千厩八幡太鼓
“名馬大夫黒”をイメージした力強い響きを目指し
新年を祝う初打ちは、勇壮でリズミカルな「いわいばやし」と「出陣」。腕を伸ばし、体全体を使って打ち鳴らされる力強い太鼓の響き―千厩八幡太鼓(小野寺安会長、会員16人)の気迫と粋を感じた瞬間でした。
千厩八幡太鼓は昭和57年、北ノ沢地区の八幡青年クラブが中心となって結成。千厩夏まつりで太鼓を叩いていたメンバーが集まり、「夏まつりだけでなく、地域おこしとなる活動を」と、本格的な創作太鼓に取り組みました。現在は同地区だけでなく、千厩、室根両地域から集まった大人7人、小学生9人が、大人は週1回、ジュニアは週2回のペースで練習に励みます。
結成当初は、地元の祭りや結婚披露宴、町内のイベントなどを中心に活動。その後近隣市町村にも招かれるようになり、演奏の機会が増えてきました。「結成から25年、もちろん浮き沈みはありましたよ」と小野寺会長は振り返ります。
演奏活動を通して出会った両磐の太鼓仲間との交流が始まり、平成5年、磐井太鼓同志会を結成。年に一度、「いわい太鼓フェスティバル」を開催しています。「発表する場を設けたことはレベルアップにもつながったし、緊張感もあって、それぞれのモチベーションが持続できた」と、設立以来同志会の会長も務めている小野寺会長は語ります。
千厩八幡太鼓の十数曲に上るオリジナルのレパートリーは、若いころグループサウンズで活動していたという会員の小野寺直人さんが作曲。千厩産といわれる源義経の愛馬「大夫黒」をイメージさせる力強い太鼓の響きが特徴です。
後継者育成にも積極的な同会。「やめたいと思ったことは一度もない。とにかく楽しいし、お父さんのように太鼓を叩けるようになりたい」と話す小野寺柊也君(千厩小4年)は、家族が太鼓を叩く姿に憧れて小学2年から始め、今では堂々とした演奏ぶりです。
「お互いを尊重し合い、世代を超えて和気あいあいとやりながら継続させたい。楽しくなければ続いていかないからね。全国フェスティバルに出場している太鼓チームと同じ舞台に立てるぐらいの技量をつけたい」と、小野寺会長ははにかみながらも力強く語ります。
(広報いちのせき平成20年2月1日号)