たたら製鉄の復元通し地域の宝を掘り起こす 

燃えさかる炉に砕いた木炭と砂鉄を投入すると炎が吹き上がります砂鉄川の源流部で滑岩渓流として知られる大東町大原の内野地区。良質の砂鉄に恵まれ、製鉄の燃料となる木炭の産出も豊富だったことから、明治初期まで「たたら製鉄」が盛んに行われていました。たたら製鉄とは、砂鉄を原料に木炭の燃焼熱で精錬する日本古来の製鉄技法。「ホッパ山」と呼ばれる砂鉄採掘跡からは製鉄に必要な道具が発見され、製鉄作業場の「烔屋跡(どうやあと)」だったことが確認されています。
「ホッパの会」(小野寺秀逸会長、会員55人)は平成10年、刀匠で舞草刀の復元に取り組む菅原平さんを初代会長として組織され、たたら製鉄など歴史文化の再現を通じて環境を保全しようと活動しています。11年からは内野小と連携し、地域に伝わる製鉄技法の再現に取り組んでいます。会員の菅原正夫さんは、「美しい自然や歴史文化を生かそうと夢中だった。小学校や関係者の協力なくして、活動を継続することはできなかった」とこれまでの活動を振り返ります。
製鉄の準備は5月からスタート。粘土を使い手作業で作られた高さ約1メートルの溶鉱炉は8月にようやく完成し、作業本番を迎えます。
1400度に燃えさかる高温の炉に、砂鉄川から採取した砂鉄30キロと木炭60キロを、時間と数量を調整しながら交互に投入。作業開始から約6時間後、約15キロの鉄の塊を取り出します。子どもたちは、大粒の汗をかきながら大地から取り出した真っ赤な鉄の塊に、驚きと感動でいっぱいになります。
事務局の勝部欣一さんは「炉の温度や投入する砂鉄の量など試行錯誤も多かったが、子どもたちとともに大きな成果を上げることができた」と語ります。
16年には「砂鉄川たたら製鉄資料館」が完成。これまでの活動や交流の様子をはじめ、採取した鉄の塊や作業で使用する鞴などの道具が展示されています。
ふるさとを愛する住民と子どもたちが手を取り合い、全国に誇れる活動を実践する同会。「ホッパの会の活動が始まり、今年で十周年。たたら製鉄や滑岩渓流のほかにも、原台山といった地域の宝がたくさんある。登山ウオーキングなど新たな活動を通じて、地域の宝を掘り起こし、多くの市民に活動を発信していきたい」。小野寺会長は今後の抱負を力強く語ります。

活動メモ:会員を募集しています。
活動拠点

砂鉄川たたら製鉄学習館(一関市大東町大原字萱)

連絡先

勝部 TEL0191-77-2416

ホームページ

http://tatara.news.coocan.jp/

 (広報いちのせき平成20年3月1日号)