令和7年7月7日一関市長定例記者会見概要
開始時刻 午前11時
○市長発表事項
令和7年度県に対する要望について
【市長】
発表事項は令和7年度県に対する要望についてである。岩手県が主催し、市町村からの要望を知事が受けるというスタイルで、令和5年度から現在の形をとっている。市からの要望は12項目あり、そのうち重点項目が2項目となる。1つ目が国際リニアコライダー(ILC)の実現について、2つ目が道路、河川等の整備及び災害防止対策についてである。
一般要望は10項目あり、
(1) 地域医療体制等の充実について
(2) 地域公共交通に係る支援の拡充について
(3) 産業の振興と人材の確保へ向けた多様な対策について
(4) 子育て支援の充実について
(5) 東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質汚染対策について
(6) 地デジ県内放送の難視聴対策について
(7) 持続可能な農林業への支援について
(8) 水道施設整備と生活用水確保への財政支援について
(9) 流域下水道に係る負担金について
(10) 県民の利便性の向上に向けたデジタル化の推進について
となる。
要望の日時は7月10日(木)、会場は奥州地区合同庁舎分庁舎、当日の出席者は県から知事、県南広域振興局長ほか、一関市からは市長、教育長、関係部長、市議会から議長、副議長のほか、地元出身の県議会議員にも出席をお願いしている。
【記者】
重点項目の1と2は昨年度から継続なのか新規なのか教えてほしい。
【市長】
国際リニアコライダーの実現については継続となる。道路、河川等の整備及び災害防止対策についてのうち、国道4号の4車線化については継続、国道343号新笹ノ田トンネルの整備については継続、一関遊水地事業と一体となった磐井川堤防の早期完成については継続、広域連携に資する幹線道路網の整備については一部新規のものもある。河川に係る整備促進については継続、土砂災害の防止に向けた対策については新規となっている。
【記者】
ILCについては、今までもいろいろな形で要望してきたが、改めて要望する意味は何か。
【市長】
今年はヨーロッパのセルンでFCC-eeという次世代の加速器の建設計画をどうするかという議論が集中的に行われる年で、今年の3月に取りまとめがあり、来年にかけて意見の集約がなされる。グローバルプロジェクトとして、各国の協力のもとに進めていくが、ヨーロッパがどのような動きをするのかということは大きな関心事である。日本政府として、ILCを日本に誘致するということを発信していく必要があり、県と一緒に取り組んで行きたい。県も各省庁に呼びかけをしてほしいという趣旨となる。
【記者】
一般要望の子育て支援の充実についての項目で新規の項目がいくつかあるが、内容を教えてほしい。
【市長公室長】
(1)産後ケア事業の推進については、新規となる。出産直後の母子に対して、心身のケアや育児のサポートなどを行う産後ケアの事業について、当市も進めているが、年々需要が高まっている。この事業は、助産師、看護師などの専門的な人材の確保が重要になるが、これらについては都道府県が市町村の区域を越えた広域的な調整を行うという国の方針が示されていることから、広域的な事業実施に向けた調整を行ってほしいという内容の要望になる。
(2)児童発達支援センターの財政支援については、児童発達支援センターの設置は、令和8年度末までに、市町村又は圏域に少なくとも1箇所以上設置することが基本と国から示されている。これについて設置に係る財政支援をお願いするというもの。
(3)学校部活動の地域移行に向けた財政支援については、一部新規となっている。
項目は2つあり、1つ目は学校部活動の地域移行を推進し、地域部活動として活動するに当たり、県において指導者への謝金など、地域部活動の運営を支援する補助制度を創設してほしいというものである。2つ目は、地域部活動が地域でさらに展開されるように、県において、指導者の育成などに繋がる地域クラブの設立、運営に係る補助制度を創設してほしいという内容である。
(4)特別支援学級における児童生徒の人数の引下げについては、現在、特別支援学級の1学級当たりの人数は、国において8人を上限とする取扱いとなっている。児童生徒の個々の状況を踏まえた学びの選択肢を提供する上でも、特別支援学級の上限人数の引下げが重要であるという観点から、この8人を上限とする取扱人数を引下げるという要望をするものである。
【記者】
一般要望3の(3)で県立高校再編計画が新規となっているが詳しく教えてほしい。
【市長】
先般、岩手県教育委員会に対し、市長、市議会議長、商工会議所会頭の三者で提案書を提出したが、その内容と同様の内容となる。これを県立学校の設置者である県知事に対して要望するもの。(4)で県境隣接地域県立高等学校入学志願者取扱協定の改定についても関連する内容となる。
【記者】
今回新規で加わってきたのは時世の変化によるものか。
【市長】
先般は岩手県教育委員会に対し三者で提案書として提出した。現行の県立高校再編計画は今年度が最終年度であり、2つの工業高校を統合して県南地区に新設するという内容が示されている。令和8年度からの新計画については、考え方が示され、説明会もあったが、どこに、いつ頃、どのような学校を作るかは明らかになっていない。このことから、新設するのであればこのような学校が良いのではないかという提案をした。産業に直結する学校なので三者で提案書を提出したうえで、県立高校の設置者である知事に対して要望するのはこの機会だと捉えた。
【記者】
(4)で県境隣接地域県立高等学校入学志願者取扱協定の改定については、宮城県から越境する生徒に対する規制という捉え方でよいか。
【市長】
協定が岩手県と宮城県とで結ばれている。この協定が平成の市町村合併以前の市町村名となっている。これを現在の市町村名に改定して欲しいというもの。
【記者】
重点項目2の(3)一関遊水地事業と一体となった磐井川堤防の早期完成については、堤防とJR磐井川橋梁の高さについての内容なのか。
【市長】
一関第一高校と一関修紅高校の間にあるJRの鉄橋が、一関遊水地の堤防の上流側と下流側の高さより低くなっている。遊水地の事業計画の中に含まれているが実現されていないため早期実現を要望するもの。
○その他
【記者】
参議院議員選挙について、市長の支持候補についてお聞きしたい。
【市長】
国政に関しては中立である。
【記者】
中立ということだが、改めてその理由を聞かせしてほしい。
【市長】
一関市を代表する立場なので一関市としての利益は何かということになる。県に対する要望項目もだが、市の努力だけでは実現できないものも多い。国政選挙であれば、国政の立場からこれらの課題に臨んでいただけることがありがたい。特定の政党や団体だけにお願いをするものではないという考えだ。
【記者】
市長選挙も控えているが、いろいろな団体から支持を受けるということも理由にあるか。
【市長】
一政治家としてのアクションより市長として市民を代表する立場としてのアクションの方がふさわしいと考える。
【記者】
各陣営からメッセージや応援演説などの要請があった場合、対応はどうするか。
【市長】
公務の日程によるが、なかなか日程が合わないのが現実だ。
【記者】
参議院議員選挙の争点はどのように捉えているか。
【市長】
税に関すること、社会保障の財源に関することなどが取り上げられている。社会保障の件を議論していくことはありだと思うが、メッセージ性の強いワンフレーズが先行していることは、いかがなものかと思う。深い政策議論になっているのかということが気になる。
【記者】
消費税が減税になれば財政に影響が出ると思うがいかがか。
【市長】
消費税を減税して社会保障の財源をどう賄うのか。対案が出されているが、一時的な財源なのか恒久的な財源なのか、広範な議論が必要だと思う。
【記者】
台湾への出張が予定されているが日程と目的について教えてほしい。
【市長】
13日の日曜日に出発し移動する。14日月曜日から5日間現地で活動する。19日土曜日早朝に現地を出発して帰って来る日程となる。
目的は企業誘致、インバウンド、都市や地域との交流となる。特に一関市に来る台湾の観光客を増やしていく方法について、現地の旅行代理店と話を深めたい。将来的なことになるが、これまで市内産農産物などの販売を進めてきたが、一関産の農産物や工業製品を現地で購入できるようにならないかを探りたい。また、台湾の都市や地域との交流を発展できないかなどについても調整している。
【記者】
出張先は台湾のどこか。
【市長】
高雄市、屏東県、台中市、台北市を訪れる予定。
以上
終了時刻 午前11時37分