令和7年11月10日一関市長定例記者会見概要
開始時刻 午前11時00分
○市長発表事項
なし
○その他
【記者】
先日のクマによる人身被害に関して、DNA鑑定はどのような状況なのか。
【市長】
まだ結果が出ていない。
【市長公室長】
担当課に確認したところ、結果の確定にはもう少し時間がかかるとのことだ。
【記者】
クマの被害対策について国へ行った要望について伺う。現行の体制や制度を拡充してほしいという内容だが、具体的にはどのようなことか。
【市長】
10月31日に総務大臣、農林水産大臣、環境大臣及び岩手県選出の国会議員に対して行った要望について要望書を読み上げる。
改正鳥獣保護管理法により、人の日常生活圏にクマ等が出没した場合に、市町村長の判断で緊急銃猟が可能となったが、この制度の運用にあたっては、地域住民及び捕獲従事者の安全を最優先に確保しつつ、市町村が円滑に捕獲を実施できる体制の構築が不可欠であることから、現行の体制や制度を拡充していただきたい。
(1)都道府県が実施する麻酔銃猟作業者の人材育成、増員及び市町村への派遣に対する支援
(2)警察官によるクマ駆除のためのライフル銃使用制度の整備
(3)駆除要請があった際に、捕獲従事者が銃器保管場所でライフル銃を受け取り、速やかに現場に移動できる仕組みの構築
以上が、要望項目の1番目、捕獲に係る制度の拡充の内容である。
制度改正により市長村長の判断で緊急銃猟が可能となったが、緊急銃猟を実施できる4つの要件をクリアしたうえで、地域住民及び捕獲従事者の安全を確保しつつ、クマを捕獲するにはハードルが高いので、そのほかの手段も持っておきたいという趣旨で要望したものだ。
1つ目は、麻酔銃の使用について。ライフル銃は熟練が必要であり、危険も伴うが、麻酔銃であればハードルが下がる。しかし、扱える人が限られるので、なり手を増やす方法や市町村への派遣を検討してほしいということ。
2つ目は警察官によるクマ駆除のためのライフル銃使用制度の整備について。一関市内で人身被害があった現場の様子を聞くと、たまたま戻ってきたクマを駆除することができたが、その間にもっとできることがあったのではないかと感じた。現行の警察官職務執行法では言及していない部分なので、可能だと思うが、制度がないので人的な部分も含めて体制を整えてほしいということ。一関市で要望した前日に秋田県知事が自衛隊派遣を要望したが、警察官によるライフル銃使用は含まれていなかったと理解している。
3つ目は、駆除要請から現場到着の時間短縮について。緊急銃猟は猟友会という民間の方々が行うことになる。現在はハンターの自宅に銃器保管場所があり管理している。一関市は市域が広いので、例えばライフル銃の保管場所が、市役所や警察署であれば、通報から短時間で現場に到着できるのではないかと考えたものだ。これには法改正が必要になる。
【記者】
警察官によるライフル銃使用については、要望の後に制度改正となったが、その点についてはどのように考えているか。
【市長】
新聞記事などの報道で知り得た情報では、4人1組の銃器部隊1チームが岩手県に配置されるとのことで、盛岡市に配置になると思う。この広い岩手県をカバーしていくにはチーム数を増やしていくことが望まれる。また、警察官のライフル銃使用は、緊急銃猟が困難な場合に可能とのことである。人命保護という観点からすれば、どちらが先、後ということではなく、使える手段から使っていくということがあるべき姿なのかと思う。
【記者】
市内のイベントが中止になるなど、市民生活に影響が出ていることについてはどう考えるか。
【市長】
人身被害の発生や出没件数が多いということは、クマの餌となるブナの凶作やクマの個体数が増えたなどという要因はあるにしても、人口減少や農地の荒廃など日本の地方の現状を全て反映していると思う。
短期的な対処療法としてイベントの中止などは致し方ない。もう一方で大切なのは、中長期的な対策だ。かつてクマは人を恐れて人里に近づくことはなかった。管理された里山や中山間地域がバッファゾーンとなり、クマと人のすみ分けができていた。このような状態に戻していくことが求められる。国への要望にはこのような中長期的な対策も含めている。
【記者】
千厩地域の民生児童委員からクマ対策に関する要望書が提出された。千厩地域からの要望だったが、市としてはどのように対応していくのか。
【市長】
厳美地区の小中学校については保護者による送迎などを行い、厳重な警戒をしている。出没情報は市内全域なので教育委員会としてすでに検討し、取り組んでいるものもある。
【記者】
登下校の送迎は家庭によっては大変だという実態があると思う。スクールバスの乗車について、学校からの距離が近くて乗車できない児童生徒の乗車を求める要望のようだが、その点はどう考えるか。
【市長】
恒常的にスクールバスの乗車に係る距離制限をなくすことについては現実的ではないが、緊急的な対応とするか、この先どうするかについて整理して考えなければならない。
【記者】
例えば目撃情報があるところや被害があったところは乗車を可とするというような学区ごとに対応するということか。
【市長】
教育委員会で検討しているが、物理的にできる範囲と、こうだったらいいねという閾値をどこに求めていくかということだと思う。クマの出没場所について、地域による違いがあり、同じルールを市内全部に適用するということではないと思う。また、文献によると奥羽山脈と北上山地のクマでは習性が違うとのことだ。ただ今は、人身被害もあったので、ハイレベルな警戒態勢となるが、恒常的な対策とするかは検討する必要がある。
以上
終了時刻 午前11時25分

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