令和5年5月15日一関市長定例記者会見概要
開始時刻 午前11時10分
○市長発表事項
■一関市外国人市民等支援本部の設置について
【市長】本市に居住または通勤・通学する外国籍の住民を支援するため、支援本部を設置した。
外国人市民等の等は、通勤通学している外国籍の方々といった意味が含まれる。
設置日は本日。体制については、本部長は市長で副本部長は副市長と教育長。その他の職員として、市の庁議の構成員を本部員としている。
外国人市民等支援本部設置の理由は、一関市内に居住する外国人は令和4年末時点では、1,011人で本市の人口の約1%を占めており、県内では盛岡市に次いで2番目に多い状況。
近年は技能実習生の割合が高く、本市に居住または通勤通学する外国人、外国籍の住民、これを外国人市民等と言うが、これから先ますます増加していくことが見込まれている。
増加が見込まれる別の理由として、国が技能実習制度から特定技能を中心とした人材確保、そちらの方に制度の見直しを進めているといった背景もある。
市は外国人市民等が暮らしやすく、仕事をしやすい環境を整備する必要があると考え、受け入れ環境の改善、生活利便性の向上、コミュニケーションの支援、多文化共生の推進などを実施するため、一関市外国人市民等支援本部を設置したものである。
所掌事務について、外国人市民等の受け入れ環境の改善に関すること。次に同じく外国人市民等の日常生活の支援に関すること。外国人市民等とのコミュニケーションの支援に関すること。
一関市には、日本人の方もいれば、外国人の方もいるので日本人とのコミュニケーションの支援をしていきたいと考えた。
それから、多文化共生の推進に関すること。その他外国人市民等の支援に関し、市長が必要と認める事項に関すること。外国人市民等の支援及び支援体制の総合調整に関すること。
これらがこの支援本部の所掌事務となる。
こうしたことを始めようと思った背景は、一つ目として、一関市には二つの現実がある。
一つは、市内に居住する外国人は1,011人で人口の1%と大変多い。また、数としては把握はしていないが、他市から市内に通勤通学する方々もいる。
もう一つは、人口減少。特に一関市の人口減少は自然減と社会減の二つで減少しているが、社会減に関しては、昨年の数字を見ると県内ワースト。
よって、生産年齢人口の確保を大変急ぐ必要があると認識している。国では、これまでの技能実習制度、つまり日本の技術を外国で活用するものから、日本の人材確保を目的とした特定機能に切り換えていくと報道されている。
従って、日本に来る外国人の方がこれから先増えていくだろうということは想像できる。
そうした一関市の現状や日本のこれから先の方向性を見て、外国人の方が仕事の面でも、暮らしの面でも、生きにくさや暮らしにくさがあってはならないという考えがある。
私は就任してから若者活躍とか女性活躍といったことを言ってきたが、この若者活躍・女性活躍は日本人に限ったことでは決してなく、外国の若者、女性にも大いに活躍をして欲しいと思っている。
よく人口減少の話の中で、私はまち・ひと・しごとをひっくり返して、しごと・ひと・まちと言っている。そういったものを煮詰めていくと、若者活躍、女性活躍に繋がるが、それは今話したとおり、一関市に限ったものではない。つまり、若者、女性、外国人に選ばれる「まち」になることが必要だと思っている。
そのために、いろいろな分野で施策を進めていく必要があると思っている。
仕事の分野や暮らしの分野において、やっておかないといけないこと、課題となっていることは多岐に渡っているので、市役所のほとんどの部署が関係してくる。従って、本部という体制で進めていこうとしたことから、本日の本部設置に至った。
先ほど庁議終了後に第1回本部会議を行った。具体的なアクションはこれから先、順を追ってやってくことになるが、そのスタートを切ったということ。
支援本部を設置することとなった経過は、市内の外国籍の方々は、フィリピンが一番多く、次にベトナムからの方。ベトナムの方は国勢調査結果の人数を見ると、ここ数年ですごく増えている。
たまたま、ベトナムの方と交流する機会があった。市内にベトナムからの就労などのお世話をしている方がいて、その方は料理も大変上手で、その方が作ったベトナム料理をみんなで食べましょうということになった。2回ほどそういった集まりがあった。
1回目は人数が少ない集まりで、声を掛けていただいたので参加した。その時は、10人ぐらいだった。
その時に名刺交換をさせていただいた。そして、そのベトナムの方をいろいろな形でお世話している方を市役所に招いてみんなで勉強会をした。私、副市長、そして各部署の職員が出席した。
困りごとや在留資格のこと、仕事の面や毎日の暮らしの面で課題があるという話をいただいた。
次の食事会では、私のほかにも副市長、教育長、関係部長が行って直接話を聞いた。
その際には、市側のスタッフだけでなく、実際に一関市内で暮らしている方も多く参加したため、結構な人数だった。
日常の生活での大変なことや在留資格の制度はこういった現状であり、こういったところはこれから変わるかもしれないといったことを報道で見たり聞いたりして、こういった支援本部を立ち上げようと思ったのが経過である。
【記者】
外国人市民等の支援本部について、一関市には国際交流協会があり、所管部はまちづくり推進部だったと思う。
今回は商工労働部が中心の所管になる。これの理由は。
【市長】
支援本部を設置しようと思った理由が、いろいろな制度を利用し、一関市で暮らし、仕事をしている方との接点があった。
実際、在留資格者が増え、一関市内にいる方を「永住者」「定住者」「日本人の配偶者」で、分析すると、そうした方たちは、以前から住んでいるので一定数いる。
ここにきて増えているのは、技能実習や特定技能、そういった仕事を介して来日する方たちが増えてきているというのが現状。
今の話の国際交流という側面。これもその中の一つだと思っている。
例えば、古くは、配偶者として、来日した方がいたり、或いは戦後の流れの中で、韓国や朝鮮籍の方たちもいたりする。
従来からある外国人をめぐる課題、暮らしにくさ生きにくさに対する改善はずっと頭の中にあり、その中の一つの手法として国際交流があった。その国際交流協会が合併時にはそれぞれの旧市町村ごとにあったものを一つにまとめたという経緯がある。
一方、多文化共生がある。暮らしやすさ暮らしにくさ、生きやすさ生きにくさは一つの分野ではあると思うが、まち・ひと・しごと、それぞれにまつわるものだという意識があるので、主たる所管部は一元的に商工労働部がなるが、市長公室や国際交流に関する業務を持っているまちづくり推進部などが絡んで一つの事務局を行う。本部はすべての分野が関わる。以前から一関市で暮らしてる方だけではなく、今現在、仕事で来ている方が多くいるので、そこに着目すると事務局の一つになるのは、商工労働部はありだと思った。
【記者】
今までは結婚などで日本に来ていた方には、どちらかというと交流促進を中心に行ってきたが、人口減少によってどこの業界でも人材不足と言っている状況で、人材確保という部分での外国人市民が増えてきているので、そういった人材確保の面での体制整備にある程度比重を置き換えて、住みやすい環境を整えるということか。
【市長】
確保という言葉があったが、決して市がそうした人材を確保しようというロジックではない。
私は先ほど若者活躍や女性活躍という話をしたが、すでに一関市に住んでいる人たちやこれから一関市を選んで来てくれる方は、活躍だと思っている。
私の中では、活躍は自分がやりたいことをやりたいようにやれるという状態。自己実現とも言っている。
そういったような、まちや地域になればいいと思っている。たまたま制度としては、国は技能実習から特定技能に切り換えしていくという報道があるし、多分その通りなっていくと思うが、特定の階層なり、特定の国なり、どこかを意識して確保という意識はない。
今一関市に実際住んでいる方のこれまでと違っている部分は、仕事で来る方たちが多いという現状があり、その方達が実際に病院に行く、いろいろな各種の手続き、或いは日本語の面、子供の幼稚園、保育園、学校だといった面では、従来から住んでいる方たちと同じような苦労がある。話をするとよく分かる。
これから先の一つのイメージとして、食事会の時に私と一緒に並んだベトナム人ご夫婦は、日本に来て、日本語学校で知り合った方。たまたま旦那さんが一関市で仕事をするので奥さんも一緒に一関市に来た。三つか四つぐらいの子供さんがいる。
彼らへの支援は、日常生活のケアも含めて、困りごと全部になると思う。確保といった面にスポットを当てなくても選ばれるまちになるためにはどういったようなことができるのか。
仕事のしやすさ、暮らしやすさ、生きやすい状態を作っていけば、以前から一関市に来た方にもこれから来る方にも、いい状況がつくれると思う。
【記者】
確保っていう部分は謳わないが、住みやすく、暮らしやすい状況に進んでいくためには、当然仕事をすることがあるわけなので、そういったところを包括的に考えて、対策を行うということか。
【市長】
一関市で起業してもらうということもある。日本に来る時にどこのまちを選ぶというときに一関市を選んでもらえばいいという話。
【記者】
県内の自治体の事例はどんな状況か。それから、今現在考えてる具体的な施策を聞きたい。
【商工労働部長】
まず1点目の県内の状況は、先ほど多文化共生という話があったが、総務省では多文化共生推進プランを作っており、全国の自治体にそういった取り組みを推奨している。
岩手県でも多文化共生推進プランを策定しているが、生活支援とは違う趣旨のものであるので、生活や仕事に着目した支援の取り組みについては、県内の市町村では例を見たことがない。
2点目について、具体的な施策として日常生活の中での支援については、病気やけがをした場合の対応。ごみ出しに関すること。それから、母国語で相談できる市の窓口。その他様々想定はしている。具体的な取り組みについては、支援本部の下に支援部会という組織を立ち上げ、現状を把握した上で、どのようなサービスを提供したらいいのかなど、サービスのあり方について検討していくという計画。
【市長】
何から早く手がつけられるか、何は時間がかかるというのはあると思う。
市役所で行った勉強会の時は、確か17項目ぐらい出された。ごみ出しのことや税の申告。社会保険料のこと。窓口でのこと。病院に行く時のこと。子供の保育や教育のことなどたくさんあった。
我々がやっていくのはその17項目全部だと思っているが、その中には一関市がすぐに改善できるものがあれば、大変なものもあると思う。
それから、私ども市役所だけでできるものがあれば、市内の事業所、会社、複数の施設も巻き込んでいかないといけないものもある。早くできそうなもの。時間がかかりそうなものはあると思うが、かなりの分野に関わるということだけは間違いない。
【記者】
現状としては、外国人の方が病気になったときの相談窓口はないのか。
【市長】
外国人に特化したものとしてはない。
【記者】
ごみ出しについて、ホームページでベトナム語表記はしているのか。
【商工労働部長】
アプリで多言語に翻訳したものが見られる状態になっていると思うが、広域行政組合が所管している。多言語と言っても、ベトナム語が多言語化には含まれていない場合が多いので、現状を把握していく必要があると考えている。
英語、中国語、韓国語、ポルトガル語は基本的にはあったりするが、今、在留している外国人の方すべてに対応してるかというとそういう現状ではない。
【記者】
令和4年12月31日現在の一関市に住んでいる外国人の数を国別に教えてほしい。
【商工労働部長】
多い国から説明すると、フィリピンは289人。ベトナムは241人。3番目は中国129人。
4番目は朝鮮、韓国79人。5番目はインドネシア71人。6番目はブラジル54人。
【記者】
この方々はどういう職種に就いているのか。
【商工労働部長】
住民基本台帳上の人数になり、住民基本台帳に職業欄は無いので、国ごとには把握できていない。
在留資格ごとには把握している。令和4年末の在留資格別に人数が多い順になると、一番が永住者。永住者は在留資格無期限で、生涯を日本で暮らす資格を与えられているという方が366人。2番目は技能実習274人。3番目は特定技能。特定技能は、人材を確保することが困難な状況にある産業の分野において、専門性技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるために設けられた在留資格。これが85人。
4番目は日本人の配偶者など69人。5番目は定住者53人。一番簡単な例だと日系ブラジル人。同じく5番目に技術・人文知識・国際業務という区分があり、53人。
【記者】
介護や工場で働いている人が多いのか。
【商工労働部長】
工場が多い。
【記者】
先ほど増えているという話だったがそれを比較できる数字を聞きたい。
【商工労働部長】
国勢調査の数字になるが、前回の国勢調査の平成27年だと695人。10月1日現在になる。同じく平成22年10月1日現在は696人。平成17年10月1日現在は946人。
【記者】
近年増えているというのはどういう分析なのか。
【商工労働部長】
その時々の国際情勢や経済情勢によって動きがあると見ている。
国籍別人数で一番多い国が動いている。例えば、平成17年だと一番多いのが中国で二番目がブラジルで308人。
最近だと、ベトナムの方は平成17年時点では1人。その後、人数が増えてきて平成27年にはベトナムの方が23人。今回示した住民基本台帳の人数では241人となっている。送り出し国の状況にもよる。
【記者】
ベトナム人たちは今どういう仕事をしているのか。
【商工労働部長】
把握していないが、向こうで送り出しする会社があり、日本でも受け入れする会社がある。そのやりとりで、技能実習の送り出し先が決まる。会社ごとにいろいろあるようだ。
【市長】
感覚としては製造。
【記者】
こういう本部を立ち上げたのは、県内では初めてなのか。
【市長】
そのとおり。
【記者】
病気やけがをした時の窓口がないという話だったが、実態としてどのように対処したのか。
【市長】
想像だが、ずっと以前から住んでいる方たちは、それなりに日本での暮らしを分かっている。
増えているのは、実習制度とかを利用して市内の事業所で働いてる人達だが、同じ国同士の繋がりがあるようだ。よって、一定程度の情報交換をしていると思う。
また、事業所単位で日本に来るので、職場の中で情報交換をやっていると思う。
それから、奥州の国際交流協会では通訳のボランティアも行っている。ただ、全部の言語に対応できるかどうかは別としても、そうしたようなことをやっているところもあれば、一関市のようにそこまでいっていないところもある。
国際交流協会は、日本の各地域で活動していて、それなりに続いているものもあるが、それも全体すべての形あまねくできている訳ではない。
そういったところをきちんと実態を把握した上で、どこをどうしたらいいのかといった部分が結構ある。
【記者】
その国ごとのコミュニティや職場での対応のように、その場しのぎとなっているのを、行政ができる範囲で一元的に行う窓口を作るというイメージなのか。
【市長】
できれば立派だが、それがどこまでできるか分からない。
やはり人数の多いところはそれなりに優先度が高いと思う。
まず我々自身が現状を理解しなくてはいけない。
【記者】
現状では、盛岡市に次いで2番目に多く、工場労働者が多いということだが、北上市の方が多くなる気がする。なぜ一関市が比較的多いのか。
【市長】
人口の母数が違う。一関市は8つの市町村が合併した。地域人口だけでも11万人はいるからだと思う。
○その他
なし
○その他
なし
閉会時刻 午前11時50分