花の地産地消を目指して 

ちょうどいい時期に開花させるにはハウスの温度管理や換気が大切。出荷を迎えたストックを収穫するメンバー

 パイプハウスの戸を開けると、くらっとするほどの強い香りと淡いかれんな花が目の前に広がり、一足早い春の花畑が出迎えてくれました。2年目の春を迎えた「花・咲かせ隊(菅原有里代表)」のメンバーが育てた白・紫・ピンクのストックです。

 「花・咲かせ隊」は平成17年4月、川崎地域の30代から60代の女性6人で結成した切り花栽培のグループ。メンバーのうち4人は、15年にオープンした道の駅「かわさき」を運営している「ドンと市かわさき協同組合」花班メンバーで、夏場には小菊などをそれぞれ栽培し出荷していました。しかし、春彼岸に向けた切り花栽培はハウスなどの設備投資が必要なことから個人では難しく、地元川崎では栽培されていませんでした。このため、何とか自分たちで春彼岸用の切り花を育てようとグループを立ち上げ、一関農業改良普及センターの指導を受けながら、3年間の研究グループ活動として取り組んでいます。

 「メンバーの中にベテランの花栽培農家の先輩がいるので、まずは栽培方法と技術の向上を目的として活動しています。研究グループ立ち上げの際に声を掛けた2人は非農家ですが、花栽培を覚えたい、とにかくやってみたいと仲間に加わってくれました。6人の共通点はとにかく花が好き、ということかな」と話す菅原代表。

 活動は9月から翌年3月まで。会員宅で種をまいて育苗し、JAいわい東川崎育苗センターのパイプハウス2棟を借り、“無加温で咲く”ナノハナ、キンセンカ、ストック、スイセンを栽培しています。このハウスは水稲育苗、野菜栽培で活用した後に利用するため、施肥量の調整などが難しく、特に1年目は草丈が思うように伸びなかったりと、土づくりに苦労したとのこと。ハウスの中にさらに骨を組みビニールを掛ける“内張り”は力仕事で大変な作業ですが、今年は会員たちが自ら行いました。「今年は生育が順調で、きれいに花が咲きそろいました。ハウスを開ける瞬間が一番うれしい」と笑顔がこぼれます。

 収穫した花は道の駅「かわさき」の店頭で販売しています。極端に売れ残ることもなく順調な売れ行きで、今年は昨年以上の出荷を見込んでいます。研究グループとしての活動はあと1年。この活動で、年間通して道の駅で川崎産の花を販売できるめどが立ちました。菅原代表は「まだどうなるかわからないけれど、(期間終了後も)このままグループで続けることができればいいね」と話していました。

 

(広報いちのせき 平成19年4月1日号)