、市民生活や地域経済活動を取り巻く環境において厳しい状況が続いております。
市では、これまでも感染対策や経済対策に取り組んでまいりましたが、令和5年度においても、市民の皆様が安心して健やかな生活を送ることができるよう、その時々の状況を見極めながら「感染防止」「生活支援」「経営支援」の三つの柱により、感染防止と社会経済活動との両立を図る取組を進めてまいります。
 
私は、令和5年度予算を通じ、
・ 新型コロナウイルス感染症対策
・ エネルギー価格・物価高騰対策
を講じ、さらには、当市の最大の課題である人口減少と広大な市域に集落が点在している状況を考慮し、今、住んでいる土地にこれからも住み続けられるまちを目指してまいります。
さらには多様化する市民ニーズへの的確な対応を図り、さらなる市勢の発展に結びつけてまいりたいと考えております。

2.地域の活力を高めるまちづくり

(1) 人口減少への対処、新型コロナへの対応

次に、人口減少への対処と新型コロナへの対応について申し上げます。

人口減少への対処については、人口減少そのものを止めることは困難でありますが、人口減少によるダメージを少なくするとともに、地域の活力を高めていく必要があります。
そのためには、女性や若者が活躍できる社会の形成が不可欠であり、「女性活躍会議」「若者活躍会議」「農業未来デザイン会議」の三つの会議体での意見なども参考にしながら、人口減少に対する取組を進めてまいります。

新型コロナウイルス感染症への対応については、市医師会や関係機関の協力を得ながら、ワクチン接種などの対応に努めるとともに、引き続き、必要な施策を行い、感染防止と社会経済活動の両立を図り、安心した市民生活の回復に努めてまいります。

(2) まち・ひと・しごとの創生

将来にわたって持続可能な地域とするためには、地域内の産業が稼ぐ力を高め、所得や資金の流れを地域内で循環させる必要があります。
ここに住みたい、訪れたいと思える豊かな暮らしや働き方を実現し、誰もが健康で安心して暮らせるまちを目指すため、総合計画後期基本計画の重点プロジェクトに掲げる「まち・ひと・しごとの創生」における三つの項目を重点に取り組んでまいります。
(1) 働く場を増やす 稼ぐ力を高める(しごとづくり)
一つ目の項目は、働く場を増やす・稼ぐ力を高める「しごとづくり」についてであります。
市の独自推計では、今後、人口が加速度的に減少し、令和27年の市の人口は約7万4千人と見込まれ、地域の経済、医療、福祉、教育、文化など様々な分野への影響が予想されます。
 地域の活力を高める施策を展開し、稼ぐ力を高めていかなければなりません。

起業を志す人材の育成を図るとともに、一関商工会議所、金融機関などと連携し、相談室の開設や創業資金などを支援し、ビジネスとしての活動を広げる環境づくりに取り組んでまいります。

また、一関東第二工業団地の拡張整備を進めるとともに、新たな産業用地の整備に取り組んでまいります。

さらに、市内企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への取組や、市内企業の事業所改築などの設備投資への支援を進めてまいります。

そして、県が進めております北上川バレープロジェクトに関し、いわて型産業の創出及び高度な技術者の育成と確保に向けた提言を行ってまいります。

一ノ関駅東口工場跡地については、事業用定期借地権による民間事業者への貸付を基本とし、市の最重要課題である人口減少に対処するため、当面は、「雇用を創り出す場」として、引き続き活用策の検討を進めてまいります。
また、市へ土地が引き渡される令和8年度に向けて、この土地の管理運営を担う法人の設立に取り組んでまいります。
(2) 人が輝く 人を育てる(ひとづくり)
二つ目の項目は、人が輝く・人を育てる「ひとづくり」についてであります。
一人ひとりが輝く、「ひと」が中心の社会でなければなりません。
 女性や若者が活躍でき、生涯現役で働く意欲と体力を維持できる健康長寿のまちを目指してまいります。

女性や若者の地元定着、地元就職を促進するため、職場環境や働き方の改善を進めるためのセミナーの開催やトイレ、更衣室の改修など働く場の環境整備を支援し、働きやすい職場を増やしてまいります。

また、市内事業所の人材確保の取組を支援するため、情報の発信と採用活動に要する費用を支援し、市内事業所へのUIJターン希望者の就職を促進してまいります。

農業については、農業の新たな担い手の確保策として、市内への就農と定着を図るため、経営開始に向けた資金を支援してまいります。

移住者の増加及び生活基盤の安定と定住の促進を図るため、移住者の住宅取得費用や家賃を支援してまいります。
また、若者の勉学やスポーツ、芸術などの目標達成に向けて、親元を離れ市内の高等学校、工業高等専門学校などに通学する高校生、高専生等に対して、下宿やアパートなどの家賃を支援してまいります。
(3) 地域・まちを元気にする(まちづくり)
三つ目の項目は、地域やまちを元気にする「まちづくり」の取組についてであります。
これまで申し上げた「しごとづくり」、「ひとづくり」を展開することで「まちづくり・地域づくり」がさらに進むものと考えており、それが人口減少対策につながるものと認識しております。
さらに、「しごとづくり」、「ひとづくり」に向けた取組に加え、地域やまちを元気にする取組として、何点か申し上げます。

東京ガールズコレクションがプロデュースする「TGC teen ICHINOSEKI 2023」を本年5月に一関市総合体育館で開催します。
併せて、関連イベントを企画開催し、より多くの皆さんに一関の良さを感じてほしいと考えております。

地域おこし協力隊員を増員し、DXの推進、空き家の活用、伝統産業の技術継承など地域に根ざした活動を支援し、地域経済の活性化策を推進してまいります。
また、地域活性化起業人制度を活用し、民間企業などの社員を一定期間受け入れ、地域経済の活性化と当市への人の流れを創出してまいります。

高齢者の生活習慣病の重症化予防と心身の機能が低下する状態、いわゆるフレイルの対策を推進するため、医療、介護、健康診査の情報を活用し、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施してまいります。

競技スポーツの推進を図るため、競技力向上に重要な役割を果たす指導者の育成を支援してまいります。
また、大規模なスポーツ大会の開催を支援し、スポーツを通じた交流人口の拡大、地域経済活性化の取組を推進してまいります。

脱炭素への取組については、策定を進めている一関市地球温暖化対策地域推進計画などに基づき、2050年二酸化炭素排出実質ゼロの達成に向けて引き続き取り組んでまいります。

市有林の間伐によって増加した二酸化炭素吸収量をオフセットクレジットとして販売するため、クレジットの新規取得に取り組みます。
また、二酸化炭素の排出抑制と地域内経済循環を高めるため、木質バイオマス利用を促進し、薪ストーブの普及や民間施設へのチップボイラー導入の可能性について検討を進めてまいります。

都市計画道路については、未整備路線の見直しに向け調査を進めてまいります。

3.総合計画の着実な推進

次に、総合計画後期基本計画に掲げるまちづくりの目標に沿って、令和5年度の取組について申し上げます。

(1) 地域資源をみがき生かせる魅力あるまち

一つ目の目標は、「地域資源をみがき生かせる魅力あるまち」についてであります。
まちを持続的に発展させていくためには、地域を支える産業を振興し、一人ひとりが力を発揮できる、活躍の場を創出することが必要であります。

農業の振興については、生産の効率化と担い手への農地集約を促進するため、地域農業のあり方や将来的な農地利用の姿を明確化する新たな地域計画の策定に着手するとともに、農業法人への就農や新規学卒者就農に対する支援を行い、新規就農者の確保に努めてまいります。
また、農業経営の安定を図るため高収益作物への転換を促進してまいります。

地産地消並びに地産外商を促進し、生産者のビジネス展開への支援を進め、地域の特色を生かした農産物の生産振興を図るとともに、有機農業の産地づくりに向けた取組を支援してまいります。

農村地域活動への支援に取り組み、農村の維持・発展を図ります。
また、国道343号の道の駅の整備を進めてまいります。

林業の振興については、林業の新たな担い手を創出するため、自伐型林業者の育成を図るとともに、住宅や事業所などへの市産木材の利用を促進してまいります。
また、航空レーザーによる山林の計測を行い、木の位置や種類、高さ、太さなどを把握し、森林整備の効率化を図ってまいります。

有害鳥獣の被害防止を図るとともに、狩猟免許の取得や銃器などの購入を支援してまいります。

工業の振興については、次代を担う若者などの人材育成や確保、地域企業の技術力・経営力の強化に取り組んでまいります。

雇用については、関係機関と連携し、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の実現に向け、企業を対象とした子育て支援などの周知、男女共同参画に関する普及啓発を行ってまいります。
また、就職氷河期世代の就職を支援するとともに、障がいのある方などの多様な働き方を支援してまいります。

商業、サービス業については、事業資金の低利融資、利子補給などを行い、安定的な経営を支援してまいります。
また、商店街のあり方について、地域の方々との懇談を行うとともに、専門家による相談やまちづくりの手法を学ぶ機会を提供してまいります。

観光については、平泉町をはじめ、近隣市町村や関係団体と連携して、スケールメリットを生かした誘客に引き続き取り組んでまいります。
また、市内各地域の夏まつりや全国地ビールフェスティバル、一関・平泉バルーンフェスティバル、全国もちフェスティバルなどの各種イベントによる賑わいと地域経済の活性化に努めてまいります。

(2) みんなが交流して地域が賑わう活力あるまち

二つ目の目標は、「みんなが交流して地域が賑わう活力あるまち」についてであります。
活力ある地域となるためには、新しい風を呼び込み、市内外で交流、連携し、市民活動や経済活動を活性化させていくことが必要であります。

協働のまちづくりが、より地域に根付くよう理解を深めるための啓発を行うとともに、各地域、各分野でリーダーとなる人材の育成を促進してまいります。
地域づくり活動については、地域の創意と主体性を生かした取組を推進していくため、地域協働体や自治会などの活動を支援してまいります。

移住定住については、オンラインや対面での対応、事業やイベント、さらに、各種制度による支援を効率的かつ効果的に活用し、地域の活性化と新たな人材や若い世代の移住定住を図ってまいります。

公共交通については、川崎地域においてデマンド型乗合タクシーの試験実証運行を行うほか、市営バスの経路や時刻などの見直しを行い、市民の生活に必要な移動手段の確保に努めてまいります。
また、地域の実情に合った、公共交通ネットワークの構築に向け、一関市地域公共交通計画の策定に取り組んでまいります。

国際交流については、一関市国際交流協会の活動を支援するとともに、多文化共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

道路整備については、国道4号の交通安全対策事業の早期完成をはじめとした安全対策や急カーブ、急勾配、狭隘部の解消による災害に強い道路ネットワークの構築に向け、国・県、各期成同盟会と連携して取り組んでまいります。
国道343号の笹ノ田峠については、新トンネル整備に向け、関係市町、新笹ノ田トンネル整備促進期成同盟会ととともに、県への働きかけを行ってまいります。

市内の地域間を結ぶ幹線道路と地域に密着した道路の整備を計画的に進め、市民生活の利便性の向上に努めてまいります。

道路環境、交通安全施設については、計画的な修繕、更新を進め、道路、橋梁の長寿命化を図ってまいります。

私人が所有する道路、いわゆる私道の整備を支援し、地域内の生活環境の向上を図ってまいります。

(3) 自ら輝きながら次代の担い手を応援するまち

三つ目の目標は、「自ら輝きながら次代の担い手を応援するまち」についてであります。
将来にわたって誇れるまちをつくるためには、家庭、地域、学校、企業、行政などが一体となり、次代を担う人材を育てることが必要であります。

「教育に関する大綱」で定めた基本目標である「学びを広げ、人と地域が共に育ち、一関の未来を創る」、この実現に向けて教育委員会と連携して取り組んでまいります。
 
学校施設の整備については、本年4月に花泉地域の6つの小学校が統合し花泉小学校が、大東地域の3つの中学校が統合し大東中学校が開校します。また、新沼小学校が藤沢小学校に統合します。
一関小学校は、現在の場所に建設することとし、その構造など具体的な整備方針を検討してまいります。

社会教育については、生涯の各時期に応じた多様な学習機会を提供するとともに、市民センターの指定管理者に対する社会教育事業に関する支援を継続してまいります。

スポーツの振興については、スポーツを楽しむことができる環境整備に努めるとともに、誰もが気軽にスポーツを体験できる機会の創出をはじめ、各種教室やイベントの開催などに取り組んでまいります。
また、市内を活動の拠点とし国際大会、全国大会で活躍する若いトップアスリートの活動経費や、児童生徒が全国大会などに出場する経費を補助し、頑張るアスリートを応援してまいります。

妊娠期から子育て期までの一貫した伴走型相談支援と経済的支援を行う出産・子育て応援事業を実施し、安心して出産・子育てができる環境づくりに努めてまいります。

地域文化の伝承については、民俗芸能を映像として記録、保存し伝承活動を支援するなど、文化財や歴史、地域の文化について理解を深められるよう環境整備に取り組んでまいります。
 
 
骨寺村荘園遺跡については、引き続き調査研究を進めるとともに、推薦書素案の作成について、県、関係市町と協議してまいります。
また、本年秋に全国文化的景観地区連絡協議会一関大会が開催されることから、その準備を進めてまいります。

(4) 郷土の恵みを未来へ引き継ぐ自然豊かなまち

四つ目の目標は、「郷土の恵みを未来へ引き継ぐ自然豊かなまち」についてであります。
豊かな自然は市民の心の支えであり誇りであります。この貴重な自然の恵みを確実に次の世代へ引き継いでいかなければなりません。

資源・エネルギー循環の推進については、住宅及び事業所用の自家消費型の太陽光発電設備や蓄電設備、電気自動車の導入を支援するなど、資源・エネルギー好循環のまちを目指してまいります。
また、廃棄物の減量化・資源化については、有価物集団回収を行う団体への支援や生ごみ減量機器の購入に対する助成を行ってまいります。
 
汚水処理については、下水道区域においては管路整備の推進と施設の長寿命化に向けた予防保全型の維持管理を行います。また、浄化槽の処理区域においては浄化槽の設置を促進し、公共用水域の水質保全と快適な生活環境の確保を図ってまいります。

水道事業については、有収率の向上を図るため漏水調査や老朽化施設の更新に取り組むとともに、施設の耐震化、長寿命化を進めてまいります。 
また、経営の健全化を図るため効率的な施設の維持管理と適切な財源確保に取り組み、水道水の安定供給に努めてまいります。
生活用水確保支援事業は、最終年度に当たることから集中的に支援を行ってまいります。

(5) みんなが安心して暮らせる笑顔あふれるまち

五つ目の目標は、「みんなが安心して暮らせる笑顔あふれるまち」についてであります。
誰もが安心して暮らしていくためには、地域での支え合いが重要であります。一関市地域福祉計画に基づく各種施策を市民や福祉事業者、社会福祉団体との協働により推進してまいります。

高齢者が住み慣れた地域で、いつまでもいきいきとした生活を送るためには、地域全体で支え合う豊かな地域社会の実現が必要です。地域の実情に応じた市民主体による介護予防活動や高齢者の社会参加、社会貢献活動を促進し、日々の暮らしを支える助け合い活動を支援してまいります。

ごみ出しが困難な高齢者世帯については、ごみ出しの支援をしてまいります。

地域医療体制の維持については、医療・介護分野における人材の育成、確保が不可欠であり、特にも深刻な状況にある医師確保については、継続した取組を進めていくとともに、助産師、看護師、介護福祉士などの専門職の確保、育成、定着に向け支援してまいります。
また、地域の医療機関と連携し、救急医療体制の確保に努めるとともに、適切な受診について引き続き市民に周知してまいります。

仕事と子育てを両立しながら、子育てを負担に感じることなく、安心して楽しく子育てができる環境をつくるため、認定こども園の整備、保育人材の確保、病児保育の確保に努めてまいります。

高齢者の帯状疱疹の発症、重症化を予防し、健康の保持増進を図るため、帯状疱疹ワクチン接種費用の一部助成を行ってまいります。

国民健康保険については、国庫負担割合の引上げなど財政支援の拡充や負担軽減策の充実強化などを引き続き国へ要望するとともに、県と連携し国保財政の健全な運営に努めてまいります。
 
 
消防、救急、救助については、各種災害に対応するため、消防施設や設備などの計画的な整備を進めてまいります。
また、防災行政情報システム、FMあすもなどの多様な手段により、災害時の迅速で的確な情報提供に努めてまいります。

一関遊水地事業については、昭和47年の事業着手から50年が経過し、最終段階にあります。国土交通省と連携を図り、遊水地の供用開始に向け早期の地役権設定に取り組んでまいります。

災害に強いまちづくりについては、防災マップの活用や防災訓練の推進に取り組み、市民の防災意識の高揚を図ってまいります。
また、岩手県地震・津波被害想定調査報告書が想定している震度分布図を周知するとともに、木造住宅の耐震化、ブロック塀の除去など被害軽減につなげるよう支援をしてまいります。
さらに、土砂災害警戒区域などの周知、農業用ため池の防災対策などリスク軽減を図る取組を進めてまいります。

交通安全については、関係機関・団体と連携した啓発活動に取り組むととともに、高齢ドライバーの事故を防止するため、安全運転支援装置の設置に対して支援してまいります。
 
罪を犯した人の社会復帰を支援するため、再犯防止推進計画を策定し、市民や関係団体と一体となって取組を進めてまいります。

日常的に管理が行われていない空き家については、所有者による適切な管理を促すことを基本としつつ、必要な対策を講じてまいります。

4.総合計画後期基本計画に掲げる重点プロジェクト

次に、総合計画後期基本計画の重点プロジェクトに掲げる国際リニアコライダー(ILC)実現への取組と東日本大震災からの復旧復興について申し上げます。

ILCについては、日本がILCの実現に向け重要な役割を果たすことを欧米各国は期待しております。また、政府が閣議決定した予算案では、ILC関連の予算が前年度から倍増となり、ILC計画の進展に向け、大きな弾みとなることを期待しております。
当市としても、国に対して日本誘致の意思を早期に国内外に表明するよう、今般設立したILC実現建設地域期成同盟会などを通じ強力に働きかけるとともに、関係機関、自治体と連携しILCの建設実現に向け、最大限の努力をしてまいります。

次に、東日本大震災からの復旧復興についてであります。
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による汚染対策については、原木しいたけの産地再生への支援、汚染された乾しいたけの県外施設での焼却処理、農林業系汚染廃棄物や学校などに埋設一時保管している除去土壌、側溝土砂の最終処分など、早期解決に向け、引き続き取り組んでいくとともに、国や最終責任者である東京電力に対し、責任を果たすよう強く求めてまいります。

また、陸前高田市への職員派遣を継続してまいります。

以上、令和5年度の取組の中から主なものを申し上げました。

5.市政運営の基本

次に、市政運営の基本について申し上げます。
当市では、地域づくりの基本として、市民と行政の協働によるまちづくりを掲げ、地域協働体を対象として支援をしてきたところであり、これまで以上に地域協働体の自主的、主体的な取組を促進してまいります。

これからのまちづくりを着実に推進していくためには、将来世代まで見据えた財務経営を行い、安定的な行財政運営に努めていくことが必要であります。
このため、組織の見直しや事務事業の効率化、歳出の徹底的な見直しなど、第4次行政改革大綱・集中改革プランの取組を推進し、市民との協働や民間活力の活用により、質の高い行政サービスを持続的に提供できるよう、一層の行財政改革を進めてまいります。
DXの推進については、策定を進めている一関市DX推進計画に基づき、庁内事務の効率化と行政手続のオンライン化の拡大などに取り組み、市民の利便性向上に努めてまいります。
公共施設等総合管理計画に基づき、施設保有の見直しを進めるとともに、施設保有量の適正化及び長寿命化等を図るため、安定的な財源の確保に向け、新たな基金の設置を検討してまいります。
また、市内各地域にある閉校校舎跡地などの積極的な活用に取り組んでまいります。

様々な施策を進めていく上では、同じ日常生活圏にある近隣自治体との連携が施策の効果をより高めるものと考えております。特にも平泉町と宮城県北の各市を重要なパートナーと位置付け、少子高齢化や人口減少などの課題に対応できるよう、暮らしに必要な機能を総体として確保するとともに、より強く魅力あふれる圏域の形成を目指してまいります。

市では昨年末から、いちのせきパートナーシップ宣誓制度の運用を始めました。性的マイノリティの方々の日常の悩みや生きづらさの軽減を図るとともに、性の多様性への理解の促進や人権教育の充実に取り組んでまいります。
今後においても「誰一人取り残さない」グローバル社会の形成と持続可能な地域社会の構築につながるよう経済・社会・環境の三つの側面から、関係者が理念を共有し、SDGsの推進に取り組んでまいります。

6.おわりに

昨年は、一関工業高等専門学校が全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(高専DCON)で栄えある優勝、一関学院高等学校の硬式野球部が全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)を初戦突破、本年に入り、一関修紅高等学校の男子バレー部が全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)でベスト16に進出するなど、若者たちが勉学やスポーツ活動などで輝かしい活躍を見せております。
また、何事に対しても勇気を持って挑む若者たちの姿は、私たちにとって大きな励みとなり糧となっております。
一関市は、デジタル化や脱炭素社会の構築など多くの課題に直面しておりますが、職員一丸となって挑戦し、ふるさと一関の発展のため全力で取り組んでまいります。
子どもたちが笑顔を絶やさず、夢や希望を抱き、すべての市民がこの一関に愛着と誇りを持ち、これからも住み続けられるまちを目指してまいりますので、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げ、令和5年度の市政に臨む方針とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。