都市と農村との交流から地域活性化の方策を探る

吉川市からホームステイに訪れた5人は室根山でヤマモミジを植樹。丁寧に土をかけ、最後に記念の標柱を立てました

 本市の友好都市、埼玉県吉川市との縁は、旧室根村時代の平成9年、同市と友好提携を締結したことにさかのぼります。同年11月、室根・吉川交流協会(小山謂三会長、会員110人)が発足。吉川市では吉川・室根交流協会(森田栄会長、会員233人)が同年10月に設立され、相互に交流の輪を広げてきました。
 交流のきっかけは、室根町折壁出身で吉川市に住む元小学校教諭、小山健一さん(63)の存在です。昭和62年、小山さんが児童生徒とともに室根を訪れ、農村体験や室根山観光を行い交流がスタート。平成元年から小学生の相互ホームステイや産業文化祭での相互出展が催され、現在まで継続しています。6年からは中学生スポーツ交流も行われるなど、さまざまな交流を通じて相互理解を図ってきました。
 これまで、相互ホームステイで室根から吉川市へ延べ293人、吉川市から室根へは延べ378人が訪れました。人と人との結び付きは物産交流へとつながり、毎年11月に開催される吉川市民まつりでは、室根産のリンゴを中心とする農産加工品やいわいどりなど、室根の物産を販売。特にリンゴは売れ行きが好調で、毎年購入してくれる室根ファンが着実に増加しています。
 今年の相互ホームステイ「いなかっぺ大将in室根」では、訪れた5人の子どもたちがそれぞれの受け入れ家庭でソフトボール大会の応援をしたり、農作業体験をしたりと室根の夏を満喫しました。朝倉晴美さん(朝霞第三小6年)は「今回で3回目のホームステイなので、緊張はしていませんでした。ソフトボールの応援や花火大会に行ったり、楽しい思い出ができました」と受け入れ家庭への感想を話していました。
 今年で設立10周年を迎えた同協会。7月には記念事業として吉川市を訪れ、市民交流センターおあしすのイベント広場に本市の木、ブナ2本を植樹したほか、室根石の記念碑も建て、これまでの歩みと一層の交流拡大を誓いました。今後記念式典や10年間の交流記録集の発行も予定されています。
 「吉川・室根交流協会とは、数字では表せないほどの交流を重ね、まさに以心伝心の仲間。これまで培ってきた友好のきずなをより一層強くし、さらなる交流の輪を広げていきます」。小山会長は力強く語りました。

 

(広報いちのせき平成19年10月1日号)