開始時刻 午後2時30分 

○市長発表事項

 なし

○その他

【記者】

ベトナムと台湾の訪問について、手ごたえをお聞かせいただきたい。

【市長】

 ベトナムは日越教育交流事業30 周年記念行事が開催され、在ベトナム藤沢会の主催による式典・交流会と、貿易大学ホーチミン市分校主催の記念式典にそれぞれ出席した。

台湾は3日間の滞在で、9箇所を訪問した。1日目の午前は高雄市議会を訪れ懇談し、午後は国立高雄科技大学を訪問した。2日目は屏東県庁と、国立屏東大学、泰武郷公所を訪問した。3日目は台湾教育部が主催するプロジェクトで、教育を手掛けているコンサルタントが建設した拠点施設の開所式に出席した。その後、南投県庁、私立朝陽科技大学、台湾農創興業という日本で例えれば単位農協の事務所を訪問した。

そのうち4つの訪問先(国立高雄科技大学、泰武郷公所、私立朝陽科技大学、台湾農創興業)とMOU(基本的な合意書)を取り交わした。国立高雄科技大学と私立朝陽科技大学については、一関市、一関高専、当該大学の3者での合意となる。台湾農創興業は、一関市、いわて平泉農協、台中市の農会といわれる組織との4者での合意となる。

合意の内容については、国立高雄科技大学と私立朝陽科技大学は、人材の育成や学生、教職員の交流などを進めていきましょうという内容。泰武郷公所については、自治体間交流という意味で、文化、教育、スポーツなどでの交流や地域経済の交流を進めていきましょうという内容となる。台湾農創興業は、農産物や加工品の情報共有や販売促進、プロモーション活動、農業人材の研修や交流を進めていきましょうという内容。今回訪問した9箇所は、7月に訪問した後、先方が一関市を訪れ、MOU締結に向けた準備をした組織団体や、今回、訪問団として訪れMOU締結に至った団体などがある。締結には至らなかったが合意に達したところもあるので、今後次のステップに進むところもあると思う。

【記者】

 物価高騰対策でお米券の配布が話題となっているが、一関市はどのような方針なのか。

【市長】

 国の交付金の充当先を内部で検討している段階。お米券については、やるかやらないかと言われれば、やらない方向だ。

【記者】

 理由としては市内での流通を勘案してのことか。

【市長】

 米の生産農家が多く、縁故米を含めて米は流通しているという認識だ。一関市の場合は米よりは他の支援だろうと思う。

【記者】

 お米券に代わっての充当先は何になるのか。

【市長】

 国の推奨メニューがあり、一定額は使途の指定がある。具体的には議会提案前なので申し上げられない。

【記者】

 住民税の非課税世帯などが支援の対象となる印象だが、そこから、さらに対象者に広がりを持たせることになるか。

【市長】

 物価高騰対策なので、日常生活を送る上での生活者支援と、事業活動を行う上での事業者支援がある。内部での議論を継続しているという状況だ。

【記者】

 今年一年を振り返って、漢字一文字で表すとすれば何という字になるか。

【市長】

 梅雨明け前から暑く、夏の猛暑が続き、水不足の心配があった。大谷翔平選手の活躍があり、秋からはクマの話題となり、今年の漢字一文字は熊だね、などと話をしていた。今年はいいこともそれなりにあったが、大変なことが多かった。昨年は、入札に係る不正行為の問題や盛り土農地の問題があった。入札については、見直しを行い試行しているところで、盛り土農地はまだ答えが出ていない状態の中で、猛暑やクマ対策など課題が積みあがったという印象だ。

【記者】

 課題が重なり合ってきた一年ということか。

【市長】

 入札については、改善案を作成し、取り組んでいる。取組内容について、ある団体の方は良いという評価で、ある団体の方は良くないという評価だ。進めていくうちに精査されていくものとみている。ある課題に対する答えには、いろいろな受け止められ方があり、徐々に良くなっていくと思う。その最中だ。今年の漢字一文字は特にない。あえて言えば困難の「難」というところだ。

【記者】

 東京ガールズコレクションについて、来年は開催見送りとのことだが、3年間開催した感想と、見送りする理由、今後の開催見込みについて聞かせてほしい。

【市長】

 東京ガールズコレクションのティーン版については、3年連続3回開催した。地元の若い人たちや子どもたちに、ドキドキ感・ワクワク感を感じてほしいということと、ふるさと一関に対する見方、受け止め方を今までとは違った形で捉えてほしいという思いで開催したものだ。ただ、大きなお金を使うので、経済効果等については説明をしてきたが、それはあくまで付帯的な事象でしかない。ドキドキ感・ワクワク感を感じてもらえた年が3年続いたということで、多少なりとも自分のまちを見る目が変わることのきっかけになったと思う。

 見送りという話があったが、来年はやらないということ。企業版ふるさと納税のお金について、ほかに使いたい事業があるので、そちらに充当したいということ。また、会場の改修工事が予定されており、開催期間と重なるかどうかは別として、これも開催しない付帯的な理由である。

 次回はいつ開催するのかという件は、いつか必ずやるということを前提に休止しているというわけではないので、やった方がいいねという声があることや資金的な面が確保されるなど、いくつかの要件が満たされれば開催することができるかもしれない。開催するとした場合、3年間やってきたことを継続した形がいいのか、違う形がいいのか、エンターテイメントの世界なので主催団体とも意思疎通を図っていきたいが、あくまで企業版ふるさと納税などの資金の目途が立てばということだ。

【記者】

 来年は開催しないという報道があったことを受けて、若い人からの反応はあるか。

【市長】

 私の行動範囲での話になるが、「開催しないのは残念だ」という声はいただいている。

【記者】

 ベトナム訪問で在ベトナム藤沢会に市から感謝状を贈呈したようだが、市として在ベトナム藤沢会はどのような存在か。また、日越交流が30年続いてきたが、30年続いたことをどう捉えているか。

【市長】

 感謝状については、在ベトナム藤沢会と、藤沢町に学生を送り出してきた貿易大学ホーチミン市分校に対して贈呈したもの。

 貿易大学ホーチミン市分校は優秀な学生が多く、ベトナムの一流大学だ。藤沢町にホームステイする学生は、日本語を履修し、日本で何を学びたいかを日本語でリポートを書き、学内選考を経た学生が来ている。したがって彼らは「日本通」であり、就職にあたっては現地の商社や大手の日系企業から引く手あまたとなっている。この交流が30年続いたということで藤沢町に訪れた学生は200人ほどとなっている。

 30年前のベトナムといえば、ベトナム戦争後20年目の年。そのような時代に国立大学で日本語を学ぼうとする学生なので、国を背負っているという意識があったようだ。今回は藤沢町で日越交流事業をスタートさせた故橋本輝雄氏のご夫人で(株)アーク取締役会長の橋本志津さんとその息子さん、今もホームステイ先として学生を受け入れているご家族数名が訪問した。

 学生の意識の高さと、受入れしている家族の心のつながりがあるということを改めて感じた。

【記者】

 県際4市町の首長懇談会が開催されるようだが、4市町連携の今後について、枠組みを広げるかという点も含めて教えてほしい。

【市長】

 明日(12月24日)は4市町連携の継続を確認する場となる。登米市、栗原市では選挙もあり、それぞれの首長の日程調整がつかなかったので年末の開催となった。意見交換では、連携の在り方として、経済面や産業面にも広げられないかという話もしたいと考えている。

 枠組みについては、一関市の東に気仙沼市、西に東成瀬村があるが、前回確認したところでは、このままでよいということだった。

【記者】

 東京ガールズコレクションを来年は開催しないことについて、地域課題の解決に向けたほかの取組があるからということだが、一番の地域課題は何だと捉えているか。

【市長】

 地域課題は実に多様で、住んでいる地域や属している分野、農業、商業などの職種、年代によっても様々な捉え方がある。それぞれの人にとって課題とする事柄が違うので、市としてこれが課題でこれが優先という言い方はしない。しかし共通して言えるのは、人口が減っていく中で、日々の暮らしの中でやりづらくなっていくことが地域課題となるので、それに応えられる事業を進めたい。

【記者】

 人口減少について、北上市や金ヶ崎町は人口が増えている。一関市が減っている理由は何か。

【市長】

 人口の増減には自然増減と社会増減がある。生まれる人の数と亡くなる人の数の差、自然増減は一関市と北上市、金ヶ崎町とで大きく変わりないが、一関市は高校を卒業した人が進学・就職で出て行く社会減が多いので減っているということだ。

【記者】

 北上市などは大きな企業があるが、一関市には若者を引き付けるような社会基盤がないということか。

【市長】

 北上市、金ヶ崎町は、社会増減は拮抗しているのかもしれないが、自然減まで吸収しているかどうか。社会増を満たすものとして産業集積があるので誘因力はあるが、北上市や金ヶ崎町だけで集積できたのではない。あの規模の工業団地に大企業が操業し、自動車や半導体という業種は大きなクラスターを形成する。それだけのものがあれば確かに人は集まる。大きな工場を作り、大きな会社を誘致することが地域づくり、まちづくりになるかということとは別次元の話となる。人が減らないことはいいことだが、一関市の場合はそれができない。大きな団地を造成できないし、大きな会社が来るとは限らない。県の施策と合致しないとできないことでもある。岩手県内をみても、北上市、金ヶ崎町などの一部を除いて一関市と同じ状況だと思う。

以上

終了時刻 午後3時20分