安心・安全な農産物の生産と供給を目指して

田植えと同時に黒色の紙を敷く紙マルチ田植えにより、除草剤を使わないコメ作りを実践する組合員 食を取り巻く環境が大きく変化し、安心・安全な食べ物がますます求められている中、大東町有機農産物等生産組合(小島幸喜組合長・組合員23人)は、環境に優しい農業を目指し、できる限り農薬や化学肥料を使用しない有機栽培を実践しています。
 同組合は平成10年に誕生。6年に催された「たい肥づくりと有機農業についての研修」を受講し、健康な作物づくりは健康な土づくりが重要であることを痛感した18人が、町の支援を受け組織しました。
 行政や農協の指導を受けながら土壌診断や土づくり資材の研究を進め、水稲栽培では紙マルチ田植えや種子の温湯消毒の実証試験も行いました。紙マルチ田植えとは、田植えと同時に黒色の紙を敷きながら苗を植えるもの。紙が日光を遮断するので、除草剤を使わなくとも雑草の発生を抑えることができます。これらを実践することにより、組合員の生産するコメは13年、厳しい基準で知られている有機食品のJAS規格(有機JAS)で有機農産物として認定され、安心・安全なコメを消費者に提供しています。
 同組合は有機栽培に関する講演会をはじめ、研修会、先進地視察を行うなど、人材育成にも力を注いでいます。
 さらに、18年から地域の子どもたちを対象に、有機水田を「田んぼの学校」として“開校”。田植え、カエルなどの生き物観察、稲刈りや魚のつかみ捕りを行う収穫祭、わら細工に取り組みました。有機稲作や環境保全型農業に対する理解を深めながら、四季折々の自然や農業のすばらしさを伝えています。
 これまでの取り組みが実を結んで、農産物の品質は高まり、販売・流通量は年々拡大。食味診断でおいしさも保証されている有機栽培米は、地元の学校給食に使われているのをはじめ、首都圏、秋田県の酒造会社、ふるさと便など全国へ出荷され、高い評価を得ています。野菜は学校給食センターなどに出荷され、未来を担う子どもたちに安全な農産物を提供しています。
 「全国では、自然の力を有効活用した究極の栽培事例も見られます。外見は同じコメですが、有機米は味わいがあり、とてもおいしいです。農薬に頼らない安全な農産物を、今後も消費者に提供していきたい」と穏やかな中にも力強く語ってくれた小島組合長。有機農業への思いと夢はますます広がります。

 大東地域に限らず、市内で有機農業に興味のある方、ご連絡ください。

  

問い合わせ先
大東農業技術センター 電話0191-75-2922

(広報いちのせき平成19年6月15日号)